学習通信030630
 
◎恋文はつまり、日常的な想いの強さのそのごく一部が、形になる──書くこと、話すことにも法則があるようです。
 
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じつは、恋の始まりはにはこのような、好みをはっきりさせる「こだわり」が不可欠だ。「こういう言葉は使わない」「このブランドの服は着ない」「こういう生き方をしたい」等々。好みをはっきりさせる機会はいくらでもある。誰にでも好かれるようにふるまう人は、実際に誰にでも好かれるのだが恋にはならない。その理由は簡単だ。(52p)
 
あなたが誰かに何かを感じて「ん?」と思う瞬間は、その人の核心がちょっと、あなたの気持ちに触れた時ではないだろうか。その核心とはその人の個性に他ならない。「私ってこういう人なの」というメッセージを出していなければ、他人があなたの個性に気づくことはできないのだ。(52p)
 
その中にこういうくだりがあります。「私は1日に何回も、歩きながら、本を読むながら、中国語の勉強をうぃながら、新しい発見があるたびに、あなたに語りかけています。いつの間にか。だから、こうして手紙になってあなたの手元に届けられるのは、そのうちの100分の一ぐらいです」──これは実際に出した手紙そのままの文章で、実際の思いそのままだった。(54p)
 
恋文はつまり、日常的な想いの強さのそのごく一部が、形になるものである。その人に向かっている心のありようが、表現されたものである。恋文はテクニックではない。技術では欠けないし、小手先では人の心を動かさない。ましてや、気持ちの告白だけで異性を惹きつけようとするのは、ほとんど不可能だと言ってよい。恋文の研究は、徹底して正直さだけ、なのだ。(54)
 
まず絶対に、このような手紙は書かないこと。決して気取らないこと。生半可な知識はすぐ女性に見破られるので、知識をひけらかさないこと。今の女性は自分より知的である、と知っておくこと。そして、自分が何を伝えたいのか。どういうことなら懸命になって伝えられるのか、まず自己分析を充分にしてから、正直に書くことである。(58p)
(田中優子著「江戸の恋」集英社新書 52〜58p)
 
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うるさいおしゃべりは、あとで話すつもりだが、才能をうぬぼれること、それとも、つまらないことに価値をあたえて、愚かにも、他人も自分と同じようにそれを重要視していると考えること、このどちらかから必然的に生まれてくる。
 
ものごとを十分よく知っていて、すべてのものにそのほんとうの価値をあたえることができる人は、けっしてよけいなことは言わない。相手がかれにたいして示す関心とかれの話にたいしてもてる興味を評価することも心得ているからだ。
 
一般的にいって、わずかなことしか知らない人は多くのことを語り、多くのことを知っている人はわずかなことしか語らない。無知な人間は自分が知っていることをなんでも重要なことだと思い、だれにでもそれを話す、これはわかりきったことだ。ところが、教養のある人は容易にかれの持ち物を公開しない。かれに語るべきことがありすぎるし、自分に言えることのほかにもまだ多くのことが言えることがわかっている。だからかれは口をつぐんている。
(ルソー著「エミール」岩波文庫(中) 269p)
 
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笑い≠利用しての話し方≠ノついて、私の知っている限りをのべました。その中で最も私が強調して来たのは、@努力を忘れぬこと。A日常生活の中で自分を点検する。Bウソの話をしない。C話は人柄なのだ。D健康な肉体の中から話は生まれる。
 
そういうことを重点的にのべてきました。それはなによりも人に好かれる要素なのだから、とても大切。そしてそのことを無視して良い笑い≠竍話≠ヘ生まれてこないのです。
 
──電話をかける時も、人と話をしているときも、それは誠によい話≠フ勉強の場なのだということも決して忘れずに。そんなとき、相手の話は聞き落とさないこと。人の話を真剣に聞くことも、自分の話が上達する大切な要素だと、おぼえておいてください。
 
話の上達法とは、
@自分の生活の中で注意深くあること。
A自分の生活の中でたえず鍛えること。
それが今まで私が云ってきた中での、重要なところです。それでも、
「冗談いうな、俺は大切な自分の仕事を持っているんだ。仕事を捨てておいて、話にばかり夢中になっていられるかい」
 
そうでしょうか、なるほど仕事は忠実にやっていられるでしょう。しかしそれはどなたも同じようにやっていると思います。だがしかし話≠ヘ仕事の上で大切でないのだろうか。
多勢の前で話すことだけが話なのでしょうか。それだけでしか必要ないと考えますか。
 
自分のお仕事は話の力を借りなくても充分だと思いますか。いいえ、上達した話術を思いっきり使い仕事を助けることによって、それが計り知れない利益をもたらせてくれるのではありますまいか。自営のお店、または会社、その他、社会の一員としても、今まで以上に周囲から頼まれがいのある人として、その話し方が大きく役立つことを期待できると思うのです。
 
人を説得するのも、ビジネスも、交渉ごとも、すべて真実のこもった話し方≠ゥら成功はかちとれるのです。
(大空ヒット著「笑いの話術」新日本出版社 234〜236p)
 
本当におしゃべり≠フ若者(中年もいます)をよくみかけます。労働学校の受講生の中にもいました。しゃべり始めたらとりとめがありません。どんどんどんどん続きます。人の話にもわりこみしゃべっています。あとには何も残っていないのです。おしゃべりな人≠ニいうことだけが……。私の経験では男性が多いようです。