学習通信031114
◎やろうぜ〜 みんなと相談して……会議は、「手段」である。
 
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職場討議・職場懇談会は労働組合の心臓部
 
──みんなで決めて、みんなで活動することがとっても大切──
 
(1)職場討議によってみんなで決め、みんなで行動する
 
 労働組合の主人公は、一人ひとりの組合員です。それは、@どんな要求を労働組合の課題とするのか Aその要求の実現をめざしてどんな取り組みをすすめるのか Bどういう決着をしていくのか Cどういう方向(職場・仕事、地域づくり)をめざすのか D一年間の活動の計画と財政負担はどうするか E組合の組織と役員の体制はどうするのか という活動のあらゆる場面・段階において組合員がそれを討議して決めるということを意味します。
 
要するに、「みんなで決めて、みんなで行動する」ということであり、これを組合民主主義といいます。
 
 職場討議の中で、一人ひとりの組合員の生活実態や職場・地域の実状、不安や要求、問題意識を自分のことばで出してもらうことが重要です。組合員は、自分が参加した職場討議の結論には反対でも責任をもちますが、参加していなければ責任意識は希薄になります。
 
職場討議がどれくらいの頻度で開催され、どれほどの組合員が参加し、そこで本音の議論ができるかに、労働組合の結集の強弱がかかると言っても過言ではなく、職場討議はいわば「労働組合の心臓部」なのです。
 
 職場が忙しくなり、時間内の活動も難しくなっているもとで、工夫をこらし、組合員の職場討議への参加をめざしましょう。
 
(2)織機討儀・職場懇散会のもち方
 
@できるだけ多くの組合員(目標は全員)が集まることができるよう定例化するか、余裕を持って日程を調整します。
 
A開催の趣旨を説明して回るなど、組合員が自発的に参加するよう工夫します。
 
B開催する時間帯にも配慮し、昼食や夕食を準備するなどの工夫をおこない、開始・終了時間を厳守します。
 
Cレジュメや討議資料を用意し、可能な限り事前に配布します。
 
D進行(分会役員)と報告・提案(執行部)は分担するなど、職場を主体にしたものとします。
 
E執行部からの報告・提案はできるだけ短時間でおこなうとともに、だれもが理解できる提起と討議に心がけます(報告・提起する側は事前準備を周到に)。
 
F組合員の要求(生の声)を中心に討論します。聞き上手がよいようです。
 
G全員から発言してもらうように心がけるとともに、それが保障される人数での開催に配慮します。
 
H出された意見などについて、性質や解決のし方などで区分・整理し、もう一度討議してもらいます。
 
R欠席者へは会の様子や結果を報告するとともに次の機会には参加してもらうよう呼びかけます。
 
J組合と職場を結ぶ職場委員(役員)の会議・学習・援助を重視し、事前に時々の課題について学習することが大切です。また、職場新聞やニュースを使って必要な情報提供にも心がけましょう。
(日本自治体労働組合総連合会「職場活動の手引き」学習の友社 p10-12)
 
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論理的思考力以前に「要約力」「段取り力」
 
 脳みそを活性化させるとは具体的にどういうことでしょうか。
 いまビジネスマンには論理的な思考が大切だといわれています。たしかに論理的思考力というのは決定的に重要をものです。論理の筋道の通らない議論はつみかさねがない。論理的思考力は会議する上でも不可欠な力です。
 
ただし論理的思考力というと対象が大きくなりすぎて、どうしていいのかかえってわかりにくいともいえます。どちらかというと「要約力」というコンセプトに置きかえるとわかりやすいと考えています。この「要約力」がコミュニケーションの基本だと思います。
 
 相手の意見を要約できる。
 自分の考えを要約できる。
 
 そのことによってコミュニケーションが効率よくクリエイティブに気持ちよくできるよう論理的思考力といった高級な力以前に要約できる力がまず基本になると思います。その上で優先順位をしっかりと決めて話の筋道を組み立てることができる「段取り力」があると、場を活性化することができます。「要約力」と「段取り力」はビジネスマンにとって強力な武器です(詳しくは拙著『「できる人」はどこがちがうのか』〈ちくま新書〉をご参照ください)。
 
 優先順位を間違わないこと。
 これだけで仕事の効率は格段に上がります。事態・状況・話題を要約する力が、この優先順位決定力の基礎になっています。優先順位をしっかりさせ、段取りを組めれば、現実を動かすことができます。行動を起こす強い「意志」と投取り力はセットです。
 
 これに対して、論理的な思考力というのは下手をすると、ある意思決定がなされたあとの理由付けをあとから行うための能力にすぎない場合があります。主張の本当の根拠をかくすためや、人を説得するためだけの論理もあります。
 
 論理の中のグレードや序列を無視して論理を操る人が結構います。樹木に幹、枝、葉の区別があるように、論理にも重要性の度合い、グレードのちがいがあります。
 
 枝葉末節(しようまっせつ)といわれるように、枝葉の論理に細かくなりすぎると、議論が混迷しがちになります。話している当人がその非生産性に気づかずに自分の低レベルの論理力に酔っているだけ、というケースもしばしば目にします。その人が本当に何をしたいのか、どういう考えなのかという、意思決定の問題を抜きにして形式的な論理だけを積み重ねても、本当には何も生み出せないのです。
──略──
 
会議は戦いの場ではない
 
 これにからめて、ディベートとディスカッションのちがいについて説明します。
 ディベートは戦いです。相手を論理的に打ち負かすことを試合形式にしています。
 
 これは論理能力を鍛えるためにはいいトレーニング方法ですし、利害や立場を異にする人たちが、あるところで折り合いをつけるためには、その戦いは意味があるわけです。アメリカ合衆国のようにいろいろな民族がいて、利害の対立が激しい社会では、ディベート技術は不可欠の生きる力です。
 
そこでは法律に基づいて言論を戦わせて勝負しなければ人権にせよ財産権にせよ、自分の権益を守ることができません。ディベートはこうした社会で均衡を保つために必要な手段だと思います。
 
 ディベートにおいては、相手と自分はチームメートではなく敵同士です。ですから、場合によっては相手の真意をわざと取らずに揚げ足を取るような仕方でも相手をつぶしていくことになります。
 
 会議でもそういうことは起こっていると思います。
 ある人の意見が本当は悪くない意見であっても、相手をつぶすためにその人の言葉尻をとらえて攻め立てていく人を会議で見ることがあります。
 
「そういうものの言い方はないんじゃないか」と全然関係ない枝葉末節のところにからんでいってわけをわからなくさせて、相手の印象を悪くさせることを得意にしているプレーヤーもいます。
 
 そういう人は、審判の見ていないところで足を踏みつけたり、相手のユニフォームを引っ張っているようなプレーヤーと同じです。会議でアイディアを生み出すのを妨げているわけです。
 
 本来、会議はそういう戦いをしているわけではありません。戦うようなものは会議といわなくていいと思います。裁判のような形式のものは、会議とはいいません。
 
 会議は、ある種の目標をともにしている人たちが開くものです。個人個人には、それぞれ利害関係があっても、その会議で何かを生み出したことが全体の利益になり、参加者全体にその利益が還元されるという前提でなければ、会議は開く意味がないわけです。
 
 揚げ足とりをせず、真意をくみ取り合ってよりよいアイディアを一緒に創り上げていくのが会議の基本です。
 
ゴールを生んだかどうかがすべて
 
 会議では、ゴールを生んだのかどうかがすべてなのです。
 会議を二時間やっても三時間やってもいい。そこでひとつでも現実を変えるようなアイディアが出れば、その会議は成功といえます。
 
 どんなに盛り上がって話しているようでも具体的なアイディアがひとつも残らないのであれば、その会議は基本的には失敗です。
 対照的に、一見沈黙が多い会議でも、ひとつでも現実を変えるアイディアが生まれて、それが実行されたならば、その会議は成功です。それは地味な試合をしているようでも一点取って勝つ、一対○の試合のようなものです。
 
 ゴールというのは、現実に村して効果のあるアイディアが生まれたかどうかということです。
 
 派手なドリブルをいくらしていてもゴールのない試合運びというのもあります。ゲームメーカーと称するプレーヤーの中には、そういう自己満足的なプレーをする人もいます。その人が権力をもっている場合には最悪です。
 
 「ネガティブなことを言う前にアイディアを出せ」
 これを会議の合言葉にしたいと思います。
(斉藤孝著「会議革命」PHP研究所 p31-39)
 
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 会議をもたない方が効果的?
 
 会議は、あくまでも「手段」である。それ自体が「目的」であることはほとんどありえない。したがって、目的次第では会議がその手段として極めて非効率的であったり、効果が薄い場合がありうる。そうなると、当然のことながらその効用をしっかりわきまえた上で会議を活用することが肝要である。会議は、少なくとも以下のような場合には効果的である。@たくさんのアイディアを出し合うとき、Aたくさんの情報を共有し合うとき、Bものごとを決めるとき。
 
逆に、効果的でないのは、@出されたアイディアをまとめるとき、Aあるテーマに対して細かく分析・検討を要するとき、Bすでにまとまった考えを表現するときなど。これらは一人、ないし多くて二〜三人の方が効率的にできる。
 
 一方、「いつ会議をもつのがいいのか〜」と同じくらいに「会議をもたないで済む方法はないのか?」という問いも大事である。単なる事務連絡であれば、メモを回覧すれば済む。すでに決定されている事項あり、それをくつがえせない場合(つまり単なる歪)などはわざわざ会議を招集する必要はない。時間と費用がかかり、不満が残るだけである。
 
──略──
 
会談はなぜ開くのか?
 
 会議の目的(ねらい)にはさまざまあることは、すでに前節で述べた。会議は、参加してもらうことで、複数の人間に意思決定や問題解決の過程に関わってもらい、実行しやすくする、あるいは少なくとも反対がないようにすることが一つの大きなねらいである。
 
もう一つの大きなねらいは、組織内の人たちと情報交換し、人間関係をつくり、維持するという点にある。さらには、一人ではいいアイディアが出せないので、組織内の他の人たちの力を借りたいという場合もある。
 
 しかしながら、これまでのあまり満足度が高いとはいえない会議で、果たしてこれらのねらいがどれだけ達成されていたかは、はなはだ疑問である。重要事項の決定といいつつ、事前の根回しや上層部の内々の事前会議ですでに決まっている場合が少なくない。
 
また、円滑な人間関係をつくったり、維持したりとはいっても、出席者がすでに歴然として存在する上下関係や派閥的力学を会議の場に引きずってきていたり、声の大きい人や思考のスピードの速い人に発言の機会が集中するような会議ではマイナス効果の方が大きいかもしれない。あるいは、何かのヒントを得たいと期待して開いた会議でも、すでにわかっていることや検討済みのことばかりが出てきたりする。
 
こんなとき、例えばブレーン・ストーミング(グループで自由に考えを出し合い、各個人の発想を活性化する方法)が、アイディアを出すために効果的な手法の一つであることを知っている人も、それを使いこなせているケースはまだ少ないようだし、多くの人はその言葉すら知らないのが現状である。
 
 いずれにしても、ねらいそのものに欠陥があるわけでほない。求められているのは、ねらいを達成するための効果的な方法をしっかり身につけることである。
 
 効果的で効率的な会議を実現するためにも、これからの会議は、リーダーも含めた出席者のさまざまな資質向上のための会議というものを新たにつけ加え、積極的に開催する必要がある。会議に参加する際に求められる資質は、同時に、組織の構成員としてより効果的な機能を果たしていく際に求められる資質でもあるからである。
 
その中には、違いを認識する力、セルフ・エスティーム(自分に自信がもてること)、想像力と創造力、協力する能力、コミュニケーション能力、責任感、情報収集能力も含めた多岐にわたる関心と好奇心などが含まれる(詳しくは、第7章を参照)。
 
 これまで、私たちは会議の運営方法を学ぶチャンスを提供されてこなかっただけでなく、これらのよき会議の出席者たる資質を磨くチャンスさえも提供されてきていないと言ってよい。
(吉田新一郎著「会議の技法」中公新書 p12-16)
 
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よく伝わる報告とは
 
 六月に入り、新入社員の方々は職場にも慣れて、そろそろ一人で仕事を任され始めたころではないでしょうか。
 社会人としてビジネスの場で求められる言葉遣いは、学生時代とは大きく異なります。私にも苦い経験がありますが、学生時代の話し方、言葉遣いを社会人になっても使ってしまい、恥ずかしい思いをした、という方も少なくないのではないでしょうか。また、社会人としての経験はあるが、自分の話し方はちょっとあいまいかな、と感じている方もいらっしやるかもしれません。
 
 今月は 「ビジネスの会話」と題して、ビジネスの現場で役に立つ話し方についてお話ししようと思います。
 
 まず一回目は「報告」についてです。
 
報告は結論から
 
 会社などの組織で上司からの命令や指示に基づいて業務を行い、その経過や結果を伝えることが「報告」で、日々の仕事を進めるうえで最も基本となるものです。
 
 「わかりやすい報告をしよう」、だれでもそう思って報告することでしょう。しかし、実際にわかりやすいかどうかは、「報告を受ける上司がどれだけ理解しやすいか」ということが基準になります。そこで理解してもらいやすい報告のコツをご紹介しましょう。
 
@まず結論から
 報告の手順は、初めに結論を述べて、次にその経過や理由を述べます。ダラダラと経過を述べて、最後にやっと結論に至るのでは、上司をイライラさせるだけです。「何が言いたいんだ」と思われたらアウトです。
 
A内容は事前に整理
 わかりやすい報告をするために、報告の前には、あらかじめ内容の要点を整理しましょう。結論をひと言で言うとどうなのか。その経過を整理すると、どう言えるのか。理由のポイントは何か。こうしたことをきちんと整理せずに、話しながら考えていると、同じことを繰り返してしまったり、肝心なことを言い忘れたりするおそれがあります。
 
B「事実」と「意見」を区別
 また、内容は、客観的な「事実」をありのままに報告するようにします。主観的な意見や憶測を入れたりすると、上司の判断を誤らせることになります。主観が入る場合は、自分の意見であることをはっきり述べることが必要です。
 
Cタイミングを考える
 「報告は速やかに」といっても、いつでもよいわけではありません。上司が今、報告を聞ける状況にあるのかどうかなどを配慮して、タイミングを選ぶことも大切です。
 
 とは言っても、日ごろ親しくしている上司に対して、杓子定規に結論から話していては、かえって堅苦しく感じられてしまうかもしれません。報告の内容が深刻なものでなければ、和やかな雰囲気で進めるためにちょっとした話を交えるなど、臨機応変であっていいと思います。
 
悪い報告ほど早めにする
 
 ただし、報告が、悪い内容であれば、話は全く違います。余計なことは言わずに結論から速やかに報告しましょう。
 
 悪い情報を上司に伝えるのは嫌なものです。しかし、こんなときこそ早く報告し、上司と相談しながら解決していくことが重要です。すぐに対処すれば小さなトラブルですむような問題が、時間が経つにつれて手遅れとなって、深刻な問題に発展してしまうかもしれないからです。
 
 また、困っているときも正直に報告し相談しましょう。経験豊富な上司のひと言やアドバイスで難問が解決することはよくあることです。
(「NHKアナウンサーのはなすきくよむ」日本放送協会 p36-39)
 
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◎会議のない組織はありません。しかし、会議が有効に効果的に活動に生かされているかと問えば、そうだ!≠ニはいえないものが思い浮かびます。「会議」は私たちのとって重要な「手段」です。
 
◎「NHKアナウンサーのはなすきくよむ」の「上司」は読み替えて下さい。参加者とでも、同志とでも……。伝える対象者のこととでも。