学習通信040329
◎「剣を手にして」フライデーを隷属させる……。
「暴力はただの意志行為ではなくて、暴力を働かせるのには非常に実在的な先行条件つまり道具が」……。

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米戦略青写真
敵対国家 指導者殺害も
助言機関勧告 核小型化促す

 【ワシントン26日共同】米国防総省の助言機関「国防科学委員会」は二十八日、核兵器と通常兵力を組み合わせた中長期的な米軍攻撃能力の青写真を描いた報告書を公表、国家指導者殺害による体制転覆や大量破壊兵器の完全破壊などを目指した攻撃力強化を最優先課題とするよう勧告した。

 「将来の戦略攻撃力」と題した報告書は「ならず者国家」やテロ組織による攻撃を「切迫した脅威」と位置付け@核の小型化A地中貫通能力の強化B多弾頭型戦略核の再配備C電磁波や中性子を使った新兵器開発−を提言。冷戦終結後、米国が自粛してきた新型核開発の必要性に触れ、米核戦力の大胆な質的変革を狙っている。ブッシュ政権が進める核戦力の見直しにも大きな影響を及ぼすとみられる。

 報告は核実験再開には踏み込んでいないが、一九九五年以降、臨界前核実験などで性能維持を図ってきた「備蓄核管理計画」の大幅な見直しも勧告。「核使用のハードルを高くし、核を使わない攻撃を最大限模索する」との従来姿勢を維持する考えを示す一方、核抑止が崩れた場合に「標的を狙った効果的な」核攻撃を行う考えを強調した。

 多弾頭型戦略核については、来年中に廃棄される大陸間弾道ミサイル(ICBM)「ピースキーパー」五十基の再配備を提言している。
(京都新聞 040327)

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 しかし、デューリング氏のこの全能の「強力」をもう少し詳しく考察しよう。

ロビンソンは、「剣を手にして」フライデーを隷属させる。どこからこの剣を手に入れたのか? ロビンソン物語の空想の島でも、こんにちまで剣が木に生ったためしはなく、デューリング氏は、この問いにたいしていつまでも答えてくれずにいる。

ロビンソンに剣を手に入れることができたのと同じように、われわれは、〈フライデーが、或る日突然に、一挺の装填されたピストルを手にして現われる〉、と仮定してさしつかえない。

そうなると、「力」関係全体がひっくり返る。すなわち、フライデーが命令し、ロビンソンがあくせく慟かなければならなくなるのである。元来は子ども部屋の話で科学にははいらないロビンソンとフライデーとのこの物語に、われわれがこれほどにも一貫して立ちかえるのを、読者はお許しください。

しかし、われわれにほかにどうしようがあろうか? われわれは、やむをえずデューリング氏の公理的方法を良心的に適用しているのであって、そのさいつねにまったく子どもらしい領域を動いているとしても、それはわれわれのせいではないのである。さてそこで、ピストルが剣に打ち勝つ。そして、これによって、いちばん子どもらしい公理論者にもつぎのことが理解できるであろう。

それは、〈暴力はただの意志行為ではなくて、暴力を働かせるのには非常に実在的な先行条件つまり道具が必要であり、完全さでまさっている道具は完全さで劣っている道具を打ち破る〉、ということ、さらに、〈こうした道具が生産されていなければならない〉、ということである。そして、これによって同時につぎのことが言われているのである。

それは、〈完全さでまさっている暴力の道具すなわち武器の生産者は、完全さで劣っている武器の生産者を負かす〉、ということであり、ひとことで言えば、〈権力の勝利は武器の生産にもとづいており、武器の生産は生産一般に、つまり、──「経済力」に、「経済的状況」に、その権力の意のままになる物質的手段に、もとづいている〉、ということである。

 武力、それはこんにちでは軍隊と艦隊とである。そして、この両者には、われわれがみな骨身にこたえて知っているように、「途方もなく巨額のお金」がかかる。しかし、武力には貨幣をつくりだすことはできず、せいぜいすでにつくりだされている貨幣を取り上げることができるだけであって、これもあまり役に立つものでないことは、われわれがフランスの数十億でこれまた骨身にこたえて経験したとおりである。

金は、だから、結局のところ、やはり経済的生産を用いて供給されなければならないわけである。武力は、つまり、またしても、それの道具を装備し維持するための資金を供給してくれる経済的状況に規定されるのである。しかし、そればかりではない。

まさしくこの軍隊と艦隊とほど経済的先行条件に左右されるものはないのである。武装・構成・編制・戦術・戦略は、なによりもまず、そのときどきの生産の段階と交通・通信とがどうであるかによってきまる。この分野で変革的に作用したのは、天才的な司令官たちの「知力の自由な創造物」ではなく、それまでのよりもすぐれた兵器の発明と兵士装備の変化とであった。天才的な司令官たちの影響は、せいぜい、戦闘法を新しい兵器と戦闘員とに適応させることに限られるのである。
(エンゲルス著「反デューリング論」新日本出版社 p233-235)

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◎「冷戦終結後、米国が自粛してきた新型核開発の必要性に触れ、米核戦力の大胆な質的変革を狙っている。」

◎「軍隊と艦隊とほど経済的先行条件に左右されるものはない」と。

◎「アメリカは、「世界の警察官」と自認することによって、アメリカ中心の国際秩序と世界支配をめざすその野望を正当化しようとしている」……(しんぶん赤旗 2004年1月18日 日本共産党綱領 三、世界情勢――二〇世紀から二一世紀へ)