学習通信040702
◎寡婦のクイックリー……。
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商品の価値対象性は、どうつかまえたらいいかわからないことによって、寡婦のクイックリーと区別される。商品体の感性的にがさがさした対象性とは正反対に、商品の価値対象性には、一原子の自然素材もはいり込まない。
だから、一つ一つの商品を好きなだけひねくり回しても、それは、価値物としては、依然としてつかまえようがないものである。
とはいえ、商品が価値対象性をもつのは、ただ、それが人間的労働という同じ社会的単位の表現である限りにほかならないこと、それゆえ、商品の価値対象性は純粋に社会的なものであること、を思い出せば、それがただ商品と商品との社会的関係においてのみ現われうるということも、おのずから明らかである。
実際、われわれは、諸商品の交換価値または交換関係から出発して、そこに隠されている諸商品の価値の足跡をさぐりあてた。いまや、われわれは、価値のこの現象形態に立ち返らなければならない。
(マルクス著「資本論@」新日本新書 p81)
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フォールスタフ おい、おい、小僧! 愈々そういう風の吹き廻しと相成ったのかい? 皆、揃ってお出掛けという訳か?
バードルフ 二人ずつ縛られてね、ニューゲイト監獄に送られる時はそうだってよ。
女将 王子様、是非、私の話を聴いて下さいまし。
王子 何が言いたいのだ、クイックリー? 亭主は元気か? 俺はあの男が大好きだ、正直者だからな。
女将 王子様、私の話を。
フォールスタフ まあ、この女の事は放っておいて、俺の話を聴いてくれよ。
王子 何だ、お前の話というのは、ジャック?
フォールスタフ この間の晩、俺はここで寝込んでしまったろう、それ、その壁掛の後ろでよ、あの時、財布を盗まれてしまった。この店は淫売屋に鞍替えしてしまったのだ、枕探しまでやりやがる。
王子 何を奪(と)られたのだ、ジャック?
フォールスタフ それが、あろう事か、ハル、四十ポンドの手形三、四枚と祖父の印形の附いた指輪だ。
王子 そんな廉物、精々八ペンス位の物だ。
女将 私もそう言ったのでございますよ、王子様、はい、王子様もそう言っておいでだったって、そうしましたら、王子様、この人は王子様の事をさんざん毒づきまして、御承知の通り、それはもう口汚ない事を次から次へと、揚げ句の果てに、王子様を叩きのめしてくれるなどと申しまして。
王子 おい! おい! まさかそんな事は?
女将 それが嘘なら、私は信仰の無い不真面目な女だという事になります、いいえ、そうなったら女とは言えません。
フォールスタフ お前に信仰があるなら、女郎屋の女将にだってある、お前が真面目なら、狐だって真面目だ──最後に、女という事になると、メイド・メーリアンのような悪女だって、お前よりは余程まともに町のお歴々の奥様役が勤まるだろうよ。さっさと引込まないと目に物見せてくれるぞ。
女将 どんな物を見せてくれるんだよ、何だよ、その物というのは?
フォールスタフ どんな物だと? それは、つまり神様が御覧になりたいような物さ。
女将 神様が御覧になりたいような物なんて、私には勿体無い、見せてくれなくて良いよ、本当に余計なお世話だ。私は真面目な男の女房なのだよ、お前さんの方は、騎士とは名ばかり、私に言わせればただのごろつきさ。
フォールスタフ お前も女とは名ばかり、手取り早く言えばただの獣さ。
女将 それなら言って御覧、何の獣だい、このごろつきめ、さ、言って御覧?
フォールスタフ 何の獣だと? それは、川獺(かわうそ)さ。
王子 川獺だと、ジョンー どうして川獺なのだ?
フォールスタフ どうして? それは、魚でもなし四足でもなし、どの種類に属するのかあしらいかねるからさ。
女将 能くもそんな事が言えたものだ、お前さんだって誰だって、私をいつも良いようにあしらっている癖に、このごろつきめ!
王子 全くお前の言う通りだ、こいつの悪口は如何にもひど過ぎる。
女将 そうなのでございますよ、王子様の事までそうなのでして、この間も千ポンドも借りられたなどと。
王子 やい、本当か、俺に千ポンド貸してくれたというのは?
フォールスタフ 千ポンドだって、ハル? 百万ポンドだ。並の人間ならいざ知らず、お前さんに対する友情は百万の値打がある、つまり、お前さんは俺にその友情の借りがある訳だ。
(福田恆在訳「シェイクスピアU ヘンリー四世」新潮世界文学 p636-637)
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◎価値対象性とクイックリーの違いはわかりました……。