学習通信040907
◎「服装は、その人の心を語ります」……。

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服装は、最大のプレゼンテーション

 銀座のホステスさんにも高級ブランドしか着ない面々が揃っていますが、傾向としては、幼稚園のスモックの上の名札よろしく、胸にシャネルやグッチのお知らせマーク。

 近場のハワイやグアムに三泊四日。本人いわくバカンスにお出かけになって、現地のアウトレットショップで、必死の形相でなんとかアジア人サイズをお買い求めになられたような代物。それを、これみよがしに着ている方々。

 「おっ、シャネル!」
と思いますが、母親が保護者参観日に着ていた衣装を借りて遊んでいる子どもみたいに、袖がやたら長かったりして……。

服装は、その人の心を語ります。
何を着るかで周囲への影響力が異なってきます。
プレゼンテーションは、会社での会議だけで行うものではありません。身につけるものに「気を遣う」は「着を遣う」ことです。
あなた自身の二十四時間のプレゼンテーションを行いましょう。
(ますいさくら著「「できる男」「できない男」の見分け方」PHP文庫 p30-31)

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 東京駅に出て、食堂で夕食を喫しながら、夕刊新聞を見ると、それには「河上博士検束さる」という大きな見出しの記事が載っており、何故検束したかとの新聞記者の問に対し、あんな不穏な演説をされては一応は取調べて見る必要があったからだヽという警察署長の言い訳なども載せられていた。

実際には何一つ取調べたのでもなかったが、ただ当時は私が大学教授をやめて間もない頃だったし、時勢もまだそれほどファッショ化していなかったから、僅か半日の検束でも大きな新聞種子になり、警察でも検束の言訳をせねばならなかったのである。十余年を経た今日から顧みると、実に隔世の感がある。

東京駅に見送りに来た舎弟の左京は、まだ夕刊を見ていなかった。「今日はこんなことかあったんだよ」と、私はそれを舎弟に見せながら、「とても素晴らしい大会だった、お前も経験のため一日だけ見に来るとよかったのに」などと語っているところへ、京都帝大の宇都宮という学生が、大きな木綿風呂敷に包んだ荷物をさげて来て、「先生、これを持って帰って下さい、先生なら大丈夫だから」という。何かと訊けば、『無産者新聞』だとのこと。「そんなものは今持って帰れんよ」と私は即座に断ったが、当時この新聞は毎号発売禁止になりながら、色々な抜道からまだ全国に撒布(さんぷ)がされていたのである。

この学生は、宇都宮大将の息子で、その頃は、鈴木安蔵、大門英太郎などと共に、一週一度私のうちへ来て、研究会を開いていた仲間なのである。これらの連中は、その後みな一度は刑務所入りをしたが、私が出獄する頃には、宇都宮は、株の売買でうんと金儲けに成功し、それを基礎に已に一かどの企業家に転形し、満洲で成功した有名な何とかいう大実業家の令嬢を細君に貰ったりしていた。

十年の歳月を距てて会った時、人間というものは、境遇の如何によって、眼の光から、顔の筋肉から、言葉から、身振りから、こうまで変わるものかと驚いたことがある。

人の本質は容易に変わるものではないが、しかしその表現形態はなかなかに変化しうるものなのである。
(「河上肇 自叙伝@」岩波文庫 p277-278)

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◎「人の本質は容易に変わるものではないが、しかしその表現形態はなかなかに変化しうるものなのである。」

「格好ついてる……」と思っても思想のぐらつきは隠しようもないのです。30年近い活動歴をもつ「学習活動家」が『学習の友』の配布を最近やめた。