学習通信040908
◎「事のなりゆきによって去就を決めようとすること」……日和見

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■ひより‐み【日和見】
1 天候の状態を予測すること。また、その人。
2 自分の態度を積極的に決定せず、周囲の形勢をうかがうこと。事のなりゆきによって去就を決めようとすること。

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 あるいは、前記の如き労農同盟の合法政党への転形を以て、日和見主義への顛落(てんらく)に外ならぬと非難する者もあるが、元来、日和見主義とは、周囲の事情とか登山者の体力とかいうような、客観的および主体的条件から生ずる、必然的な、不可避的な要求のないにもかかわらず、ただ道の安きをのみ求め、その時々の最小抵抗線を辿(たど)りつつ、あるいは東に曲がり、あるいは西に曲がることを、主張する者の謂(い)いである。

その特徴は、絶えず山の頂上を目ざしていないということ、(無産階級の解放という窮極目的を忘れているということ、)および一日も早くその頂上に登ろうとする不断の努力と誠意とを欠いているということ、(階級的な立場からする日常の闘争をさぼり、非階級的な協調主義を原則とすること、)にある。

もちろんかようなことでは、いくら早く歩いたところで、山のふもとなり中腹なりを、いつまでも循環しているばかりで、何年経ったからとて、その頂上によじ登れるはずはないのだから、

──略──

 私は、吾々に対して先見の明を誇っている者があるということを聴いて、世の中には臆病者が勝ち誇ることの出来る機会がただ一度だけありうるものだ、ということを、今度始めて発見した。全軍が──本隊が──一大方向転換を余儀なくされる時には、臆病者は一年も半年も先きに逃げおおせているのだから、そのとき必ず先見の明を誇ることが出来るのである。だが吾々は、戦場を往来するものとして、かかる先見の明を誇りうることを、むしろ大なる恥辱となすものである。
(「河上肇 自叙伝A」岩波文庫 p26-29)

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◎したり顔で私たちに説法する活動家に出くわす……。