学習通信050222
◎新鮮な空気……。

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 真の看護は,感染はそれを予防すること以外は顧みない。真の看護婦が問いかけ,あるいは必要としている唯一の防御策は,清潔さ,開け放たれた窓からの新鮮な空気,そして患者への絶え間ない気遣いである。

 賢明で思いやりのある患者管理こそが,感染に対する最善の防止策である。

 広く受け入れられている考えであっても,折にふれ二,三の疑問を呈しておくのが有益なことも少なくはない。例えば,子どもたちは子どもの流行病”“いま流行っている接触伝染病”などと一般に言われているものに罹らなければならない,言い換えれば,生まれた子にはいずれ歯が生えるのと同様に,もし生きていれば麻疹,百日咳,それに猩紅熱(しょうこうねつ)にさえいつかは罹らなければならない,と一般に考えられている。

 ところで,子どもはなぜ麻疹に罹らなければならないのか,その理由をぜひ教えてほしい。

 あなたはこう言う。なぜってそれはうつらないようにはできないからです──よその子どもたちも麻疹に罹っています──この子も麻疹をしなければなりません──これは済ませておいたほうが安全ですから。

 しかし,そもそもよその子どもたちはなぜ麻疹に罹らなければならないのか。そして彼らが麻疹に罹ると,なぜあなたの子どもも麻疹に罹らなければならないのか。

 あなたの子どもが子どもの伝染病に罹らなければならないというのは,広く受け入れられている一つの考え以外のなにものでもないのに,それをあなたが盲目的に信じこんでいるのと同じように,清潔,通風,水漆喰塗り,その他の手段をとるべきだと教える家屋の健康を保つ法則,ちなみにそれらはれっきとした法則であるのだが,これらの法則が正しいことをもしあなたが盲目的に信じそれに従ったならば,あなたの子どもが結局は首尾よく難を逃れることも十分あり得るだろうとあなたは考えないのだろうか。
(フローレンス・ナイティンエゲール著「看護の覚え書き」日本看護協会出版会 p41-42)

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 この顕著な作用によっていかに多量の炭酸ガスが発生したかお話したら諸君はびっくりするでしょう。この炭酸ガスの量は一本のロウソクが四時間ないし七時間燃えた場合に生ずるほどであることを思いますと、地球上において日々炭酸ガスとなって大気中へ出て行く炭素がいかに多量であるか、また自然界における燃焼や呼吸のためにいかに多くの炭素が化学変化をやらなければならないか容易に想像できるでしょう。

おとなは二十四時間の呼吸によって二百グラムの炭素を変化させます。牛はニキログラム、馬は二・二五キログラムです。すなわち馬はその体内において二十四時間に二・二五キログラムの炭素を燃やします、かくしてその時間中の体温を保つのです。あらゆる温血動物は栄養分の中に含まれている炭素の燃焼によって血液の温度を保つのです。

ではわれわれの大気の中で起っている現象はいかに大仕掛けなものでしょうか。ロンドンだけで二十四時間に呼吸のために生ずる良酸ガスの量はおよそ二百五十万キログラムです。この炭酸ガスはいったいどごへ行くでしょうか。空気の中へ。もしも炭が燃えたとき前にお目にかけました鉛や鉄のように同体の産物を生ずるのであったならどんな事になるでしょうか。燃焼は決して継続いたしません。しかし炭は酸化しますと気体を生ずるのですから、その燃焼の産物は飛んで行ってしまって、空気という偉大な運搬器によりて運び去られます。

さて今度はこの炭酸ガスはどうなるでしょうか。呼吸によって空気に変化を生ずるのはわれわれにとっては不利益なことに違いありませんが──何となればこの空気はもう二度と吸えないのですから──この変化は地球上の木やその他の植物にとって大切なものであるということは誠に驚くべきことです。また海や湖の深い水のなかでも同じです、魚やその他水中動物も同じように呼吸をいたします、もっとも空気と直接に接触するのではありませんが。
(ファラデー著「ローソクの科学」岩波文庫 p114-115)

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◎「あるいは必要としている唯一の防御策は,清潔さ,開け放たれた窓からの新鮮な空気,そして患者への絶え間ない気遣いである」と。

◎「その燃焼の産物は飛んで行ってしまって、空気という偉大な運搬器によりて運び去られます」と。