学習通信050327
◎「アメリカの要求だからとは」……。

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潮流

 郵政民営化の裏にアyJ謁 メリカの圧力があるときいてヽ思わず言ってしまいました。「ブルータスよ、お前もか」と▼イラクヘの自衛隊の派兵や憲法改悪の策動でも、経済分野の規制緩和でも、根源にはアメリカの圧力がありました。でも、郵政民営化まで、アメリカの要求があるとは思いもしませんでした▼昨年十月十四日付の日本国政府への米国政府要望書はずばりこう書いています。「本年の米国の提言の柱は、日本郵政公社の民営化が日本経済に最大限の経済的利益をもたらすためには、意欲的かつ市場原理に基づいて行われるべきであるという原則である」▼経済ジャーナリストによれば、「市場原理に基づいて」とは、郵貯・簡保の三百五十兆円という資金をリスク覚悟で株などに投資させ、それに外資系の運用会社も参入させろということだそうです▼昨年九月二十一日の首脳会談で「郵政民営化の進展ぶりはどうか」と切り出しだのはブッシュ大統領の方でした。並々ならぬ力の入れようです。小泉首相は「大きな反対はあるが、しっかりやっていきたい」と答えました。小泉首相が郵政民営化基本方針をあわただしく閣議決定したの映首脳会談に出発する直前の九月十日のこと。会談への手士産だったのでしょうか▼いま、なぜ郵政民営化なのか。小泉首相は説明責任を果たしていません。というより、説明できないのでしょう。アメリカの要求だからとは。郵貯や簡保が外資のえじきになるのを許すかどうか。攻防はこれからです。
(しんぶん赤旗 2005.3.26)

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日本経済にたいするアメリカの介入

 「日本経済にたいするアメリカの介入」の間題は、日米安保条約との関連でさきほど日を向けました。この介入は、政治・経済の上層部だけにかかわる。雲の上≠フ間題ではなく、私たちの日常生活にも重大な影響を与え、日本経済の混乱の原因ともなっています。
 いくつかの実例を紹介しましょう。

「逆立ち」財政の押しつけ。

「逆立ち」財政の第一は、大型公共事業への膨大な資金のつぎ込みと膨大な軍事費にあることは、すでに述べました。アメリカがいつも軍事費の増大を求めてくることは、いうまでもありませんが、実は、公共事業の間題でも、アメリカの介入が重大な役割をしているのです。

 一九八九年、アメリカはブッシュ大統領(父親の方です)、日本は海部首相の時代に、日本は十年間で総額四百三十兆円の公共事業を実行する≠アとを約束させられました。そして五年後の一九九四年、クリントン大統領、村山首相の時代に、これを十年間で六百二十兆円の公共事業≠ニいう約束に拡大したのです(期間は、少しあとで十二年間に変更)。アメリカとの約束だから、むだな事業であろうが何だろうが、年間五十兆円の公共事業はやめられない、という声が、政府・自民党のあいだを支配したのですから、アメリカの介入と圧力が果たした役割は明白でした。

超低金利政策の押しつけ。

 銀行に預金しても、利子がつかない、このゼロ金利政策で、生活設計がくずれた≠ニいう悲鳴が多くの国民のあいだから上がっていますが、これも、引き金を引いたのは、アメリカの圧力です。日本の金利をアメリカの金利より四〜五%は低くしておかないと、お金が日本からアメリカに流れこんでゆかない。だから、アメリカの金利よりずっと低い所におさえろ≠アういう圧力が、ずっとかけられてきて、世界でも例がないゼロ金利が続いているのです。

「構造改革」の押しつけ。

 これは、比較的新しい話ですが、二〇〇一年六月、小泉首相が総理になってはじめて訪米し、ブッシュ大統領と会談したときに、「不良債権の早期処理」が最大の課題だといわれた、これが出発点でした。ここから、多くの中小企業を犠牲にした金融しめつけが始まったのでした。

 綱領が、アメリカの介入について、「日本政府の経済政策に誤った方向づけ」を与え、「日本経済の危機と矛盾の大きな要因」となってきた、と述べているのは、こういう現実の歴史的裏づけをもった指摘なのです。

 なお、対外関係の間題では、第一〇段落と第一一段落では、アメリカの世界戦略との関連に目を向けながら、大企業・財界と日本政府の海外戦略をとりあげています。ここでは、これまでの綱領にあった、「帝国主義の復活・強化」という角度からの日本独占資本主義の海外活動の記述をやめた、という間題がありますが、この点は、七中総報告の「対外活動──『帝国主義復活』問題の考え方」の節で、詳しい解明をおこなっていますので、そこをよく読んでほしい、と思います。これは、理論間題としては、第三講の世界情勢論のところでとりあげる、帝国主義論の新しい発展にもかかわる間題です。
(不破哲三著「新・日本共産党綱領を読む」新日本出版社 p163-165)

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◎「小泉首相が郵政民営化基本方針をあわただしく閣議決定したの映首脳会談に出発する直前の九月十日のこと。会談への手士産だった」。