学習通信050524
◎「ごまかしを見抜けなくては確信をもった闘争は」……。

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 賃金闘争では、学習と職場討議にもとづいた大衆闘争が重要です。資本家はしばしば自分たちに都合のいい「理論」を宣伝して労働者をごまかそうとします。「生産性賃金」論や「支払い能力」論、さらに「内外価格差」論(日本は物価が高いので物価を引き下げれば賃金を上げなくても生活は良くなるという言い分)、「コストインフレ」論(賃上げをすればコスト増を招き、物価上昇を引き起こしてインフレになるという言い分)などの「理論」にひそむごまかしを見抜けなくては確信をもった闘争はできません。

また賃上げ、時短などの要求を実現してこそ真の内需拡大をかちとり、今日の不況を打開できる土台を築くという立場を鮮明にして賃金闘争をおしすすめることが大へん重要です。
(「勤労者通信大学 労働組合コース 04年版教科書」p292)

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春季労使交渉に臨む経営側の基本姿勢とこれからの労使協議のあり方

 一部に景気回復の兆しがみえるが、経済の先行きは予断を許さず、企業は事業の構造改革に今一段の注力が必要な段階にある。安定的な雇用を維持し、国際競争に打ち勝てる企業体質の強化に労使の協力が必要であり、賃金などの労働条件の問題についても、この現状をふまえての対処が望まれる。また、企業規模が小さくなるにつれて付加価値に占める人件費(労働分配率)の比率は高くなっている。企業規模・企業体質に見合った賃金決定は、経営の根幹にかかわる問題である。

 企業レベルの賃金決定については、企業の支払能力によることが重要である。われわれが提唱する支払能力による賃金決定とは、付加価値生産性(従業員1人当たりが生み出した付加価値)を基準とするものである。特に、総額人件費管理の観点からみれば、所定内給与の引き上げは、総額人件費をほぼ自動的に1.7倍引き上げることになる。今後、社会保障費などの企業負担の増大は必至であり、賃金決定に際してはこの総額人件費管理の視点に留意しなければならない。

 この意味で、定期昇給制度や退職給付制度の見直しは、従来に引き続いての重要課題である。毎年だれもが自動的に昇給するという定昇制度が未検討のままに残っているとすれば、廃止を含めて制度の抜本的な改革を急ぐべきであろう。退職給付についても、団塊世代の大量退職に備え、定年後の処遇を含めたさまざまな要件を勘案しながら、企業経営への影響を最小限にとどめるような対応を考えていかなければならない。

 賃金決定は中長期的な経営や生産性の確たる見通しのもとに決定することが不可欠である。現実に、賃金は簡単には下げられず、その上昇が固定費の増加に直接つながるわけで、単年度の業績や短期間の生産性の動向だけで賃金決定を行なうべきではない。激しい国際競争と先行き不透明な経営環境が見込まれるなかでは、国際的にみてトップレベルにある賃金水準をこれ以上引き上げることは困難である。

 その意味で、もはや市場横断的な横並びの、いわゆる「ベースアップ(ベア)。要求をめぐる労使交渉は、その役割を終えた。

 個別企業においても、賃金管理の個別化が進むなかでは、全従業員の賃金カーブの毎年の一律的底上げという趣旨での「ベースアップ(ベア)」についても、その機能する余地は乏しいといえよう。もちろん、個別企業レベルにおいては、大幅な生産性の向上や人材の確保などのために賃金の引き上げが行なわれる場合があろうし、逆にやむを得ず、賃金引き下げに造られる事態も生じうるが、今後、これらは「賃金改定」と称すべきと考える。

 実際には、短期的な企業業績の成果については賞与・一時金への反映を協議する姿勢が望まれるが、これからの労使交渉においては、企業の競争力強化の観点から、中長期的に雇用、賃金、人事管理のあり方について幅広い角度からの話し合いが必要になる。

 なお、国民経済レベルにおいては、日本全体の高コスト構造を是正していくために、経営コストにもっとも大きな比重を占める賃金を適正な水準に抑制することが、生産性基準原理の観点からも不可欠である。個別企業の賃金決定は個別労使が話し合いで決めるが、日本全体の経済状況をみるならば、総じて賃金引き上げの余地はほとんどないことを改めて強調しておきたい。

 いうまでもなく、例年の春季労使交渉は、労使が定期的に情報共有・意見交換をはかる場として、大きな意義をもつと考える。そして今後の労使関係においては、賃金など労働条件一般について論議し、さらに労働条件以外の経済・経営などについても認識の共有化をはかることが重要である。したがって労使協議の役割が、労働組合の有無を問わず、一層重要性を増すといえよう。

 企業労使が、労使協議を通じて、経営環境の変化や経営課題、すなわち賃金・労働時間・雇用問題から、多様な働き方、従業員個々人のキャリア形成、能力開発、メンタルヘルス、さらには企業倫理などについて広範な論議を行なうことにより、企業が生き残るための方策をともに考え、共通の認識を深める意義は大きい。2年前より本報告が指摘しているように、「春闘」はすでに終焉した。今後は、春季の労使討議の場として「春討」が継続・発展することに期待したい。

 なお、雇用環境などの変化を背景に、近年、解雇などに関する個別的労働紛争が急激に増加の傾向にあり、司法制度改革の一環として、こうした個別的労働紛争を迅速に解決するため、「労働審判制度.が創設される(2006年4月施行予定)。

 個別的労働紛争は、本来、企業のなかで解決されるべきであるが、企業内で紛争が解決できない場合には、今後、労働審判制度を積極的に活用することも考慮すべきであろう。
(日本経済団体連合会「2005年版 経営労働政策委員会報告」日本経団連出版 p52-56)

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第五節 ストライキと労働者の団結

 「賃金におけるあらゆる騰貴運動は、小麦、ブドウ酒等々の騰貴の結果を、すなわち生活難の結果をもたらすのみである。なぜなら、賃金とはなにかというと、それは小麦等々の生産原価であり、あらゆるものの組成価格だからである。もっと深く考えてみよう。賃金とは、富を組成するとともに、勤労大衆によって毎日再生産的に消費される諸要素の比例性である。ところで、賃金を二倍にすることは、……生産者たちの各自に彼の生産物よりも大きな分けまえを与えることであって、このことは、自己撞着しているし、また、賃金引上げが少数の産業にしか及ばない場合には、交換における一般的混乱、つまり生活難を誘発する……。はっきり言っておくが、賃金の増加をともなうストライキが全般的価格騰貴に帰着しないということはありえない。このことは、2プラス2が4になるということと同じぐらい確実なことである。」〔プルドン、第一巻、一一〇ページ、一一一ページ〕

 われわれは、2プラス2が4になるということを除いてそれらの主張をすべて否定する。

 まず第一に、全般的価格騰貴というものは存在しない。もし、あらゆるものの価格が賃金と同時に二倍になるとすれば、価格のうえには変化がなくて、ただことばのうえに変化があるにすぎない。

 次に賃金の全般的引上げが諸商品の多かれ少なかれ全般的な価格騰貴をもたらす、ということはけっしてありえない。事実、もしすべての産業が、固定資本またはそれら産業の使用する諸手段との関連において同数の労働者を使用するとすれば、賃金の全般的騰貴は利潤の全般的低下をもたらし、諸商品の市場価格はなんらの変化もうけないであろう。

 しかし、手労働の固定資本にたいする割合が諸種の産業において同一でない以上、相対的に大量の固定資本と少数の労働者とを使用するすべての産業は、おそかれはやかれ、その商品の価格を引き下げざるをえないであろう。これとは反対に、その商品の価格が低落しない場合には、それらの産業の利潤は共通〔平均──ドイツ語版〕利潤率以上に高くなるであろう。機械は賃金労働者ではない。だから、賃金の全般的引上げが、他の産業に比較して労働者よりも機械を多く使用する諸産業に与える打撃は、より少ないのである。

しかし競争がつねに利潤率を均等にする傾向を有するので、普通〔平均──ドイツ語版〕率以上に商い利潤は、一時的なものでしかありえない。それゆえ、若干の変動を度外視すれば賃金の全般的引土げは、プルドン氏の言うように全般的な物価騰貴をもたらすのではなくて、部分的な〔価格〕低下を、すなわち、主として機械の助けをかりて製造される商品の市場価格の低下をもたらすであろう。

 利潤と賃金の騰落は、資本家と労働者とが一労働日の生産物の分配にあずかる割合を表わすにすぎないのであって、ほとんどの場合、生産物の価格には影響を与えない。
(マルクス著「哲学の貧困」マルクス・エンゲルス8巻選集@ 大月書店 p252-254)

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◎「利潤と賃金の騰落は、資本家と労働者とが一労働日の生産物の分配にあずかる割合を表わすにすぎない」と。