学習通信050720
◎いつでも、思うままにひきおこす力……

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民主主義革命と民主連合政府(第四章)

 つぎに「第四章 民主主義革命と民主連合政府」にすすみます。
 民主主義革命論は、綱領路線の核心をなす部分です。この綱領を決定した当時、世界の共産党の連動のなかでも、発達しか資本主義国での民主主義革命という路線は、ほとんど他に例のない、独自のものでした。私たちはその路線を、四十三年問の活動のなかで、より豊かに発展させてきました。この章は、こうしてかちとってきた実践と理論の全成果を反映させながら、綱領路線をより現代的、合理的なものに仕上げたものであります。

民主主義革命の路線について

 この四十三年間、自民党政治がしがみつき、国民的利益との矛盾をいよいよ深めている路線は、対米従属と安保堅持、大企業・財界奉仕という二つの点をなによりの特徴とする路線でした。これにたいし、日本共産党は、綱領にもとづいて、従属国家から独立・主権の国家への転換、財界主役の政治から国民主役の政治への転換という、日本の進路を切り替え新しい未来を開く路線を対置してたたかってきました。

 日本の政党のなかで、自民党政治と対決して、日本の進路を切り替えるという方針を、この四十数年間、まとまった形で一貫して提起したというのは、日本共産党の民主主義革命の路線だけであります。野党といわれる政党のなかでも、「二大政党制づくり」の財界戦略を背景に、自民党流の路線の枠内での政権交代という流れが強まっている今日、民主主義革命というこの路線のもつ意義は、いよいよ大きくなっています。

 この路線は、日本共産党が日本の情勢の独自の分折から引き出した、日本独自の路線であります。しかしこの経験のなかには、世界的な目から見て、一般性をもつ側面も、ある程度はふくまれているように思います。

 たとえば、世界経済の「グローバル化(地球規模化)」にどう立ち向かうかが、いま、諸国民の国際的な運動のなかで大きな課題となっています。わが党はこの問題で、「民主的な国際経済秩序の確立」という目標を提起してきました。前大会では、「大会決議」のなかで、この問題のくわしい解明もおこないました。

 これにたいして、ヨーロッバの一部では、社会主義革命路線の立場から「資本主義的グローバル化反対」という目標を対置する流れもみられました。しかし、実際の状況をみますと、ヨーロッパでも、現実の運動は、覇権主義や多国籍企業の横暴を許さない民主的な国際秩序をめざす方向で発展しているようであります。

 これは、資本主義的な横暴や抑圧のさまざまな現れにたいして、民主的な改革のプログラムをもって対抗するという方針の有効性が、国際的な舞台で試されたものとみることもできるでしょう。

 私たちの経験でも、国際的な交流のなかで、多くの人びとから、私たちの民主主義革命の路線に関心をよせているということを、よくうかがいます。それは、日本の運動のなかに、発達した資本主義の国で、民主主義的な段階をへて社会主義に接近してゆくという一つの形態をみての注目であるということも、ここで報告しておきたいと思います。

合理的、現実的な仕上げの特徴

 綱領の、この部分を仕上げるにあたっては、私たちは、

革命の任務──民主主義革命が達成すべき任務が資本主義の枠内での民主的改革であることを明確にすること、

政府目標──民主連合政府がこの民主的改革を実行する政府であり、国民の支持のもとに民主主義革命をやりとげる政府であることを明確に規定すること、

 この二つを基本点として、全体の整理をおこないました。
 現綱領には、「人民の政府」、「民族民主統一戦線のうえにたつ政府」、「アメリカ帝国主義と日本独占資本の支配を打破していくのに役だつ政府」、民主勢力がさしあたって一致できる目標の範囲での「統一戦線政府」、「革命の政府、革命権力」などなど、多様な政府規定がありました。

 改定案は、これらの政府規定を、「民主連合政府」と、そこにいたる中間段階あるいは過渡的な段階での「統一戦線の政府」という、二つの政府規定に整理しました。これが、さきほどあげた、二つの基本点によって整理したということの一例であります。

 その結果、現在から将来にわたる見通しも、より見やすくなったという声が大きく聞かれるのは、うれしいことであります。

 しかも、そのことは、党の路線のうえで、一方では、今後に予想される複雑な事態に柔軟に対応できる弾力性を、他方では、社会進歩の事業のもつべき原則的な立場をどんな波乱のなかでも守りぬく確固性を、両面を合わせて保障する力となっていると、考えています。
(不破哲三著「報告集 日本共産党綱領」日本共産党中央委員会出版局 p29-32)

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……しかし、それらの秘密結社の多くのものは、実際に時の政府を転覆する意図でつくられたほんものの陰謀団であったにしても──そして、ある種の事情のもとで陰謀を企てようとしない者が卑怯者であるのは、別の事情のもとで陰謀を企てようとするものがばか者であるのとまったく同じである──、それ以外に、もっと広い、もっと高い目的をもってつくられた結社もいくつかあった。

それは、現存政府を転覆することが、迫りつつある偉大な闘争の過渡的な一段階にすぎないことを知っていて、いずれヨーロッパで、たんなる「暴君」や「専制君主」や「簒奪者」の支配を打ち砕くのでなく、彼らの権力よりもはるかに有力で、はるかにおそるべき権力の支配、すなわち労働にたいする資本の支配を永久に打ち砕くはずの最後の決戦に備えて、自分が中核となって、党を結集し、これにその準備をととのえさせようとしていた結社である。

 ドイツにおける先進的な共産党の組織はこういう種類の組織であった。党の『宣言』(一八四六年に発表された)の諸原則や、『ニューョーク・デイリ・トリビューン』に掲載された『ドイツにおける革命と反革命』についての連続論説のうちに説明されている諸原則に一致して、この党は、党の思想を実行に移すはずの革命を、いつでも、思うままにひきおこす力が自分にあるとは、けっして考えていなかった。

党は、一八四八年の革命運動をひきおこした諸原因や、それを失敗させた諸原因を研究した。党は、すべての政治闘争の根底に諸階級の社会的対立がひそんでいることを認識して、ある社会階級が、一国民の全利益を代表し、こうしてまたその国民を政治的に支配するようにという要請をうけるようなことが、どういう条件のもとで起こりうるか、また起こらざるをえないかの研究にしたがった。

歴史は共産党に次のことを示した。
中世の土地貴族につづいて、初期の資本家の金融権力が台頭してきて、政権を掌握したこと、蒸気力が採用されて以来、資本家のうちのこの金融資本家層の社会的勢力と政治的支配が、産業資本家の新興勢力によって駆逐されたこと、そして、現在ではさらに二つの階級、すなわち小商工業者の階級と産業労働者階級とが、自分たちの支配の順番がきたと主張していること、これである。

理論的推論は、共産主義的労働者階級が永久的にその権力を確立し、彼らをブルジョアジーのくびきにつないでいる賃金奴隷制を破壊できるようになるまえに、まずもって小商工業者的民主党の支配する順番がこなければならない、という結論にみちびいたが、一八四八〜四九年の実践的な革命的経験は、この推論を裏書さした。

こういうわけで、共産主義者の秘密組織は、ドイツの現存の諸政府の転覆ということを、直接の目的とすることはできなかった。

この組織は、これらの政府ではなく、おそかれはやかれこれらの政府のあとをつぐはずの、反乱から生まれる政府を転覆するためにつくられたのであって、その成員は、個人的には、今日の現状に反対する革命運動にも、それにはそれで、活発に協力するかもしれないし、またたしかに協力するであろうが、大衆のあいだに共産主義的見解を秘密にひろめること以外の方法で、そういう運動を準備することは、この結社の目的ではありえなかった。

結社のこういう基礎は、大多数の成員によって十分に理解されていたので、猟官的野心に駆られた数名の分子がこの結社を即席の革命をやる陰謀団に変えようとしたとき、彼らはたちまち組織のそとにほうりだされたくらいである。
(エンゲルス著「ケルンの共産党裁判」M・E八巻選集 大月書店 p248-249)

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◎「諸原則に一致して、この党は、党の思想を実行に移すはずの革命を、いつでも、思うままにひきおこす力が自分にあるとは、けっして考えていなかった」と。