学習通信060412
◎空気の悪さ……

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 とくに人生の最初の時期において、空気は子どもの体質に影響をおよぼす。体じゆうの気孔から空気は繊細で柔らかな皮膚にしみこみ、生まれたばかりの体に強い影響をあたえ、将来も消えることのない刻印を残す。

だからわたしは、農村の女を都会に連れてきて、家にとじこめ、そこで子どもを養育させることには反対だ。乳母が都市の悪い空気を吸うよりも子どもが田舎に行ってよい空気を吸うほうがいい。

子どもは新しい母の生活状態をうけいれ、田舎の家に住み、教師も子どもについていくがいい。この教師は金でやとわれた人間ではないこと、子どもの父親の友人であることを読者は思い出されるだろう。

しかし、そういう友人がいなかったら、いても田舎に移るのは容易でないとしたら、あなたがおっしやることはなに一つ実行することができないとしたら、そのばあいはどうするか、と人はわたしに言うのだろうか。……それはすでに言っておいた。あなたがたがしているようにすることだ。それにはなにも忠告することはない。

 人間はアリのように積み重なって生活するようにつくられていない。かれらが耕さなければならない大地の上に散らばって生きるようにつくられている。

一つところに集まれば集まるほど、いよいよ人間は堕落する。弱い体も悪い心も、あまりにも多くの人が一つところに集まることによって生じるさけがたい結果だ。

人間はあらゆる動物のなかで、群れをなして生活するのにいちばんふさわしくない動物だ。羊の群れのようにひしめきあっている人間はすべて、たちまちのうちに滅びてしまうだろう。

人間の吐く息は、その仲間にたいして致命的である。これは比喩的な意味においてだけではなく、本来の意味においても真実だ。
(ルソー著「エミール 上」岩波文庫 p65-66)

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 レース製造業のもう一つの部門、つまり手編レースは、もともと農業州であったノーサンプトン、オックスフォード、ベッドフォード、バッキンガムで、しかもたいていは子どもや若者によって、おこなわれている。

彼らは一般に栄養の悪さを訴えており、肉を食べることはめったにない。仕事それ自体もきわめて不健康である。

子どもたちは、小さな、風とおしの悪い、湿気の多い部屋で、いつも座って、レース編台のうえにかがみこんで仕事をしている。

こういう無理な姿勢で身体を支えておくために、娘たちは木製の骨のついたコルセットをつける。彼女たちはまだ幼い年齢で、たいていは骨もまだ非常にやわらかく、またかがんだ姿勢をとっているためにコルセットが胸骨や肋骨をまったくゆがめてしまい、一般に呼吸困難をひきおこす。

したがって多くのものは、座業と空気の悪さとのために、しばらくのあいだは消化不良のもっともはげしい作用に苦しみ、そののち肺結核で死んでしまう。彼女たちはほとんど教育をうけておらず、まして道徳教育はなく、おしやれが好きで、この二つの理由から彼女たちの道徳的状態はきわめて嘆かわしく、彼女たちのあいだでは売春がひろがっている(児童雇用委員会、バーンズの報告)。

 これが、ブルジョアジーの美しい御婦人たちのレースを身にまとうという喜びのために、社会が支払っている代価なのである──それはたいへん安い代価ではないか? わずか数千人の失明した労働者、ほんのすこしの肺病やみのプロレタリアの娘、自分の長わずらいを自分と同じように卑賤な子や孫へつたえていく卑賤なたった一世代の大衆──これがなんだというのか? なんでもない、まったくなんでもない。

わがイギリスのブルジョアジーは政府委員会の報告に関心をしめすことなく無視し、その妻や娘をいままでどおりレースで飾るであろう。イギリスのブルジョアの平静は、これまた立派なものだ!
(エンゲルス著「イギリスにおける労働者化育級の状態 下」新日本出版社 p16-17)

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◎「人間の吐く息は、その仲間にたいして致命的である。これは比喩的な意味においてだけではなく、本来の意味においても真実だ」と。