学習通信060530
◎要求から出発し、悩みに心をよせ……

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子どもの質問にどうこたえるか

 子どもも乳児から幼児、ちょうど三歳前後になりますと、親から急速にはなれてゆくようになります。いままでおとなになんでもやってもらっていたのが、たとえできなくとも自分でやろうとします。また、行動もひろがり、友だちと積極的に遊ぶようになります。そして、見たもの、手にふれたもの、聞いたものひとつひとつがめずらしく、おとなに向かってさかんに質問するようになります。

「この虫なんて虫?」「こがね虫」「こがね虫とぶの?」という具体的なものから、「とうちゃん、ベトコンってなあに?」というような質問をするようにもなります。このころの子どもの質問の特徴は、新しい知識をどんどんとり入れるところにあるようです。おとなが答え方に困るような質問をしておきながら、きわめて子どもらしい単純な理屈(たとえば擬人化)でつじつまを合わせることもあります。

 なお、幼い子どもの質問をしらべてみますと、@家庭、保育園、幼稚園というその子どもに影響をあたえるおとなの興味、関心事がすくなからず子どもに伝染しています。A年齢が大きくなり、ことばの習得がすすむにつれて、外形的なものから、ものごとの意味、関係という点に質問が向けられます。Bばく然と見たものふれたものをなんとなく質問する受け身な子どもと、積極的に問題をみつけて、おとなに質問してくる能動的な子どもとがみられます。

 さて、こうした質問の答え方ですが、基本的には、子どもがどんなに幼くとも、また簡単にみえる質問であっても、質問を仲介として子どもとおとながともに質問の内容を考え合う、という姿勢が大事でしょう。そして、おとなが答えられない質問にしばしばぶつかりますが、こうしたばあい、(イ)突き放す、(ロ)おとぎばなし的たとえでごまかす、(ハ)子どもにとってわからないことばを使って問題をさける、などはもちろんよくないことでしょう。

 子どもの質問にたいして、わからなければ「わからない」とはっきりいうこと、さらに、「いっしょにしらべてみよう」といって子どもとしらべるというおとなの態度が、真実をたゆみなく追及する方向に子どもを向かわせると思います。

 以上の点はたいへん重要なことですが、ただ子どもの発達段階を考えないで、機械的にこの態度を実践している「民主的」パパ、ママもいるようです。子ども自身がどれくらい自分の力で考えられるようになっているか、やはりそれにふさわしい答えと示唆であってほしいものです。セックスとか恋愛の問題について、しばしばこの種のゆきすぎがみられるようです。
(近藤・好永・橋本・天野「子どものしつけ百話」新日本新書 p78-79)

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どうやって後継者をつくるか

 まず、どうやって後継者をつくるかという問題です。「何としても支部を継承し、発展させたい」ということは、多くの職場支部の痛切な願いであります。青年の結集を重視しつつ、三十代、四十代もふくめ、条件と可能性をくみつくし、執念を燃やしてかけがえない職場支部の継承をはかりたいと思います。

 「どうやってすすめたらいいのか」の悩みが多くだされました。この講座でも交流で深めていただきたい問題ですが、聞き取り調査から私たちが学んだ点をいくつか報告したいと思います。

 ここでも要求から出発すること――若い世代の仕事、人間的連帯、平和の要求から出発し、悩みに心をよせた活動が大切だと思います。とくに党大会の結語でものべたように、いま若い世代は「二重の苦しみ」――人間らしい雇用が破壊されていることにくわえ、それが「自己責任」だと強制され思い込まされている――のなかにあります。その苦しみ、悩みに心をよせるところから、若い世代との心の交流がはじまるのではないでしょうか。

 教職員の職場から、「お手本になれなくても、悩みの聞き役ならできる」という姿勢で接しているという報告がありました。「お手本になれなくても」というところが、柔軟でリアルなところだと思います。いまの教育現場にはさまざまな矛盾や困難があり、「私がお手本だよ」とはなかなかいえない状況もある。

しかし、そういう教師であっても、「悩みの聞き役」にはなれるでしょう。こういう姿勢で接し、「悪いのは君たちではない。政治の責任だ」というだけで、相手は何人も涙を流し、対話になるということでした。「あの先生の一言で立ち直れた」、「あの先生のようになりたい」と人間的信頼関係を築き、党に迎え入れています。

 とりわけ、「よい仕事がしたい」という若者の願いにこたえて、自らの仕事への誇り、働きがいを語り、仕事の知識や技術をつたえていくことが大切であります。これも教職員の職場ですが、「先生のがっこう」という連続講座を組合が開催したことが、「どうやって教えたらいいのか」という不安をもつ新任教員の要求とぴったりかみあい、青年教師の結集が前進しているという報告もありました。

 自治体の職場からも、「組合が新入職員からアンケートをとると、多くが『住民のための仕事がしたい』とこたえる。ここに依拠し、共感することで青年と心がつうじる。党員拡大では、徹底して『党を知る会』を重視するなかで、入職二〜三年の若い人が入党している」という報告がありました。

 どうやって後継者をつくるかという問題は、みなさんが苦労してとりくまれている問題だと思いますが、ぜひこの講座で深めていただくことをお願いするものです。
(「職場問題学習・交流講座への報告 幹部会委員長 志位 和夫」 しんぶん赤旗 2006.4.25)

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◎──質問にたいして、わからなければ「わからない」とはっきりいうこと、さらに、「いっしょにしらべてみよう」といって子どもとしらべるというおとなの態度が、真実をたゆみなく追及する方向に子どもを向かわせる──と。