学習通信060712
◎仕事についての取り組み方も……

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仕事のあたえ方

 家庭の日課の一端を子どもが受けもつことは、家庭教育にとって大切なことだと思います。ただし、現在の社会体制のゆがみ、生産的労働軽視の影響で、子どもは、喜んで仕事をするというよりも、仕事をいやがる傾向の方が大きいのです。そして、これと関連しますが、おとなが子どもに仕事を与える与え方にも、子どもが仕事をきらう原因があるようです。

 本来、子どもは、仕事をすることに意欲をもっています。このことは、子どもの遊びをみても理解されましょう。遊びの初期、子どもは、おとなたちの生活や活動の中身を積極的に模倣し、遊びを展開します。そして、幼児後期、遊びと仕事が分化する時期、仕事についての取り組み方もひじょうに意欲的です。

 「当番すき?」「ミンナノコトヤルカラスキ」「オカズクバッタリ、ゾウキンデ机フクノ才モシロイ」(四・五歳児)。
 というような意見も聞かれるわけです。

 ところが、もうすこし大きくなると「ツカレルカラダメ」とか、「ボクト関係ナイ」というように、いまのゆがんだ体制に無自覚なおとなの生き方が、具体的に子どもの仕事観に影響し仕事をきらうようになります。そして仕事をきらうようになる子どもにたいして、おとなは、ますますむきになって命令的に仕事をやらせようとし、さらに仕事をきらう子どもをつくりあげていきます。

 ですから、以上のようなことを考慮して、子どもたちに仕事を与えていくばあい、

@幼いこどものばあいには、おとなの意欲的な仕事の取り組みを具体的につたえていく。

A小学生のばあいには、仕事の目的の相互理解、仕事の結果が、家庭生活にどのように役立てられるかというようなことを話し合い、与えていくことが必要でしょう。つまり、日課を分担する意義をのみこませ、家族の全員が協力して家庭をきずいていくというかまえが大切なのです。

 忙しい共働きの家庭では、とかく、子どもに一方的に目的も知らせず仕事を頼みがちです。しかも、子どもから拒否されると、「頼むからやってくれ」とか、「買収」という手を使いがちです。

そして、しらずしらずのうちに、働くことの意義を理解せず、ただいわれたとおりにすればことがすむような態度に自身の子どもをしたてあげてしまいます。こうしたことのないように、小さい時から相互理解、相互協力という方向で子どもに仕事を課したいものです。
(近藤・好永・橋本・天野「子どものしつけ百話」新日本新書 p106-107)

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すばらしきもの、労働者

 日本は高度に発達した資本主義の国であり、アジアでいちばん進んだ文明国である。

 北から南に細長いこの国を、汽車や電車、自動車などの交通機関が網の目のようにおおっている。電信、電話、郵便などの通信網は、もっと細かく村むらにはいりこんでいて、人びとは短い時間で行き来できるし、通信もできる。新聞、ラジオ、テレビが広くゆきわたっていて、東京でのできごとは時を移さず全国に知らされる。少数の例外をのぞけば電灯も日本中のすべての家庭を明るくしている。都会では、八階、一〇階という大きなビルディングやデパートが立ちならんでいる。オート三輪、モーターバイクが農道を走る光景も今日の日本では珍しいことではなくなっている。航空機を利用すれば、東京から札幌まで日帰りできる。身近かな事柄をひろってみただけでも日本はたしかにアジア第一の文明国であるということができる。

 このように、発達した文明は日本民族の長い歴史をつうじて、日本の働く人民が労働によって築きあげてきたものである。そしてこんにち、このような文明をささえ、発達させ、国民生活をささえている中心的な力は労働者階級である。

 船や航空機、汽車、電車、自動車を製造し、これを運転しているのは労働者である。発電所やガスエ場を建設したのも労働者であるし、それを運転して電気やガスをつくるのも、またこれを工場や家庭に配給するのもすべて労働者の仕事である。郵便、電信、電話などの通信手段や新聞、ラジオ、テレビなどの報道手段も同様に労働者の手でつくられ、労働者によって運営されている。鉄、石炭、石油など工業の原材料もすべて労働者が掘りだし加工している。ビルディングなどにつかう鉄筋やセメント、ガラスなどはいうまでもないが、こんにちではわれわれの小住宅の建築につかう瓦や木材のほとんどが資本主義的な工場で労働者によってつくられている。

 それだけではなく、資本主義の高度に発達したわが国では、衣食住を含めて国民生活に必要な物資の大部分が工場で生産されている。綿糸、スフ、レーヨンなど糸類はすべて工場生産だし、布も手織はいうにたりないほどで、ほとんどが機械織であり、この中でも工場生産の量が圧倒的に多い。米、麦は農民が手労働でつくるが、みそ、しょうゆ、砂糖などの調味料は、大部分工場で生産されている。農具や化学肥料から靴、下駄、鍋、釜、茶わんの類、マッチにいたるまで、われわれの家庭でつかうもののほとんどが労働者の手でつくられたものである。このことは、諸君が身のまわりを見まわしてみれば、疑う余地のないこととして、納得されるであろう。最近では、やきとりのくしまで工場で、機械によってつくられているほどである。

 このようにわが国では、資本主義的な生産方法が国民経済のなかで支配的な地位を占め、国民生活のすみずみにまで深くおよんでいる。近代的な工場生産ときりはなしてはこんにちの国民の生活は考えられない。日本の資本主義社会をここまで発展させてきたのは労働者階級の働きである。またこんにちその生産をささえ、さらに発展させているのも、労働者階級の力である。労働者階級こそ、日本の近代的な生産と社会生活の中心的なにない手である。

 このことはメーデーの一日を期して、一四〇〇万の労働者がいっせいに働く手を止めた場合を想像してみればだれにも容易にうなずけることであろう。その時には文明の鼓動は止まり、日本国民の社会生活は完全に麻痺してしまう。労働者階級の働きなしには、日本の社会は一刻も生きていくことができない。日本の社会にとって労働者はこれほど重要な地位を占め、偉大な役割を果たしているのである。

 このことを一人ひとりの労働者が自覚すること──そこから現在にたいする確信と将来にたいする明るい希望が生まれてくる。
(春日正一著「労働運動入門」新日本出版社1963年 p7-9)

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 古代国家から武士階級中心の封建社会への切り替わりもありました。源平の内乱から徳川幕府にいたる時代、何百年もかかってこの切り替えがおこなわれました。封建社会から資本主義社会への切り替えは、明治維新以後、これはたいへん急ピッチな変革でした。

 難問にぶつかり、手探りを重ねながらも、先人は道を切り開いてきました。

 これらの変革は、たいへんではあっても、はっきりいうと、少数の人が多数の人を搾取する搾取社会が、一つのタイプから別のタイプに、封建的タイプのものから資本主義的タイプのものにかわるという切り替えでした。

 私たちがめざす社会主義・共産主義社会への切り替えは、搾取そのものをなくそうということ、本当の意味で「人間が主人公」になる社会をつくろうという仕事ですから、これは文字通り人類の歴史を変える大事業です。それだけに大変な事業ですが、私たちは、切り替えの大方向、切り替えの要になる中心点は「生産手段の社会化」であり、資本主義の矛盾から抜け出すにはこの道しかないということが、明らかになっていると考えています。

 しかし、それがどんな具体的な形で「社会化」されるのか、どんな姿をとるのか、これはいま机の上で描けるものではありません。そのときどき、この運動に足を踏み出すさまざまな国で、それぞれの国民が英知を発揮し、自分の経験を生かして取り組み、切り開き、そのなかから生まれてくるものだと思います。

 しかしそのなかでも、私たちがいまから、これだけははっきりしているといえることは、綱領の改定案の中に明確に書き込みました。

イ、どんな改革も国民の合意によって

 第一は、どんな改革も国民の合意によってやるということです。民主連合政府をつくったら、国民が民主主義の段階だと思っているあいだに、政府が勝手に社会主義にいっちやったなどということは絶対ないのです(笑い)。国民と相談しないで勝手に改革をやるということはありません。

 社会主義への最初の改革に進みだすときでも、事前に選挙による国民の合意を得て実行する。さらに次の改革をやるときにも、そういう国民の合意を先行させる。これは、当たり前のことであります。「人間が主人公」の社会をつくろうというのに、国民をそっちのけにした、勝手なことができるはずがありません。(拍手)

 そのことは綱領改定案で、「その出発点となるのは、社会主義・共産主義への前進を支持する国民多数の合意の形成であり、国会の安定した過半数を基礎として、社会主義をめざす権力がつくられることである。そのすべての段階で、国民の合意が前提となる」と明記されています。

ロ、「社会化」の形態は多様だが、「生産者が主役」が原則

 第二は、「社会化」の形はいろいろあると思います。協同組合をつくることもあるでしょう。国有化という場合もあるでしょう。その他の新しい形態も生まれてくるでしょう。しかし、どんな場合でも「生産者が主役」です。現実に工場で機械を勤かしている働く人たちが主役にならない改革が、社会主義になるはずがありません。つぶれたソ連のように、資本家の代わりに上から官僚が任命されてきて、それが勝手に工場をきり回す、というのでは、名前が変わるだけであります。

 だから私たちは綱領改定案の中でも「生産者が主役」、これが原則だ、「生産者を抑圧する官僚専制の体制をつくりあげた旧ソ連」の二の舞いはきびしくしりぞけることを、はっきりさせました。
(不破哲三著「報告集 日本共産党綱領 ─講演 党綱領について」日本共産党中央員会出版局 p224-226)

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◎「現実に工場で機械を勤かしている働く人たちが主役にならない改革が、社会主義になるはずがありません」と。