学習通信060901
◎兵糧攻めで締め上げたあげく……

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労働者は本来税金を払わなくてよい

 このように、人に雇われて働きに出ざるを得ないのが労働者である。資本家、現代風に言うと企業はお金をまず投じて工場、機械・設備、そして原材料を買い、労働者を雇う。この際元手のお金をどこから持って来るかも一つの問題である。明治維新の時、政府も税金を取る所が無くて困ったが、徳川時代の大商人がすべてつぶれたのだから、企業を作り、産業を興そうにもお金がない。これをどうやってヒネリ出したかは金融の問題で、これについてはあとの方で説明する。

 いずれにせよ、企業(今では個人企業は少なく、ほとんど会社だから会社といってもよい)は金儲けのために機械や原材料などのモノと、労働者というヒトを買って事業をする。但しヒトといっても労働者を奴隷として買ったのではなく、事務所や工場に来て働く能力、つまり労働力を買ったのである。労働者は彼の持っているただ一つの商品である労働力を売り、代金として賃金とか給料とかを受け取る。

 ここでもう一度前節の財政と税金の話に戻ろう。税金は法人税(外国では会社税)と所得税が基本である。しかし法人税は会社が自分の持ち物である商品を売った代金、つまり売り上げに対してかかるのではない。売り上げの中から得た利益に対してかかるのである。たくさん売り上げても利益が出ていなければ税金は払わなくてもよい。だから会社は利益をかくす。

 これに対して労働者の払う勤労所得税は利益ではなく、労働者が持っている労働力という能力を会社に売った代金、つまり給料に対して課税される。売り上げに対して課税されているのである。労働者は労働力を売って利益を得ているのではない。労働力の売上代金は一家がやっと生きていくための生活費にあてるのであって、これがないと生きていけない。当然働けない。利益ではなく、コストである。だから本来勤労所得税など、上級の管理職は別として、労働者は払ういわれなど無いのである。

 ところがそれどころか、われわれは消費税まで払わされている。消費税や酒・タバコの税金など、商品の代金と一緒に払う税金を間接税という。法人税や所得税は直接税という。政府・与党や御用学者たちは、日本は直接税の比率が高過ぎるから、外国並みにもっと間接税を取るべきだという。とんでもない話で、日本とドイツなどヨーロッパ北部を除き、大体世界中の人(企業ももちろん)は税金を払うまいとする。イタリアなど、ちやんと払う者は馬鹿者扱いされる。だから仕方なしに売り上げに対して間接税を取っているのである。

 日本人は自動車が来なくても赤信号なら止まるし、税金は外国人に比べると馬鹿正直なくらいちやんと払っている。大体勤労所得税の源泉徴収など、会社が税務署の仕事の肩代わりをさせられて労働者が有無を言わさず絞り取られる方式は、国際的には珍しい方なのである。
(大槻久志著「やさしい日本経済の話し」新日本出版社 p25-26)

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「逆立ち税制」――高齢者への大増税、 消費税増税に反対する国民的反撃を

 第三は、「逆立ち税制」をただすことであります。格差が拡大したら、所得の再分配によってそれを是正するのが税制の役目です。ところが、「庶民に大増税、大企業に減税」という逆立ちした税制によって、格差に追い打ちをかける事態が引き起こされています。

 いま高齢者のなかで、急激な増税・負担増への悲鳴、怒りと怨嗟(えんさ)の声が沸騰しています。老年者控除の廃止、公的年金控除の縮小、定率減税の縮小などが、いっせいに襲いかかり、税負担が数倍から十数倍になり、それに連動して介護保険料や国民健康保険料などが「雪だるま」式に膨れ上がるという事態がおこっています。これは高齢者が耐えられる限度をはるかに超えた、まさに生存権を脅かす負担増です。わが党は、「雪だるま」式負担増の問題をいち早く国会でとりあげ、中止をもとめてきましたが、政府は高齢者へのまともな説明もなく、負担増を強行しました。不意打ち的に大増税の波がおそう。このやり方もきわめて乱暴で許しがたいものであります。

 すでに党として政府への緊急申し入れをおこないましたが、わが党は、いま実施されている高齢者への大増税と負担増の実施をただちに中止し、その見直しをはかることをもとめます。また今後、実施予定の負担増計画の凍結、見直しをもとめます。自治体での保険料の減免制度を緊急にもとめてたたかうとともに、各種控除など現行の税金の軽減制度を最大限に活用するとりくみも強め、高齢者の暮らしをまもるために力をつくします。高齢者の生存権をまもる負担増反対のたたかいを日本列島津々浦々で急速におこすことを心からよびかけるものです。

 小泉内閣の最後の「骨太の方針」では、「歳出入の改革」と称して、十六・五兆円の「歳出入ギャップ」を、まず最大限の社会保障や国民サービスの切り捨てによって埋め、足りない部分を消費税など庶民増税でまかなうという方針が盛り込まれようとしています。小泉首相は、「歳出をどんどん切り詰めていけば、『やめてほしい』という声が出てくる。増税してもいいから必要な施策をやってくれ、という状況になるまで、歳出を徹底的にカットしなければならない」とのべました。国民生活を兵糧攻めで締め上げたあげく消費税増税をおこなう。このたくらみにたいして国民的反撃をもってこたえようではありませんか。

 わが党は、「逆立ち税制」をただし、空前のもうけをあげている大企業と高額所得者に応分の負担を――この主張を堂々と掲げて奮闘するものであります。
(第2回中央委員会総会 志位委員長の幹部会報告「しんぶん赤旗」2006.7.8)

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◎「法人税は会社が自分の持ち物である商品を売った代金、……売り上げの中から得た利益に対して……たくさん売り上げても利益が出ていなければ税金は払わなくてもよい」

「労働者の払う勤労所得税は利益ではなく、労働者が持っている労働力という能力を会社に売った代金、つまり給料に対して課税……売り上げに対して課税されている……労働者は労働力を売って利益を得ているのではない」

「利益ではなく、コスト」「労働者は払ういわれなど無いのである」