学習通信060928
◎子どもに同じことを……

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ニートの存在をどうみるか

──次に、「ニート」と呼ばれている問題があります。これは、どのような社会的対応が必要でしょうか。

中西……「二ート」は、政府統計で八七万人と言われていま す。しかし、これは本田由紀氏(束京大学助教授)が言われていますが、そのうち約半分は仕事に就くことを望みながら、無職状態に置かれている、つまり失業者です。

もともとイギリスで使われた「ニート」の概念は、本人の意志・意欲とは関係がありません。職業訓練を受けておらず、学校に行っておらず、職に就いていない状態を指すものです。

それが日本では、労働する意欲が持てない若者たちだと歪曲して受け取られてしまった。たしかに、残り半分の四〇万人の若者が、「ひきこもり」という状態も含めて、いろいろな困難を抱えて社会に出て働きにくい状態にあるとみられますが、はたしてそれは本人の意欲の間題なのか、その点についてもあらためて与え直してみなければなりません。

 たとえば、精神的な疾患のためにすぐには働けないという場合でも、その原因が極限までストレスのたまる過重労働にあることは珍しくありません。現在のあまりにも非人間的な雇用構造が働きにくさをつくリ出していること、そのことを無視して意欲の問題だけを言うのはまちがいです。現在の厳しい労働・雇用条件についていけないというのは、ある面、当然といえば当然です。週四〇時間はとても働けない層がいるのは確かです。それなら、その人に応じた条件の下で、地域社会が受け入れて、その人に応じた働き方をしてもらう、という対策が必要です。

 今、「ニート」が増えていると言われるのは、現在の非常にきつい働かせ方、職場の人間関係の厳しさを拒否する人が増えているということです。おそらく産業医の方々は、職場のストレス、精神衛生上の実態をつかんでいると思います。

自動車工場のラインのような現場でも、少しでも働き方が遅いと目を付けられ、ストレス、負担が大きくなる。二〇代を過ぎると体力的についていくのが大変で、仕事が遅れると今度は威嚇、いじめを受ける、という実態が、報告されています。そして、こういう状況は、自然に出てきたわけでなく、この一〇年来の財界の戦略、政府の雇用政策の中で生み出された変化であることは明らかです。

 そうした職場環境を考慮せず、若者は「甘えず」に環境に馴染めと要求するのは、大きな間違いです。本来これは、職場の安心度、働き方の多様性を高めるよう、社会として対応が必要な問題です。たとえば女性差別をなくすとか、社会全体の権利水準を向上させる形で解決をしていく必要があります。

日本の現在の労働環境は、あまりにもストレスが強すぎて、それに耐えて働くことを要求することは、逆に若い層の可能性、多様性をつぶしていくものだと思います。

 また社会的な対策が必要な対象として、たとえば、「ひきこもリ」というケースで見てみると、多様な年齢層で生じている間題です。中学校で学校に行けないことから、という不登校ケースもありますが、そればかりではありません。

大学に入った直後、就職直後とか、就職をして数年後など、二〇代半ばの「ひきこもリ」もあります。新しい環境、人間関係に入ったところでのストレス、新しい状況への不適応で生じているのですが、その年齢の統計データがありません。地域で「ひきこもり」をサポートしている団体の活動からみると、二、三〇代でのケースが多いというのが実感です。
(「中西新太郎さんに聞く 若者の働きにくさ、生きづらさ」月刊 経済 2006年10月号 p29-30)

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先生の命令する声が聞こえないが……


 ここに来ると先生の命令する声がないのにびっくりします。そして先生たちも子どもたちの中にはいって夢中になってあそんだり、先頭にとび出して全力でリズムあそびをしたりしていて、ここだな、と思いました。


 そうですね。
 先生が自分で学校式のように時間を細かくわけて、あれをさせなくては、これをさせなくてはと全部の子どもに同じことをやらせようとすると、先生たちも大変ですから、きっと大きい声で命令口調になってしまうんでしょう。イライラがでて、笑顔の少ない保育者は子どもにはすかれません(笑い)。

 しかし、子どもと一緒に夢中であそんでいるようでも、そこが保育者です。そろそろ子どもがあきてくる頃か、おなかがすいてくる頃か、ねむくなる頃か、子どもの顔をみてすばやく判断し、さっときりあげるコツも知っていませんとね。

 子どもの顔色やその動作で、あるいは発熱をしている子どももあるかもしれませんし、一人ひとりを注意深くみていなくては、ただ夢中であそぶだけでは困ります。また、リズムを先頭きってやっていても、発達のおくれのある子にはいつも口をかけたり、今までおくれのあった子ができるようになったことはみつけてほめてあげたり、はげましたり、いろいろ観察しながらなんですよ。保育者は大変ですね(笑い)。
(斉藤公子著「子育て」労働旬報社 p126-127)

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◎「日本の現在の労働環境は、あまりにもストレスが強すぎて、それに耐えて働くことを要求することは、逆に若い層の可能性、多様性をつぶしていくもの」と。