学習通信061213
◎社会も壊します……

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潮流

「夜は終電に間に合わず、妻が車で迎えに行く」「朝まで残 業しているときもある。休日は、朝九時半にでかけ、終電で帰ることもある」

▼あるコンピューター技術者の働きぶりです。四十歳。月に二百時間も残業しているのに、「残業代・休日出動手当もO円」。寝るときも、携帯電話をそばに置いています。「いつシステムトラブルが発生するか常に心臓がドキドキしている」。妻が思いあまって、日本労働弁護団に相談しました

▼弁護団の「06年版・長時間労働酷書」が紹介しています。ほかの相談もすさまじい。「仕事がとてもハードで10人でチームを組んでも3人くらいが病気(精神疾患)で休んでいる」(大手電機会社コンサルタント業務・男性・三十代)

▼「午前7時から午後11時までの勤務。有給休暇をまったく与えず、離婚率が90%」(スーパー・男性・二十代)「休日は半年に一回。これが当たり前だと思っていた。残業代を請求するのは仕事ができない奴だと思っていた。働き過ぎで体を壊し、血便が出る」(銀行・男性・三十代)

▼長い労働時間は、人の体や心ばかりか社会も壊します。子どもの事件やいじめを防ごうと叫ばれるのが、「学校・家庭・地域の協力」です。しかし家庭や地域の支え手は、企業社会に捕らわれの身。使い捨てられ、生存さえ脅かされる人もいます

▼人間が人間らしい時間を取り戻し、家庭や地域も精彩を放つ社会へ。「学校・家庭・地域プラス企業社会の協力」といいかえたらどうでしょう。
(「赤旗」20061207)

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 労働者が労働日をもとの合理的な範囲にまで短縮しようとくわだてるのは、あるいは彼らが法律による標準労働日の制定を強制することができないばあいに賃金の引上げ──たんに強制された剰余時問に比例するだけでなく、それよりも大きな比率での賃金の引上げ──によって過度労働を阻止しようとくわだてるのは、彼ら自身と彼らの種族にたいする義務をはたすだけのことである。

労働者は資本の暴虐な強奪を制限するだけである。

時間は人間の発達の場である。

思うままに処分できる自由な時間をもたない人間、睡眠や食事などによるたんなる生理的な中断をのぞけば、その全生涯を資本家のために労働によって奪われる人間は、牛馬にもおとるものである。

彼は、他人の富を生産するたんなる機械にすぎず、からだはこわされ、心はけだもののようになる。

しかも近代産業の全歴史がしめしているように、資本は、もしそれをおさえるものがなければ、むちやくちやに情容赦もなくふるまって、全労働者階級をこの極度の退廃状態におとしいれることをやるであろう。
(マルクス著「賃金、価格および利潤」新日本出版社 p170-171)

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◎「思うままに処分できる自由な時間をもたない人間、睡眠や食事などによるたんなる生理的な中断をのぞけば、その全生涯を資本家のために労働によって奪われる人間は、牛馬にもおとるものである」と。