学習通信061219
◎大企業の利潤追求を最優先に……

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戦後最長景気
「実感なし」77%
企業意識、民間調べ

 戦後最長の景気拡大も約八割の企業が「実感なし」……。景気の拡大期間が今月で戦後最長の「いざなき景気」を超える見通しとなる中、帝国データバンクが企業を対象に実施した意識調査によると、七七・四%が景気拡大の「実感がない」と回答した。景気拡大の「実感がある」と答えた企業は三・七%にとどまった。

 調査は十月下旬に全国の二万七十二社を対象に実施し、九千七百九十九社から回答を得た。

 景気拡大の「実感がない」と答えた割合を規模別に見ると中小企業が七八・七%で、大企業(七三・二%)を五・五ポイント上回った。地域別では景気回復が全国と比べて遅れ気味の北海道が八六・六%と最も高く、全国を大きく上回った。
(「日経」20061108)

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世界と日本
景気回復は本物か
格差拡大で大企業のみ利益享受
桜田 氾 金融評論家

 政府が一一月一四日に発表した七〜九月の国内総生産(GDP)は七期連続のプラスであり、「景気は堅調に推移している」であった。これを受けてマスコミ等の論調は、現在の景気拡大局面はいざなぎ景気=i一九六五年〜七〇年)の五七ヵ月を上回り、戦後最長となることが確実であるという。大田弘子経済財政相は「景気に腰折れの心配はない」と胸を張り、政府の経済政策の成果だと強調する。いいことずくめに聞こえるが、実態は手放しで喜べるような状態ではない。

 上場企業四期連続最高益の陰で

 「日本経済新聞」の調べによると、上場企業一三七八社の○七年度決算予想では「四期連続で過去最高益を更新する見込み」(一一月一八日付)という。ところが、北海道から鹿児島・沖縄に至るまで日本全国どこでも金融機関や中小企業者に聞けば「景気回復とはどこの話ですか」と答える。テレビのニュ一ス・報道番組を見ても、サラリ一マンや主婦が「景気回復の実感がない」と口を揃える。

 中小企業白書によれば、新規開業数よりも廃業が上回り、企業数の減少傾向が続いており、日本経済の底辺は確実に蝕まれているといえる。

 国会でこのような景気格差の事実を突きつけられた安倍首相は、「私の選挙区は山口県の日本海側でご指摘のような地域で、景気は必ずしも芳しい状況ではないことは承知している」と、地方では景気が回復していない事実を認めざるを得なかった。そして、「もう少し時間が掛かるかも知れないが、今後着実に浸透するので我慢して欲しい」と苦しい答弁となった。

消費減退の真因は何か

 冒頭のGDPの発表に当たって大田弘子大臣は、唯一の懸念材料として「消費動向が弱い」ことを上げている。問題は消費の伸び悩みの原因を正しく捉えることである。一一月の日銀統計月報は「GDPの消費の弱さは天候不順の影響に伴う」「家計調査における消費支出の大幅減少」によるとしている。大田弘子大臣も「一人当たり賃金が伸びていない」点を上げながらも、天候による消費の低迷が懸念材料だとしている。

 しかし、実際はそんな一時的な要因ではなく、国民の所得の減少が消費を手控えさせているのである。国税庁の資料によると、労働者賃金の年間一人当たり平均額は九七年の四六七・三万円をピークに減少を続け、○五年には四三六・八万円に低下している。賃金は伸びていない≠フではなく減っており、現実は所得が減少したために、家計は消費を手控えざるを得なかったのである。

 企業収益が改善すれば、給与所得が上がり、個人消費が増え、景気拡大を支える、という図式を説明していた政府としては、企業が最高益を更新しても賃金の低下が続き、消費の拡大を阻んでいる事実を認め難いのだろう。

回復しない中小企業向け貸出

 景気回復が底辺まで浸透していない実態は金融機関の貸出の状況にも反映している。日銀の統計により、○一年三月末と○六年三月末を比べると、全国計で預金は一二・〇八%増加しているが、貸出は一二・七八%の減少で五年前の水準を回復していない。

 中小企業向け貸付はそれを上回る減少である。国内銀行の中小企業向け貸付は、○一年三月末のニー四兆三五〇二億円に対し、○六年三月末は一七八兆五四九〇億円で、一六・七〇%の減少である。ちなみに中小企業専門金融機関であるはずの信用金庫もこの間、総貸出額六六兆二一二四億円から六二兆六七〇六億円へ五・三九%の減少。中小企業向け貸出は四五兆二四六七億円から四〇兆七七二七億円へ、九・八九%の減少となっている。

 貸出を増やすことこそ、金融機関にとって収益の根源である。それを貸せないというのは、企業の状況が先行き希望の持てる状況にないことを示しているといえる。特に○六年三月末の預貸率が五七・三八%に過ぎない信用金庫にとってはいっそうその感が強い。

 日銀の統計月報によると、企業の資金繰りの見通しのDIも、大企業は水準より上にあるが、中小企業は依然水準以下を低迷しているのである。

 国内銀行の状況を都道府県別に見るともっと異常な状況が垣間見える。この五年間に預金の減少した県は一三県に過ぎないが、貸出はほとんどの都道府県で減少しており、逆に増えた県が一〇県に止まっている。

 預金・貸出それぞれの減少率の大きなワースト一〇は、別表の通りであるが、貸出の減少は大都市圏で多く、預金の減少は地方に見られる。地方で預金を集め、大都市圏で貸出し運用するという、好景気時代の常識と異なる現象を見せている。

 地方の県での預金の減少が、「これまでの蓄えを食い潰して凌いでいる」という言葉の表れでなければよいがと、気になる現象である。
(月刊「経済 2007 1月号」新日本出版社 p16-17)

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 工業の巨大な成長と、ますます大規模化する企業への著しい速さでの生産の集中の過程は、資本主義のもっとも特徴的な特質の一つである。
(レーニン著「帝国主義論」新日本出版社 p27)

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(4)極端な大企業中心主義の異常をただす、経済的民主主義の改革
 第三は、「ルールなき資本主義」――極端な大企業中心主義の異常をただす、経済的民主主義の改革である。

 (1) 小泉内閣が、「構造改革」としてすすめてきた「新自由主義」の経済路線――大企業の利潤追求を最優先にし、規制緩和万能、市場原理主義、弱肉強食をすすめる経済路線は、日本経済と国民生活の矛盾をあらゆる分野で深刻にしている。

 イ、「ルールなき資本主義」のもとでの貧困と社会的格差の新たなひろがり……雇用と所得の破壊、中小零細企業の倒産・廃業・経営難がすすむもとで、九〇年代末から貧困と社会的格差の新たなひろがりが重大な社会問題となっている。

 低所得層の増大という傾向が顕著にすすんでいる。生活保護世帯は百万世帯を突破した。教育扶助(生活保護)・就学援助(生活保護に準じる水準世帯の児童・生徒におこなう給食費や修学旅行費、学用品などの援助)を受けている児童・生徒の割合は、12・8%とこの十年で二倍以上になった。貯蓄ゼロの世帯が急増し、23・8%に達している。年金はわずか月数万円、貯蓄もないという高齢者が増えている。

 国際比較でみても、日本における貧困層と社会的格差の広がりは顕著である。OECD(経済協力開発機構)の調査では、日本の貧困率(全世帯の等価可処分所得の中央値の半分以下しか収入のない世帯を貧困としてその人口比率を出したもの)は、15・3%に達している。貧困率は、調査した加盟二十五カ国のなかで第五位で、OECD諸国の平均10・2%を大きく上回っている。
(「赤旗」2006115)

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◎「七七・四%が景気拡大の「実感がない」」と。