学習通信070112
◎ままの生活を快適だと思うようになる……

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潮流

イノシシは、旧石器時代のスペイン・アルタミラ洞くつ遺跡の壁画にも描かれています。一万数千年前の絵だそうです

▼日本の縄文遺跡からも、骨が出てきます。イノシシは、人類が古くからつきあってきたけものです。中国では、人間は少なくとも六千年以上前、イノシシを家畜化しました。ブタです。ことしの干支のイノシシにちなみ、きょうは、イノシシとブタの話をひとつ

▼「猪突猛進」といいます。まわりにおかまいなく、目標にむかって突っ走る。中国生まれの言葉です。「猪」はイノシシと思いこんでいましたが、そう単純ではないようです。中国の漢語の「猪」はブタをさす場合が多い、といいます

▼ただ猛進するのはブタの方、という説もあります。たしかにイノシシは、大きく曲がりきるのが苦手らしい。けれど、突進していても障害物をみつけると、急ブレーキをかけるように踏みとどまるそうです。ブタは家畜化され、行動を制御する野性の力をなくしたのでは、とみられるわけです

▼日本が猪突猛進した時代を、振り返らざるをえません。とくに、国をあげて侵略戦争へとつきすすんだころです。指導者たちは、国民がまわりの世界をみないように仕向けました。走り始めると、国が崩壊するまで止まりませんでした。まるで、人々が何者かによって家畜化されたように

▼猪突猛進にはご用心。しかし、こんな意気込みはもちたい。「猛然と猪のように走ってみたい今年こそ」(『ノー消費税』2007年いろはかるた)(「赤旗」20070103)

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 こうして労働者は、肉体的にも知的にも、さらに道徳的にも、権力をもつ階級からつきはなされ、放置されている。

彼らのことをかまってくれる唯一のものは法律であって、それは彼らがブルジョアジーを怒らせるや否や、彼らをしめつける──理性をもたない動物にたいするのと同じように、彼らにはたった一つの教育手段しか用いられない──それは鞭であり、残酷な、説得ではなくただ威嚇するだけの暴カである。

したがって、動物のようにあつかわれている労働者がほんとうに動物になったり、あるいは、権力を従っているブルジョアジーにたいして憎悪を燃やし、たえず心のなかではげしく怒っていることによってのみ、人間らしい意識と感情をもちつづけることができるのも、当然のことである。

彼らは支配階級にたいして怒りを感じているかぎりにおいて人間なのである。

彼らにかけられている首かせを我慢し、その首かせを自分でこわそうとせず、首かせをつけたままの生活を快適だと思うようになるとすぐ、彼らは動物になる。
(エンゲルス著「イギリスにおける労働者階級 上」新日本出版社 p176)

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◎「ブタは家畜化され、行動を制御する野性の力をなくしたのでは、とみられる」と。あなたは……。