学習通信070406
◎かすみか雲か……

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潮流

春はかすみです。サクラの花もかすみとみまがう春うらら。昔は、春秋ともにかすみとも霧ともよんだそうです。後に、春はかすみ、秋は霧となりました

▼「かすみ」のつく言葉も、さまざまあります。「かすみ網」は、目にみえないほど細い糸でつくった、小鳥を捕まえる網です。「かすみのまぎれ」は、かすみが立って物のはっきりみえないさまをいいます

▼政治の世界には、かすみを利用したがる人がいます。たとえば選挙のとき、ほんとうの争点を隠したりあいまいにする。八日投票の東京都知事選でも、都民がもっとも望むのは「医療・福祉対策」なのに、現知事は、かすみか雲のように定かでない「オリンピック」の「夢」を売っています

▼あるいは、福祉に冷たい元宮城県知事が「本籍地は福祉」ととぼけ、有権者をかすみ網でからめとろうとする。全国各地で、自民党政治を支えてきた責任をたなにあげ、日本共産党への悪口で票をかすめとろうとする党もあります

▼しかし、彼らも人々の生活にねざす実感や望みは変えられません。内開府がことし、日本で「悪い方向に向かっている分野」を二十歳以上の人に聞きました。昨年より大幅にふえたのは、「教育」(12・3ポイント増36・1%)「雇用・労働条件」(4・6ポイント増33・5%)「医療・福祉」(10ポイント以上増31・9%)「地域格差」(同26・5%)……

▼住民の願いを真正面から受けとめ、その実現へ住民とともにあきらめずたたかえる党。日本共産党に政治のかすみはいりません。
(「赤旗」20070402)

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かすみ
春の・朝方(昼間)、遠方にある山などの前面に帯状にかかって雲のように見えるもの。(「新明解国語辞典」三省堂)

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4月5日
かすみ

 桜の満開の景をさして「かすみか雲か」と形容することが多い。筝曲(そうきょく)の『さくらさくら』もそうだし、明治時代には「霞か雲か」という題の唱歌もあった。

 「かすみ」は春の象徴として、古くから多くの詩歌によまれた。が、純粋な気象学の分野では、「かすみ」という術語はないそうだ。「霧」か「霧雲」か「もや」という。つまり、水蒸気が一面にたちこめてきて、風物がぼんやりとかすんでみえる様子を、文学では春の場合に限って「かすみ」と言いならわしたということになる。

 実質は同じでも、「霧」は文学では秋のものである。仙人はかすみを食って生きている、というが、五色の雲たなびく仙山は、一年中春の陽気であることを考えに入れたものとみえる。さらに「かすみ」は昼間の情景にだけ用いるのが習慣で、これが夜間の現象になると「おぼろ」とかわる。明治の唱歌の『四季の月』に「咲きにほふ山の桜の花の上に、かすみて出でし春の夜の月」とあったのは、この意味では気になる表現だった。
(金田一春彦著「ことばの歳時記」新潮文庫 p122)

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◎「政治の世界には、かすみを利用したがる人……選挙のとき、ほんとうの争点を隠したりあいまいに……民がもっとも望むのは「医療・福祉対策」なのに、……かすみか雲のように定かでない「オリンピック」の「夢」を売っています」と。