学習通信070515
◎顔を見て……

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職場問題学習・交流講座への報告
幹部会委員長 志位 和夫

四、職場支部の活動をどう強化するか――「政策と計画」をもって
 つぎに、それではこういう状況のもとで、職場支部の活動をどう強化するか。

 職場支部の活動を発展させる基本は、党大会がうちだした方針――「政策と計画」をもった活動にとりくむことにあります。どうすればすべての職場支部が「政策と計画」をもった自主的・自覚的な活動にとりくめるようになるか。聞き取り調査で私たちが学んだすぐれた経験、また全国のみなさんから解決がもとめられている問題にもふれながら報告したいと思います。

(1)労働者と日常的に結びつき、人間的信頼関係をつくる
 まず最初に強調したいのは、労働者と日常的に結びつき、人間的信頼関係をつくるという問題です。

 「政策と計画」という場合、それを難しく考えないことが大切です。その土台は、労働者と日常的に結びつき、人間と人間との信頼関係をつくることにあります。

 大会決議では、このことについて、「支部と党員がまわりの人々と日常的に広く深く結びつくことは、あれこれの党活動の手段ではなく、それ自体が党の活力の根本にかかわる問題であり、党の基本的なありかたにかかわる問題として、重視されなければならない」と強調しました。この見地は、資本の労働者支配によって分断がもちこまれている職場では、とりわけ大切だと思います。

 全国のすぐれた経験では、例外なく、労働者と日常的に結びつき、人間的信頼関係をつくることを、党活動の根本に位置づけています。聞き取り調査から大切だと感じたいくつかの経験を紹介したいと思います。

出発点はあいさつから
 一つは、出発点はあいさつから、ということであります。

 東京の出版関係の職場支部からこういう報告がよせられました。「党大会での『お茶を飲んでいきな』『野菜を持っていくけ』という言葉をおろそかにしてはなりませんという発言の報告を『印象的だった』と聞いた同志が、人間的結びつきで自分自身が変わらなければと思い、これまで会釈しなかった人には会釈を、会釈してきた人には『おはよう』と声をかけ、『おはよう』といってきた人とは会話する努力をし、これからは選挙での支持を広げ、読者も増やせるようにしたいと決意をのべている」。

 北海道の民間の職場支部からはこういう報告がよせられました。「支部では『実践する三項目』を支部の『政策と計画』として確認した。(1)職場に入ったら元気よくあいさつすること、(2)会議を欠席するときは必ず連絡すること、(3)月一回の宣伝紙を活用すること。これを実践してみたら、『合理化』で党員もくたくたになっていたが、半年たったら党と労働者の関係がよくなった。この積み重ねが支部の団結につながっている。こつこつ増やしてきたら、結果的には日刊紙で130%を達成し、日曜版もあと少しで130%目標に達するところまできた」。

 ここでも「元気よくあいさつする」ことが冒頭にすえられていることが、たいへん印象的でした。支部会議についても、「会議に100%出席」といわないで、「欠席するときは必ず連絡する」というところが、柔軟でリアルな知恵が働いていると感じました。

労働者の全生活にわたってつきあう
 二つ目は、労働者のすべての生活にわたってつきあうということです。

 大阪の民間大企業の職場支部からは、こういう報告がよせられました。「労働者の全生活にわたってつきあう姿勢をつらぬいている。労働者との懇談会を二〜三カ月に一回の割合で開いている。バーベキュー大会や花見、釣りなどもおこなっている。そこに、これまで結集していなかった党員も誘っている。この集まりに三回参加した青年が、昨年、入党してくれた」。

 同じような努力は、全国からたくさんよせられました。

党員の苦しみは、労働者みんなの苦しみ
 三つ目は、党員と労働者の結びつきの基礎はどこにあるかという問題です。

 聞き取り調査で印象的だったのは、成果主義管理のもとでの長時間過密労働、メンタルヘルス問題などに、党員も同じように苦しみ、傷ついていることでした。党員の苦しみは、労働者みんなの苦しみでもある。ここに党員と労働者との結びつきの基礎があるし、団結の土台がある。ここを前向きにとらえた活動の発展が大切ではないでしょうか。
(「赤旗」20060425)

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コミュニケーション力

 季節がら、朝夕は真新しいスーツ姿の若者が目立つ。それとともに書店には「魔法のセールストーク」、「一五秒でつかみ、九〇秒でオトす」などの、過激なキャッチフレーズによって人目を引くビジネス書が並ぶ。何のことかと拾い読みをしてみる。

 「ビジネスマンの毎日は、人と人とのコミュニヶーション≠ナ成り立っています。仕事では対同僚・上司・部下・取引先・お客様など、私生活でも対友人・知人・家族など……」。と見ると、ああ、話し方の指南かと思いきや事態はもっと深刻である。

 問題は「個室育ち、一人っ子の増加、人と向き合わないパソコンの普及などで、若い人々にも蔓延してい」るのが「話しベ夕」だという(野村正樹著『驚くほど話す力≠ェつく本』)。

 そんな社会的要因をもつ問題に対して、あまたの処方は所詮付け刃に留まるのではないか。『シェイクスピアの人間学』の中で、小田島雄志が奇しくも言っている。

 「シェイクスピアの芝居から、いま私たちが学びとるうえで重要なのは、会話能力、コミュニケーションの問題ではないでしょうか」。「シェイクスピアの場合は、孤立して運命とたたかうのではなくて、あくまで人間関係のなかにいて喜んだり、悲しんだりする」。

 どうやら、シェイクスピア翁も諭すのは「顔を見て話す機会をつくりなさい」というアドバイスのようである。(大)
(「月刊 経済」2007.6月号 新日本出版社 p5)

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◎「労働者の全生活にわたってつきあう姿勢をつらぬいている」と。