学習通信070702
◎頭の整理で今しょうがないな……

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雪崩のとき

人は
その時が来たのだ、という

雪崩のおこるのは
雪崩の季節がきたため と。

武装を捨てた頃の
あの永世の誓いや心の平静
世界の国々の権力や争いをそとにした
つつましい民族の冬ごもりは
色々な不自由があっても
また良いものであった。

平和
永遠の平和
平和一色の銀世界
そうだ、平和という言葉が
この狭くなった日本の国土に
粉雪のように舞い
どっさり降り積っていた。

私は破れた靴下を繕い
編物などしながら時々手を休め
外を眺めたものだ
そして ほっ、とする
ここにはもう爆弾の作製も火の色もない
世界に覇を競う国に住むより
このほうが私の生きかたに合っている
と考えたりした。

それも過ぎてみれば束の間で
まだととのえた焚木もきれぬまに
人はざわめき出し
その時が来た、という
季節にはさからえないのだ、と。

雪はとうに降りやんでしまった、

降り積った雪の下には
もうちいさく 野心や、いつわりや欲望の芽がかくされていて
すべてがそうなってきたのだから仕方がない≠ニいうひとつの言葉が遠い嶺のあたりでころげ出すと
もう他の雪をさそって
しかたがない、しかたがない
しかたがない
と、落ちてくる。

ああ あの雪崩、
あの言葉の
だんだん勢いづき
次第に拡がってくるのが
それが近づいてくるのが

私にはきこえる
私にはきこえる。
(「石垣りん詩集」思潮社 p10-12)

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 防衛相の発言要旨

 久間章生防衛相が三十日の講演で行った原爆投下に関する発言要旨は以下の通り。

 (大戦)当時、ソ連は(日本に)いつ参戦するか着々と準備していた。米国はソ連が参戦まではしない(と考えていた)。ところが、日本がしぶとく、ソ連が(日本参戦に)出てくる可能性があった。

 (米国は)日本が負けると分かっているのに、あえて原子爆弾を広島と長崎に落とした。そこまでやったら日本も降参するだろう、そうしたらソ連の参戦を止めることができるということだった。

 (米国は)八月九日に(長崎に)原子爆弾を落としたが、九日にはソ連が満州その他に侵略を始めた。幸いに(戦争が)八月十五日に終わったから、北海道は占領されずに済んだが、間違うと北海道までソ連に取られてしまう。その当時の日本は、取られても何もする方法もないから、わたしはその点は、原爆も落とされて長崎は本当に無数の人が悲惨な目に遭ったが、あれで戦争が終わったんだという頭の整理で今しょうがないなと思っている。

 それに対して米国を恨むつもりはない。勝ち戦と分かっている時に原爆まで使う必要があったのかどうかという思いは今でもしているが、国際情勢、戦後の占領状態などからすると、そういうことも選択としてはあり得るのかなということも頭に入れながら、考えなければいけない。
(「赤旗」20070701)

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あの言葉の
だんだん勢いづき
次第に拡がってくるのが
それが近づいてくるのが

私にはきこえる
私にはきこえる。