学習通信071107
◎それはおかしい……

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妻 再就職しても
夫 家事非協力
  家計経済研究調査

平日「2分」増えただけ

 妻が再就職しても夫は家事・育児に協力しない──。内閣府の外郭団体、家計経済研究所が十七日まとめた二〇〇六年度の「消費生活に関するパネル調査」でこんな実態が明らかになった。

 専業主婦だった妻が〇六年に再就職した結果、平日の仕事に費やす時間は前年より約五時間増えた一方、家事・育児に費やす時間は約三時間減った。差し引きの約二時間分は趣味・娯楽の時間や睡眠時間を削ったとみられる。だが、夫の平日の家事・育児時間は前年よりわずかに二分増えただけだった。

 一方、妻の出産を機に家事・育児に協力的な「マイホームパパ」になる夫は着実に増えている。〇六年時点で妻が出産後に夫が平日に家事・育児に取り組む時間は出産前より二十三分増えた。九六年時点では出産後の夫の家事・育児時間は四分増えただけなので、増加幅は十年で約六倍に膨らんだ。

 妻が出産後に夫が実際に家事・育児に取り組む時間は平日で平均五十分と十年前より十分増えた。休日では平均約五時間(三百二分)と十年前より一時間強増えた。

 調査は〇六年十月に実施、二十七〜四十七歳の女性千七百六十九人から回答を得た。
(「日経」20071018)

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「ジェンダー平等」を考える学習会

 「ジェンダーをめぐる情勢を学ぼう」とこのほど学習会(婦人民主クラブ主催)が聞かれました。男女平等教育ネットワーク世話人の三宅良子さんの話を紹介します。

男女平等教育
ネットワーク世話人
三宅良子さんの話し

親学≠フ流れを警戒しながら
両性の真の平等をめざそう

頭に刻まれた
固定観念が

 「『ジェンダー』は『女性の遅れた権利』も含めた『歴史的文化的、社会的に作られる性の違い』を指しています。男はこういうもの、女はこういうものと私たちの頭の中に刻みつけられていく固定観念をジェンダーバイアスといいます」

 こう話し始めた三宅さんは、国連子どもの権利委員会に出す基礎報告書のために「子どもの権利・教育・文化全国センター」が高校生と中学生からとった最近の調査を紹介しました。

 「家庭で感じる差別で一番多かったのは、男女差別でした。『男の子は何もしないで寝てても怒られないけど、女の子はすぐ家のことを手伝えと言われる』とかですね。20世紀にあったことと変わらないと感じました」

 「産む性である女性と男性に違いがあるのも確かですが、人間として生きていくという意味では平等です」。

 男らしく≠ニいうジェンダーバイアスに縛られ生きづらさを感じる男性の問題にもふれながら、「だれもが一人の人間として自由に自分らしく生きていける。ジェンダー平等とはそういう意味だと思います」

「男女共学」が
削られた意味

 ジェンダーの視点でみたとき、改悪前の「教育基本法」の第5条「男女共学」が削除された意味は大きい、と強調しました。

 「旧条文には男女は互いに敬重し、協力していくことが必要とありました。男女が本当に理解しあい、敬重しあうためにこそ男女共学は必要なんだという意味です」

 戦前、女学校ではほとんどの授業が裁縫と割烹(かっぽう)と行儀だったことにもふれながら、「戦後も女子だけが家庭科をやることが長く続きました。女子は将来家庭に入ってよき母になるのが当たり前だから、女子だけの教科とされてきたんですね。今の憲法ができるまで、女性には親権もなかった。男女が互いに人間として理解しあうには共学でこそという、この5条には深い意味があったんです。それが改悪でばっさりと削られてしまいました」。

 「子守唄を聞かせ、母乳で育児」など、教育再生会議が第2次報告書にいれるはずだった「親学に関する緊急提言」についてもふれました。

 「世論の反発で提言としては発表できませんでしたが、この親学の流れは、ジェンダーのかたまり≠ナす。母親は家にいて、きちんと子育てをしろと説教しているようです。自民党が出した憲法草案も、全体として家庭における両性平等を見直し、子育ての責任を母親に課し、国益につくすような子に育てあげよという命題が盛りこまれています。女はお国のために男の子を産み育てよ≠ニいう戦争中の日本をほうふつさせます」

憲法にある人権が守られているか検証し、考えることが大切

性別役割分担
違うと明確に

 1979年、国連総会は、女性差別撤廃条約を満場一致で採択しました。

 「この意味を改めて考えたい」と話す三宅さん。「大事だったのは、『男は仕事、女は家庭』という性別役割分業は間違いということが明確にうたわれたこと」と指摘します。「私が教員で、たたかってきた中でも、批准前は『女性が労働と家庭をどうやって両立させるか』が主たる課題でしたが、批准後は『男女で働いて男女で子育てを』と、質的に変わったんです」

 今から47年前、住友セメントに就職した鈴木節子さんは、「結婚したらやめる」という念書を書かされました。しかしそれはおかしい、憲法違反だと結婚後もやめずにたたかいました。

 「鈴木さんが裁判で勝ったのは1966年。職業の自由、個人の尊重が書きこまれた憲法ができてから20年もかかっています。人権条項が本当に守られているか検証すること、一人ひとりが考えて対応していくことが大切だと思います」
(「赤旗」20071106)

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◎「産む性である女性と男性に違いがあるのも確かですが、人間として生きていくという意味では平等」と。