学習通信071127
◎カンタベリー大主教……

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日本共産党 知りたい聞きたい
Q&A

中南米の「解放の神学」とは?

〈問い〉 中南米で、左翼・革新政権が次々と生まれているのは、私たちの励みにもなることです。以前、「解放の神学」ということで、中南米で、生活の苦しさなどを来世に先送りせず、現実の問題として、直視し、現実の信仰と結び付けていくことが広がったと記憶しています。こうしたことは、左翼・革新政権の誕生と、どう関係しているのでしょうか?(大阪・一読者)

〈答え〉 「解放の神学」とは、“教会は、貧困と搾取、独裁と抑圧からの人民解放のたたかいと結びついてこそ預言者的な役割を果たせる”という考えにたった神学と運動です。キューバ革命の影響も受けながら1960年代に始まりました。国によって規模はさまざまですが、「解放の神学」にもとづく活動は中南米の国々で今でも受け継がれています。

 90年代末から中南米で相次いで誕生している革新政権に、「解放の神学」にかかわる聖職者が重要閣僚として直接入閣しているという例は見当たりません。しかし、「解放の神学」の主張の影響はさまざまなところにあらわれています。それは、ベネズエラのチャベス大統領が「キリスト教社会主義」という言葉を使い、ベネズエラの社会変革とキリスト教の目指す方向が一致していると指摘したり、エクアドルのコレア大統領がローマ法王の回勅を引用しながら弱肉強食の新自由主義を批判したりしていることにもみられます。

 新自由主義の害悪が深刻になるなかで、自主的で民主的な国づくりを目指す変革の動きはラテンアメリカ全体に広がり、「親米」や「保守」といわれてきた国にも影響を及ぼし始めています。こうした状況のもとで、「解放の神学」が掲げてきた主張は今では中南米諸国の社会に根付き、政治家を含めて国民に広く共有されているといえます。

 79年にニカラグアで革新政権が誕生した際には、「解放の神学」の立場に立つ4人の聖職者が入閣し、外相や教育相など重要ポストに就きました。この時、カトリックの総本山であるバチカンは、米国とともに「解放の神学」を激しく攻撃し、カトリックの革新的潮流と鋭く対立しました。

 今年5月にブラジルを訪問したローマ法王も“教会が政治に巻き込まれないように”と訴えるなど「解放の神学」へ警戒感を示しており、バチカンの基本的な姿勢は大きくは変わっていません。しかし、法王が同じ説話の中で中南米の貧困や格差の問題への取り組みの重要性を強調したように、バチカンも今では事実上、「解放の神学」の主張を認めざるを得なくなっています。(島)
(「赤旗」20070614)

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 イスラム教徒向け
 英誌インタビュー
英国国教会
米覇権主義を批判
大主教が軍隊撤退求める

【ロンドン=岡崎衆史】英国国教会のウィリアムズ・カンタベリー大主教は、英国のイスラム教徒向け雑誌『エメル』十二月号のインタピューで、米国の覇権主義を批判し、「対テロ」の名の下での戦争をやめて軍を撤退させるよう求めました。

 ウィリアムズ大主教は、「唯一の世界的な覇権国」である米国が「影響力と支配を増大しようとしているが、うまくいっていない」と述べ、米国の覇権主義を「世界最悪だ」と指摘しました。

 同大主教は、米国のイラク戦略とインドを支配した英国の帝国主義政策を「同列の覇権主義」と説明。米国の戦略については、「短期の集中的暴力によって敵をけ散らし、後は誰かが元に戻す」という前提に立っているとし、その無謀ぶりを指摘しました。

 9・11米同時テロ後、米国が道徳的な権威を失ったかとの問いには「そうだ」と述べ、イラク戦争、アフガニスタン戦争をはじめとするブッシュ米政権の「対テロ戦争」が米国の道徳的権威の失墜に終わったとの考えを示しました。

 同大主教は、米国がこうした状況から回復するためとして、@対テロ戦争で被害を受けた地域ヘの援助A同地域での経済的搾取の防止B軍の撤退──を呼びかけました。

 一方、ウィリアムズ大主教は英国のイラク戦争参戦について、何かをしなければならない。そうすれば安心する≠ニいう考えに参戦支持者が突き動かされたとし、「非常に危険なことだ」と述べました。

 カンタベリー大主教
 英国国教会の宗教上の最高位であるとともに、世界百六十ヵ国以上の八千万人を超える全聖公会(英国教会派)信者を結束させる象徴的存在。十年に一回、ロンドンのランベス宮殿で開かれる全聖公会の主教会議の議長を務めます。

(「赤旗」20071127)

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◎「バチカンも今では事実上、「解放の神学」の主張を認めざるを得なく」と。