学習通信071214
◎二十世紀最大の人身売買の一つ……

■━━━━━

欧州議会が慰安婦決議
日本政府に公式謝罪要求

【ブリュッセル13日共同】第二次大戦中の旧日本軍の従軍慰安婦問題をめぐり、欧州連合(EU)の欧州議会(フランス・ストラスブール)本会議は十三日午後(日本時間同日深夜)、日本政府に公式謝罪などを求める決議案を一部修正し賛成多数で採択した。同種の決議は七月に米下院、十一月にオランダ、カナダ両国の下院で採択されている。

 立法権がなく、EUの「諮問機関」と位置付けられる欧州議会の決議に法的拘束力はないが、加盟二十七カ国、計約四億九千万人の「民意」を表明する役割がある。採択は、慰安婦問題への対応をめぐる日本政府への不信感が国際社会で拡大していることをあらためて裏付けた。

 最大会派の欧州人民民主党など計五会派の代表が名を連ねた決議案は「過去の日本政府が慰安婦徴用に関与した」として、人権保障条約や国連決議に違反した「二十世紀最大の人身売買の一つ」と非難。日本政府は歴史的、法的な責任を取り、公式に謝罪し、すべての元慰安婦と遺族らに賠償するべきだと要求。日本の国会に対しても、賠償につながる法的措置を取るよう求めた。

 また、一九九三年の河野洋平官房長官(当時)、九四年の村山富市首相(同)の談話などに言及した上で「過去数年間、日本の政治家らの一部に政府見解を希簿化、無効化する声がある」と指摘。学校教育でも悲劇を矯小(わいしょう)化する動きがあると批判し、日本政府が将来にわたり慰安婦に関する教育を行うよう要求した。
(「京都新聞」20071214)

■━━━━━

日本軍「慰安婦」学んだ学生

 大学で初めて日本軍「慰安婦」のことを知り、日本の加害の事実に向き合い、現在の政治を見る目も変えている学生たちがいます。神戸女学院大学の石川康宏ゼミナールの学生たちです。(西沢亨子)

ハルモニから託された証言
事実知り未来見えた

 二日、東京・多摩市で開かれた学習会にゼミ生二人が招かれ、韓国訪問など、学んできた体験を報告しました。三年生の
寺田美萌さんと塗田麻美さんです。

■きっかけ

 「私が『慰安婦』問題に出合ったのは、本当にたまたまでした。夏休みの宿題で、何か本を読まなければならなくて、ゼミの先輩たちが作った『慰安婦』問題の本を手にとったのがきっかけです」と語りだす寺田さん。

 「戦争というと、広島・長崎の原爆など日本の被害しか知らなかった」という寺田さんは、その本で初めて日本の植民地支配と侵略を知りました。「日本に裏切られた気がして、日本は本当はどんな国なのか、なぜ、高校時代教えられなかったのか、もっと知りたいと思いました」

 ゼミ生の半分以上は、「慰安婦」問題や戦争について特に問題意識を特っていたというわけではないといいます。

■研修旅行

 九月のゼミの研修旅行では、韓国の元「慰安婦」の人の暮らす「ナヌムの家」を訪ね、被害者のハルモニ(おばあさん)から、「十四歳の女の子が、言うことをきかなかった見せしめに、日本刀で何力所も切られ、遺体は道に放置された」という証言も聞きました。

 隣接する「慰安婦」歴史館には、慰安所が再現され、狭い部屋に粗末なベッドと金だらいが置かれていました。寺田さんは貧血を起こして立っていられなくなり、見学を続けることができなかったといいます。

 「本当にこんなことが、というつらい気持ちでいっぱいでした。本当にあったことなんだと身にしみて感じたのは、その後の水曜集会で、手で顔を覆ったハルモニのつらそうな表情を見たときです」と寺田さん。

 水曜集会は、ソウルの日本大使館前で毎週開かれている、日本政府に謝罪を求める集会です。学習会では、塗田さんが、水曜集会の様子を報告しました。

 「『侵略戦争の事実を隠して日本の未来は見えますか。事実と向き合うことは平和への第一歩』という横断幕を掲げました。ハングルだけでなく日本語でも書いたのは、日本大使館に訴えたかったからです」と塗田さんはいいます。

 水曜集会では、ゼミの代表が「日本では、本当のことは教科書に書かれず、多くの人は真実を知りません。私たちはこれからも事実と向き合い続けます。日本政府も向き合うべきです」と発言しました。

 くしくもその日、昼食の最中に、「安倍首相辞任」のニュースが飛び込んできました。「安倍さんの耳に声が届いたのかも、とみんなで盛り上がりました」と塗田さん。

■中高生に

 学び始めて半年。いまゼミ生たちは、中学・高校にも招かれ、日本軍「慰安婦」問題を子どもたちに話しています。

 塗田さんは、そうした場所でハルモニから託された証言を伝えながら、自分自身が日々成長していると感じているといいます。

 「前は、選挙にも興味なくて、新聞もあまり読まなかったんです。『慰安婦』問題を学んでからは、教科書検定とか、安倍(前首相)さんの言ってること、憲法のことにすごく目が向くようになりました。ただ、歴史を覚えるんじゃなく、自分の頭で考えるようになった。中・高生には、そういうことも伝えたい」寺田さんも同様です。

 「日本の戦争は悪くなかったと言う人と被害者の両方の話を聞いて、やはり、『慰安婦』を正当化できない。だから、首相が正当化するようなことを言うのは間違っていると思います。日本が将来も平和であるためには、過去の過ちを伝えていかなければいけないと思っています」

----------
大日方純夫・早稲田大学教授に聞く

 日本が中国への全面侵略戦争に踏み込んだ「南京虐殺事件」から、13日で70年を迎えました。過去の戦争にどう向き合うのか、大日方純夫・早稲田大学教授(日本近現代史)に聞きました。

過去にどう向き合うか

 戦争は戦った双方の間に深い亀裂を生み、戦後に癒やし難い記憶を残します。そうした過去を未来に向けて克服していくには、歴史的な和解を促進する意識的なプロジェクトが必要です。

 その大前提としては、侵略した側が過去の侵略や残虐行為の事実を、事実として受け止める立場を明確にすることが不可欠です。そうすれば、侵略された側、支配された側、残虐行為の犠牲になった側との対話が成立し、過去を克服する共同の取り組みへの道筋を開くことができます。

 その際、国家単位の見方、自国中心の見方では、相手側の様子や戦争の全体像は見えてきません。

 東アジアの平和のために、侵略戦争と植民地支配の歴史を事実にもとづいて学び、認識を深めながら、対話と討論を促進すること。それが、日本がアジアで、世界で、信頼を得ていく手がかりだと思います。
(「赤旗」20071214)

■━━━━━

《主張》

「太平洋戦争」66周年
事実を直視し向き合ってこそ

 戦前の日本が、当時「満州」と呼ばれた中国東北部や中国全土での侵略戦争につづいて、アメリカやイギリスなどを相手にした「太平洋戦争」を開始した一九四一年十二月八日から、六十六周年を迎えました。ことしは日中全面戦争のきっかけになった一九三七年七月の盧溝橋事件から七十周年にあたり、十二月十三日は日本軍が当時の中国の首都・南京を攻撃し、多くの軍人や民間人を殺りくした「南京大虐殺」からも七十周年を迎えます。

異常な逆流の一掃を
 一九三一年から始まった「満州事変」と、それに続く日中全面戦争、さらには「太平洋戦争」まで、十五年にわたった日本の侵略戦争によって、日本が侵略したアジア・太平洋の国ぐにでは二千万人の犠牲者をふくむ多大な損害をもたらし、日本国民の犠牲者は三百十万人以上にのぼりました。

 日本は戦後、「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにする」(日本国憲法前文)ことを誓って再出発しました。ところが歴代自民党政府は十五年戦争が侵略戦争であったという歴然とした事実さえ認めず、二十一世紀になってもなお世界から戦争の責任を問われ続けています。侵略戦争と植民地支配への反省をつらぬくことは、日本が世界で役割を果たしていくために、ますます重要になっています。

 そのためにはまず、事実を直視し、正面から向き合うことです。侵略戦争を正当化する靖国神社への参拝に固執した小泉純一郎元首相は、中国や韓国と首脳会談が持てないほど外交で行き詰まり、日本軍「慰安婦」(戦時性奴隷)問題で日本軍の強制性を否定した安倍晋三前首相は、アジアだけでなくアメリカなど欧米諸国からもきびしい批判を浴びました。安倍政権の崩壊は、侵略戦争の正当化を押し付けてきた「靖国」派にとって大打撃です。

 福田康夫首相は、靖国神社への参拝は否定しています。しかし、日本軍「慰安婦」問題や、沖縄戦での「集団自決」(強制集団死)から軍の強制を削除させた教科書検定など、安倍政権時代の「負の遺産」は残り、「靖国」派の巻き返しの動きも軽視できません。歴史をゆがめる異常な逆流を日本の政治から一掃していく課題は、ひきつづき重要な仕事です。

 日本軍「慰安婦」問題では、アメリカやオランダに続いて、カナダの下院でも最近、日本政府に真摯(しんし)な謝罪を求める決議が全会一致で可決されました。日本政府は、日本軍の強制と関与を認めた一九九三年の「河野洋平官房長官談話」を厳格に引き継ぎ、その立場で元「慰安婦」の方への謝罪と名誉回復の措置を講じるべきです。

 沖縄戦の教科書検定では、「集団自決」の記述から軍の強制を削除させた検定意見に何の根拠もなかったことがいよいよ明瞭(めいりょう)になっています。沖縄では、十一万人を超す県民が参加して復帰後最大規模の集会が開かれ、検定意見の撤回を求めました。誤った検定意見を撤回させ、記述を元に戻させることが不可欠です。

過去に目閉ざすものは
 「過去に眼を閉ざすものは、未来に対してもやはり盲目になる」―ワイツゼッカー・ドイツ連邦大統領の、侵略戦争を反省した、あまりに有名な言葉です(一九八五年の演説)。事実に向き合わないで、歴史を生かすことはできません。

 日本共産党は侵略戦争に命がけで反対したただ一つの党として、一切の歴史の逆流を許さず、平和を実現するため、力をつくす決意です。
(「赤旗」20071208)

■━━━━━
◎「大前提としては、侵略した側が過去の侵略や残虐行為の事実を、事実として受け止める立場を明確にすることが不可欠」と。