学習通信080307
◎21世紀型経済ショック……

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 はじめに

 「サブプライム問題」という馴染みのない言葉が新聞紙上で散見されるようになったのは、今年の春先頃であったろうか。当初この「問題」は、住宅ローンの借り手に対する物件差押え等を経由した個人消費の悪化や住宅ローン延滞率の上昇として理解されていた。

 大きな転機が訪れたのは6月中旬である。サブプライム・ローンを原債権とする証券化商品に対する投資で巨額の損失を抱えたへッジファンド2社が、破綻の危機に陥ったのだ。続いて格付機関によるサブプライム関連証券の大量格下げという異例の事態が発生し、金融機関の損失拡大や信用収縮への懸念が高まったことから株式市場は急落、債券市場及び為替市場も大きく揺れ動いた。

 多額の証券化商品が欧州の金融機関・投資家に保有されていたことから、混乱は欧州市場にも飛び火した。米国を震源地とする激震は世界中を巻き込み、「2007年の暑い夏」が始まった。

 このような大混乱を経由して、サブプライム問題は単に米国の国内経済間題にとどまるものではなく、世界の金融資本市場を根底から揺るがしかねない危機として認識されるようになった。

 主要国中央銀行による大量の流動性供給や米国の機動的な金利引下げによって、情勢はひとまず最悪期を脱したかにみえた。しかしながら、サブプライム・ローンの貸出条件見直しは今後逐次到来し、その過程で証券化商品の原債権の劣化は否応なしに進まざるを得ない。金融機関の抱えるリスクは否応なしに注目され、それを見越してか、足元の金融資本市場はまたもや雲行きが怪しくなってきた。折しも米国経済は住宅市場の調整深刻化にあえいでおり、実体経済への影響も懸念されるところだ。

 また、証券化商品を保有している大手金融機関による巨額の評価損計上が相次いでいるものの、商品の市場価格が判然としない現状にあっては、その損失額も暫定値の域を出るものではない。サブプライム問題は「先の見えない現在進行形の問題」として、我々の前にあり続けているのだ。

 かかる状況下で『サブプライム金融危機』と題する本を上梓するのは、相応の勇気と思い切りを要することであった。9月下旬に日本経済新聞出版社から緊急出版のお話をいただいた際には、正直申し上げて戸惑った。「我々に見えている部分よりも、見えていない部分のほうが実は大きいのかもしれない」との思いもぬぐいがたい。しかしながら、たとえ現在進行形のテーマとはいえ、現に見えている部分についてタイムリーな分析・整理を行うことは意味なきことでもあるまいと思い直し、各々の分野に一家言を有するみずほ総合研究所の5名のエコノミストでチ一ムを組成し、10月いっぱいで取りまとめたのが本書である。

 本書の構成は以下の通りである。第T章では、問題が顕在化し始めた2、3月からサブプライム・ショックと称された8、9月の大混乱をピークとして現時点に至るまでの動きをクロノロジカル(時系列)に通観する。

 第U章は、サブプライム・ローンが住宅ブームの中でいかにして普及し、「問題」として顕現したかを米国住宅金融の歴史から解説し、併せて米国経済へのインパクトを分析する。

 第V章では、いわゆる証券化の制度的・技術的側面を可能な限りコンパクトに整理した。リスク分散がなされた結果、リスクがどこにあるのか分からないのはサブプライム問題の大きな特徴である。なぜこのような事態が惹起されたのかを、証券化スキームの観点から明らかにする。

 第W章では、問題がグローバル・マネーフローと金融機関・投資家の行動に対していかなる影響を及ぼすかについて分析を行った。過剰流動性の下でのビジネスモデル及び投資行動は、今後どのように変化していくのであろうか。

 第V章は、現在米国において講じられつつある支援措置及び類似の問題の再発防止措置についての取り組みを解説し、そこからいかなるインブリケーション(含意)を汲み取れるかについて論考する。

 そもそもサブプライム問題の淵源は、サブプライム・ローンの貸し手である金融機関、借り手及び証券化商品を購入した投資家等の利害関係者が、住宅価格上昇シナリオを前提として過度に楽観的かつ安直な意思決定を行ったことに求められる。

 金融機関がローンの商品性を十分説明せずに貸し込んだケースは多数指摘されているし、証券化スキームを通じたオフバランス化か可能であるため、貸出時の審査が甘くなってしまった可能性も否定はできまい。信用力不足に悩む借り手にとっても、返済優遇期間内の支払いを続けられれば信用履歴が改善するため、サブプライム・ローンは「信用力を回復できる商品」として認識された面もあるようだ。

 また、投資家も、世界同時好況下のデフォルト率低下や過剰流動性の下で、証券化商品が本来有しているはずのリスクを過小評価し、結果的に多額の損失を被った。

 このように考えるならば、金融技術が進化するなか、随所で発生したモラルハザード、逆選択といった「市場の失敗」が積もり積もった結果として、サブプライム金融危機がもたらされたとの見方も可能であろう。

 「市場の失敗」に対しては、一般に政府による規制・介人が正当性を持ち得る。問題の再発防止を目的として、市場規律を回復せしめるような規制やインセンティブの賦課が米国政府部内で検討されているのも肯ける。しかしながら、証券化に代表される金融技術革新の歴史は、まさに規制とのいたちごっこの歴史であったと言っても過言ではない。必ずしも十分に賢明ではなく、完全な情報を有しているわけでもない個々の経済主体がマーケットプレーヤーとして市場に参加している限り、同様の問題は今後とも相当な頻度で発生し、金融資本市場を撹乱するだろう。また、その発生を未然に防止することは、およそ不可能とも思われる。

 このように考えるならば、一部で語られつつある証券化悪玉論なぞは、金融技術を規制すれば問題が発生しなくなると(暗黙裡に)考えている点において笑止と言わざるを得まい。我々にできることは、問題が発生するごとに知恵を絞り、漸進的にせよ金融資本市場の抱えている欠陥を改善していくことであろう。

 繰り返しになるが、サブプライム問題は「現在進行形」の間題である。我々の分析が追いついていない点も多々あろうが、読者各位に対し幾ばくかの知見と視座を提供できたならば望外の幸せと言わねばなるまい。5名のエコノミストの背中を押し、筆の遅い小職の尻を叩いてくれた日本経済新聞出版社の堀口祐介氏のご支援がなければ、本書は日の目を見なかったはずである。この場を拝借して厚く御礼を申し上げたい。
 2007年11月中旬
みずば総合研究所株式会社経済調査部長 前中正行
(みずほ総合研究所編「サブプライム金融危機 21世紀型経済ショックの深層」日本経済新聞社出版社 p1-5)

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サブプライムローン、投機マネー、原油高騰……
わたしたちの暮らしはどうなるの

中央大学名誉教授
今宮謙二


●質問 最近、「サブプライムローン」が話題になっていますが、これはそもそも何でしようか?

●答え サブプライムローンとは、アメリカの住宅融資(ローン)のことです。日本でも家を買う場合、多くの人は金融機関からお金を借りますね。アメリカでも基本的に同じですが、その内容に違った面があります。アメリカの住宅ローンは大きくみると、プライム(優良)ロ一ンとサブプライムロ一ン(サブとは「下位の」といった意味)の2つに分けられます。一定の資産をもち、収入も比較的高い人たちはプライムローンが適用されます。収入が高くても、車などのローンの支払いがとどこおった人(信用の低い人)や低い収入の人たちに適用されるのがサブプライムロ一ンです。

 アメリカには貧しい人々がたくさんいます。この人たちも自分の家でゆったりと暮らしたい望みをもつのは当たり前です。この人たちが家を買う場合、すべてサブプライムローンの形でお金を借りねばなりません。

 このローンは、はじめはプライムローンより少し高い金利ですが、借りてから2〜3年後には10〜15%などと、その倍にも高い金利になる仕組みとなっています。そんなに高金利を支払って生活ができるのでしょうか? そこにはアメリカ住宅ローンのカラクリがあるのです。

 アメリカでは、住んでいる住宅や土地価格が上昇すれば、その分だけ金融機関から簡単にお金が借りられるのです。アメリカは10年くらい前から住宅価格がどんどん上がりはじめました。ですから、生活に苦しい人でも、値上がり分だけまたお金が借りられるので、高い金利を払っても暮らしていけたのです。それでは借金づけではないかと思われるかもしれませんが、それがアメリカでは当たり前になっていたのです。また、住宅が大幅に値上がりすれば、それで新しい家に買いかえたり、車も買うことができたりしたのです。住宅ローン会社もこの住宅バブルで多くの人たちにくわしい契約内容も知らせず、詐欺的なやりくちでサブプライムローンを増やし、大もうけしてきました。

 しかし、住宅バブルは長続きしません。2006年半ばごろから住宅価格が値下がりしはじめ、アッという間に住宅バブルは崩壊しました。そのために、サブプライムローンを借りた人たちは利息が支払えず、家を追い出されるようになりました。去年の4月に大手の住宅ローン会社も破産しました。住宅バブル崩壊は、アメリカ経済に大打撃をあたえました。先に説明したように、アメリカ国民の多くは住宅価格の上昇で消費を増やしてきました。この消費力によってアメリカ経済が発展してきていたのです。この消費力が弱まったためにアメリカの景気は急速に悪化しました。それがはっきりあらわれたのが、昨年8月の世界同時株安でした。

●質問 サブプライムローンはアメリカ国内の住宅ローン問題だと分かりましたが、それがどうして世界同時株安につながったのですか?

●答え たしかにこの問題はアメリカ国内に限られていて、世界に広がるはずがないのです。しかしこの問題は住宅ローンに関係していただけではなかったのです。

 アメリカの住宅ローン会社は住宅を担保にお金を貸し、毎月、貸付金の一部と利息を受けとります。この権利(債権といいます)を、金融機関が住宅ローン会社から買い、この債権をもとに証券を発行するのがアメリカのやり方です。

 たとえば、金融機関が住宅ローン会社から10億ドルの債権を買い、それで1口5千ドルの証券を20万枚つくります。そのさい、アメリカでは住宅以外にも多くのローン債権があるので、それらのローンを何種類も混ぜて証券化するのです。まともなローン債権もあればサブプライムのような危険なロ一ン債権もある、それらを混ぜて、いわば中身の見えない「福袋」のようにして、世界中の金融機関、企業、投資家などに売ったのです。したがって、これらの証券の内容は、投資家からみても、場合によっては混ぜた本人にさえ、よく分からないものになっているのです。

 では投資家はなぜ,それを買うのでしょうか? アメリカには百年も前から証券の内容を審査し、評価する「格付会社」があります。この格付会社の評価を信用して、証券が買われているのです。

 住宅ローンなどをもとにした証券も、そのなかにサブプライムローンがどれだけ含まれているか誰にも分からないようになってしまいました。そして格付会社の評価も不正確なものでした。もともと格付会社と金融機関の間には癒着があり、格付会社は格付手数料でもうけているのですから、客観的で公正な格付けとはいいがたい実態がありました。

 自分の買った証券は全部優良なローンのものであると思ったのが、実はサブプライムローンも混じっているかもしれません。このためサブプライムローン破たんが明らかになるにつれて、これらの証券価格が大暴落しはじめたのです。

 その結果、証券をもっていた世界中の金融機関などは大損失となりました。これをきっかけに、金融株などを中心にして、全世界的に同時株安があらわれたのです。日本の金融機関もアメリカほどではありませんが、大手金融機関を中心に全体として6千億円の損失を出しています。

●質問 金融機関はいったいなんのためにそんな証券を買うのですか? 金融機関というのは、私たちのお金を預かって企業に融資するのが仕事だと思っていました。

●答え その通りです。日本の法律で、銀行は@企業への融資を通じて経済を発展させることA信用秩序を守るB預金者の保護などをおこなうべき、としています。しかし、いまは日本の大銀行も含めて、国際的な大金融機関はこのような仕事を中心としなくなりました。

 いまの金融機関は、企業にお金を貸すよりも、お客には株などの証券を買うのをすすめています。それだけでなく、金融機関自身も株などの証券の売買をおこなって利益をあげようとしています。サブプライムローンなどをもとにした証券は利回りが高いので、利益の対象としてはふさわしいものだったのです。金融機関が本来の仕事を投げすててこのような投機取引をおこなうのは許しがたいことです。

●質問 その「投機取引」とは、どういうものですか?

●答え 投機取引とは、簡単にいうと、高くなりそうなモノを安く買い、逆にこれから安くなりそうなモノを、高いうちにその価格で、たとえば2ヵ月先の日付で売る約束をして、値が下がった2ヵ月後に安く仕入れてもうける取引です。先物取引といって、差額でもうけるためにモノの売買を短期におこなう取引です。予想通りになれば大もうけし、逆に見通しをまちがえると大損失をだす、非常に危険な取引です。戦前は日本でも相場師とよばれる投機業者も活動していました。この投機取引をあやつるお金を投機マネーといいます。

 資本主義社会はモノの値段が変化するのでこのような投機取引が生まれてきましたが、いまは昔と違っで金融機関そのものが堂々と自由に投機マネーをあやつるようになったのです。少なくとも1980年ごろまでは原則として投機取引は自由にできないようになっていました。投機取引を自由にさせたのが、80年代以降の新自由主義政策の実施です。規制緩和をおこない、自由な市場の動きにまかせよとの考えが、アメリカを中心に全世界に広まりだしました。大金融機関や大企業はこの市場の自由化で大もうけの機会を手に入れたのです。

 投機の対象はどんどんと広がり、株や証券などのほか、土地、商品(穀物、原油など)などなど、値段の変動するモノすべてになってしまいました。そのために新しい金融商品も次つぎとつくられ、投機取引も複雑になってきました。その結果が、今回のサブプライムローン問題の形であらわれたのです。

●質問 最近国際的に原油価格が急激に上がっていますが、それも、そのことと関係があるのでしょうか?

●答え いま話した投機マネーが、原油市場に流れ込んだのです。それが値上がりの最大の原因です。今年の初めに1バレル=100ドル台をつけましたが、専門家によると、その半分、40〜50ドル分くらいは投機マネーのため、といっています。事実、石油産出国も、需給関係でいえば原油は十分にある、との考えで、増産の計画はたてていません。

 なぜ原油市場に投機マネーが流れこんだのでしょうか。これまで話してきたように、昨年8月以降、国際的な金融混乱がつづき、アメリカを中心にさまざまな対策を各国政府はたてていますが、いまだに混乱は深まっています。投機マネーもこの混乱をきらって金融分野から手を引き、そのかわりにもうかりそうな商品分野にマネーを投入しはじめたのです。とくに原油はアメリカのイラク侵略の結果、中近東の政治経済情勢の悪化に加え、アメリカ国内の原油からガソリンなどをつくる設備が古くなったことなどで、価格変動がたえずおきていました。投機マネ一はこれらを利用して大もうけをたくらんだのです。

 投機マネーがねらったのは原油だけではありません。そのほかにも穀物(大豆、トウモロコシ、小麦)市場にも流れこみ、これらの商品の値段も急速に上がりはじめました。

●質問 このような国際的な物価上昇が、私たちの暮らしにも影響を与えているのですね?

●答え 私たちの暮らしに大打撃を与えています。生活に必要なモノが次つぎと値上がりしているからです。灯油、電気、ガス代も値上がりし、食パン、パスタ、食用油、マヨネーズ、ハム・ソーセージ、ビール、牛乳などなど、あげればきりがありません。牛乳は実に30年ぶりの値上がりとなります。賃金は上がるどころか低くなり、税金は高くなり、医療費負担も大幅にふえ、国民の暮らしはますます苦しくなっています。経済協力開発機構(OECD)が06年に発表した報告は、主要資本主義諸国のなかで貧困化が拡大した唯一の国として日本をあげています。事実、国税庁の調査によると、06年に年収2百万円以下の働く人びとが1千万人をこえ、全体の23%も占めています。自公政権は長期間にわたって景気が回復しているといいつづけていますが、その実態は貧困の拡大だったのです。そのあらわれとして、スーパーやコンビニの売上高がそれぞれ11年間、8年間も減りつづけているのです。このようなときの物価上昇は、国民生活をさらに苦しめることになるでしょう。

 物価上昇は同時に大企業と中小企業の格差もいっそう拡大させます。中小企業は物価上昇分をどこにも転嫁できないからです。

 いずれにせよ、今後国民の購買力はいちだんと落ち込むのは必至です。そうなれば日本経済の悪化はどんどん進みます。さすがに日本銀行もこのままでは景気後退になる、といっていますが、日本政府はこの問題について何一つ具体的な政策を示していません。

●質問 よく週刊誌の広告などで「日本一人負け」という言葉を見るようになりましたが、どういう意味ですか? 日本経済にはどんな問題があるのでしょうか?

●答え たしかに、最近「日本一人負け」といわれています。日本の株価がアメリカやヨーロッパ諸国と比べて下落率も大きく、株価水準も低いからです。それは、日本の株を多く買っている外国投資家が日本を見放した結果とみられています。

 その理由として、最近日本の構造改革が進まなくなったことをあげるマスコミがあります。要するに、福田政権になって小泉改革がストップしたからだ、というのです。

 しかし、この見方はまちがっています。たしかに日本の株価水準は低いのですが、それは構造改革がストップしたためではありません。福田政権も基本的に「改革を進める」といっています。小泉前首相のように声高にやるわけにはいかなくなり、「みなさんの理解を得て」などといいますが、改革をやめるわけではないのです。そして、「日本一人負け」の本当の原因をつくりだしたのは、小泉構造改革そのものなのです。

 本来、日本経済の底力は強いものです。たとえば勤勉な労働者、技術力のある中小企業、伝統ある農林水産業、めぐまれた環境などなどがあるからです。これらの底力=基盤をこわしたのは自公政権です。とくに小泉改革によって急速にこわされました。大企業体制を強化し、労働者や国民生活を犠牲にし、中小企業をきりすて、農業を破壊させ、食糧自給率を39%にまでしたのが、小泉改革のおこなった自由化政策です。

 とりわけ小泉改革は、海外で生産し輸出でもうける大企業を育て、金融機関も、先にお話ししたような世界的な株や投機取引でもうける、という体制を強化しました。国内の下講中小企業がつぶれようが、労働者が使い捨てにされようが、おかまいなし。輸出大企業が規制に縛られずに自由に大もうけできるように誘導し、農業をはじめ、輸出で勝負できないような産業はつぶれてしまえ、必要なら外国から買えばいいのだ──という考え方で進められたのが小泉改革です。

 そのなかで、今、輸出型の大企業が史上空前のもうけをあげても、それが中小下請業者や働く人たちの生活向上にちっとも波及してこない、むしろ国民の暮らしは悪くなるばかり、という事態に陥っているのです。

 そのことはさまざまな論者も最近指摘するようになりました。また、これからは、お金さえ出せばなんでも買える時代ではなくなりつつあります。どこの国も食料自給率を高めています。今回の穀物価格高騰などで、農業をつぶし輸入に頼るような政治のまちがいが、はっきりとしてきたのです。

 このようなときに経済基盤が弱くなった日本を外国投資家が見放したのは当然ともいえるでしょう。

●質問 国民の立場からみて、どのような対策が必要でしょうか。

●答え これまでのお話のように、基本的には日本経済の基盤を強めねばなりません。そのためには国民一人ひとりが豊かな生活を実感できるようにせねばなりません。これまでの政治のように大企業中心ではなく国民生活を重視する新しい体制をどうしてもつくる必要があります。また当面の課題としては、現在の物価上昇の元凶である投機取引の規制をおこなうべきです。一方、日常品の便乗値上げをやめさせ、原油高騰で苦しむ中小企業などへの資金援助もせねばなりません。国民の暮らしや中小企業を守りぬく政治をどう実現すべきかがいま問われています。
(「女性のひろば 08年4月号」日本共産党中央委員会発行 p21-28)
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◎「……これからは、お金さえ出せばなんでも買える時代ではなくなり……どこの国も食料自給率を高めています。今回の穀物価格高騰などで、農業をつぶし輸入に頼るような政治のまちがいが、はっきりとしてきた」と。