学習通信080415
◎人類社会を担う資格が問われる問題……

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テレビ・ラジオ
レーダー

「環境特番」が飛び越したもの

 今年に入ってから、テレビ各局が力を注いでいるテーマが「環境」。環境問題を大きな議題とするという7月の洞爺湖サミットを控え、地球環境に焦点を当てた持番が相次いで放送されています。

 主なものは、朝日系「地球危機2008」(1月4日)、フジ系「地球デイプロジェクト消えゆく命の物語」(3月30日)、TBS系「報道大河スペシャル いのちの地球……警告!今そこにある50の危機 私達にできることは?」(4月2日)でした。いずれも2時間〜4時間枠という力の入れようです

 NHKは今年1年間、温暖化対策を考えるキャンペーンを展開。3月20日には、「地球エコ2008〜地域から環境を考える」を、7時間にわたって放送しました。

 北極圏の氷の減少や、大陸での大干ばつ──。不気味に忍び寄る地球温暖化の現状に迫った映像には圧倒されます。自国の環境政策のためアマゾンの森林を破壊するアメリ力の姿など、大国の身勝手さを鋭く告発したドキュメントもありました。どの番組も、見ごたえのある力作であることは間違いありません。しかし一方で、物足りなさも感じます。

 温暖化の現実は丹念に描いています。ところが、温暖化の原因となっている温室効果ガスを「だれ」が大量に排出し、それを「どうするのか」という肝心な課題は、なぜかどの番組でも触れていません。そこを飛び越し「私たちにできることは何か」と、温暖化対策を「個人」の努力に委ねてしまうのです。

 しかし、C02の国内での全排出量に占める家庭の割合は、1割未満。電力や鉄鋼、自動車など産業界、公共部門で8割を占め、排出量上位100事業所だけで全排出量の4割に達していることも明らかになっています。

 サミット議長国の日本政府はどうでしょう。温室効果ガス削減目標を盛り込んだ法制度作りや、産業界に削減を義務付ける協定を結ぶなどの国際公約にも後ろ向きです。

 番組で紹介されるエネルギー節約の「エコライフ」、個人の自覚的行動は尊いものです。でも、排出削減のルール化すら難色を示す産業界の姿勢を追及しないまま、家庭だけに対策を求めるような報道は、表面的でバランスを欠いています。

 民放では産業界がスポンサーという問題があるのかもしれません。ならば、公共放送、NHKの役割はいよいよ重大です。NHKが強調するように「明日のエコでは間に合わない」のですから。(研)
(「赤旗」080415)

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日本共産党 聞きたい知りたい

Question温暖化対策すれば失業が増える?

 〈問い〉 地球温暖化を防ぐためには、「大量生産、大量消費」をやめて消費量を節約する必要があると思います。そうすると経済が縮小し失業者が増えてどうしようもなくなるのではないかと思いますが、日本共産党は、どう考えていますか。また、社会主義の社会ではどう解決するのでしょうか。(東京・一読者)

 〈答え〉 温暖化への対策として、京都議定書で義務付けられた目標を達成するなど、温室効果ガス排出量の削減を着実にすすめる必要があります。そのために、日本でもCO2排出の8割を占めている産業界と公共部門からの排出量を制限することが不可欠です。実際に、ドイツやイギリスでは、経済界と政府との公的協定によって総排出量の削減に成功し、京都議定書の目標を達成しています。このように、温暖化ガスの排出量を減らしながら経済を成長させることは、十分に可能です。

 日本共産党が当面めざしている資本主義の枠内での改革でも、アメリカや現在の日本のような、環境まで市場まかせにする「ルールなき資本主義」をただして、「経済活動や軍事基地などによる環境破壊と公害に反対し、自然保護と環境保全のための規制措置を強化する」(党綱領)ことを掲げています。同時に、問題を根本から解決するためには、その根源となっている資本主義の仕組みにメスを入れる必要があります。「大量生産、大量消費」社会の背景にも、利潤追求のために消費者の欲望をあおろうとする資本主義の仕組みがあります。

 党綱領は、この利潤第一主義の弊害を乗り越えるカギが、「生産手段の社会化」にあることを明らかにしています。これは、企業の利潤追求の手段となっている工場の機械・設備などを、社会の共同の所有・管理・運営に移して、現場で働くすべての人々が生産活動の主人公となるようにすることです。

 「生産手段の社会化」によって社会全体の利益を目的とした経済活動になれば、環境問題にも有効な対策をとれるようになります。むだな大量消費に歯止めをかけ、国民生活と文化の向上のために、生産力を合理的に活用することも可能になります。また、すべての人が生産に参加することにより、失業の根絶と大幅な労働時間短縮へと道が開かれます。

 日本共産党は、人類の存続を危うくする地球環境問題をどう解決するかという問題は、資本主義の国々だけでなく中国など社会主義をめざす国々にとっても、人類社会を担う資格が問われる問題だと考えています。(石)〔2008・3・12(水)〕
(「赤旗」20080312)

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◎「番組で紹介されるエネルギー節約の「エコライフ」、個人の自覚的行動は尊い……でも、排出削減のルール化すら難色を示す産業界の姿勢を追及しないまま、家庭だけに対策を求めるような報道は、表面的でバランスを欠いています」と。