学習通信080501
◎えなり法案……

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テレビ・ラジオ
レーダー
「えなり法案」可決、勝負ついた

 4月スタートの後期高齢者医療制度は、国民の怒りが沸点に達した感があります。高齢化で医療費が増える。若い人の負担が大変。こんな論調をふりまく番組もある中、注目したのは日本系で4月25日放送の「太田総理……秘書田中」で、えなりかずきさんが提案したマニフェストです。「日本を支えてくれたお年寄りに国は冷たすぎやしませんか」と切り出したのは、「お年寄りの医療保険料と介護保険料をO円にします」法案でした。

 後期高齢者とは、75歳以上の人。医療保険料と介護保険料で月に1万円以上(全国平均)、年金から天引きされると説明します。「(国は)年金を正しく払ってないのになんで天引きだけバサッとやるんですか」と訴えると、太田総理も「やけにここだけ手際がいいよね」と同調しました。

 保険料を1年以上、滞納すると、保険証が取り上げられ、病院窓口で医療費を全額負担しなければならないことも告発。

 「病院に行けませんよ」とたたみかけます。
 えなりさんは、東京・港区で年間79万円の国民年金のみで暮らす後期高齢者を例に話しました。

 月に6万5千円余の年金収入で合計2700円ほどの保険料を払うのは「決して安くない」。それが、一定以上の所得がある世帯主と同居するようになると、世帯主の所得と合計した額で算定されるため、医療保険料も介護保険料もはねあがると指摘。出演者からどよめきが起こりました。

 実父を介護する経済アナリストの森永卓郎氏が「一回入院すると月10万円近くかかる。払えずにリハビリ中のお年寄りを家にひきとる例もある。お年寄りを構造改革という名のもとに切り捨てたとしか思えない」と話すと、自民党の田村憲久衆院議員が「われわれも反省している」と述べる場面もありました。

 圧巻は財源論でした。「高齢化が進む中、誰が医療費を支えるのか」という問いに、えなりさんが準備したフリップは、消費税が導入された1989年から2006年までの消費税と法人税の移り変わりの図表でした。

 「89年からの消費税の累計は175兆円、法人税の減収分の累計は154兆円。89年のとき39兆円だった企業のもうけは、06年で56兆円と上がってるんです。なのに法人税はまだ89年のレベルに達していない。法人税を上げたらどうか」

 えなり法案は12対8で可決、視聴者も68%が賛成しました。番組統計の国民の怒りも、「後期高齢者医療制度トラブル続出」が第1位。勝負はつきました。(板)
(「赤旗」20080501)

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第五回中央委員会総会
志位委員長の幹部会報告

──以上略──

「綱領を語り、日本の前途を語り合う大運動」の提案
 第二に、綱領を語り、国民の利益にかなった「新しい政治」とは何かを国民とともに探求するとりくみを、草の根からおこす「大運動」を提案するものです。

綱領と日本改革の方針が、こんなに情勢とかみあい、共鳴しつつあるときはない

 第二十四回党大会決定では、日本の政治がどんな歴史的時期に直面しているかについて、「歴史への無反省、アメリカいいなり、大企業中心主義――世界でも類例のない異常な特質をもつ自民党政治が、国民との矛盾、世界の流れとの矛盾を深め、どの分野でもいよいよ立ち行かなくなるもとで、いま日本の情勢は、大局的にみれば、国民中心の新しい日本への条件をはらんだ歴史的転機をむかえている」とのべました。

 「改革」と偽って国民を苦しめる悪政を押し付けた小泉政治の「うそとごまかし」がはげ落ちて、自公政権が参議院選挙で歴史的大敗を喫するもとで、「日本の情勢は、大局的にみれば、国民中心の新しい日本への条件をはらんだ歴史的転機をむかえている」という大会決定の指摘は、多くの国民の共通の実感、認識となりつつあるのではないでしょうか。

 そして重要なことは、どの問題をとっても、わが党の綱領と日本改革の方針が、こんなに情勢とかみあい、情勢と共鳴しつつあるときはないということです。とりわけ、わが党が自民党政治の「三つの異常」と指摘してきた問題が、どれをとっても破綻(はたん)に直面し、これらの異常を根本から改革する方途を示したわが党の綱領の値打ちが、どの問題でも鮮明になっています。いま私たちが、国民のなかで綱領と日本改革の方針を語れば、「国民が主人公」の日本をめざす国民的合意を大きく前進させる条件が広がっており、この条件をくみつくした積極的なとりくみを大いにすすめようではないかということを、よびかけたいのであります。

自民党政治の「三つの異常」をただす日本改革と、綱領の諸規定について

 綱領を国民に語るとりくみは、党大会決定を指針としつつ、それぞれの同志の入党の初心、党への思いなどをまじえ、相手の関心にもこたえて、自由闊達(かったつ)にすすめることが大切ですが、「三つの異常」をただす日本共産党の日本改革の方針を語るためには、綱領の次の諸点をよくつかむことが重要です。

<過去の侵略戦争を正当化する言論、政策、行動を大本から転換する改革>

 自民党政治の第一の異常――過去の侵略戦争を正当化する言論、政策、行動を、大本から転換する改革についていいますと、まず綱領は、第一章「戦前の日本社会と日本共産党」で、侵略戦争と植民地支配の誤りを、歴史の事実にもとづき、またこの誤りと命がけでたたかった日本共産党の当時の現場での闘争にもとづいて、明らかにしています。

 さらに第四章「民主主義革命と民主連合政府」のなかの「日本社会が必要とする民主的改革の主要な内容」のところでは、日本がとるべき平和外交の諸政策の冒頭に、「日本が過去におこなった侵略戦争と植民地支配の反省を踏まえ、アジア諸国との友好・交流を重視する」ことを明記しています。

<異常なアメリカいいなり政治をただす改革>

 自民党政治の第二の異常――異常なアメリカいいなり政治とそれをただす改革についていいますと、まず綱領は、第二章「現在の日本社会の特質」のなかで、日本の現状が、「発達した資本主義諸国のあいだではもちろん、植民地支配が過去のものとなった今日の世界の国際関係のなかで、きわめて異常な国家的な対米従属の状態にある」ことを、日本全国に配備されつづけている米軍基地、アメリカの世界戦略の一翼を担わされている自衛隊、軍事・外交・経済などあらゆる面での従属の実態を示しつつ、正面から告発しています。

 そして第四章の「民主的改革の主要な内容」のところでは、この異常な状態からの脱出の道が、日米安保条約の廃棄と日本の進路の平和・中立・非同盟路線への転換にあることを明示し、新しい日本がとるべき平和外交として八項目の内容を示しています。

 さらに第三章の「世界情勢――二〇世紀から二一世紀へ」の分析では、今日の世界の大きな流れは、アメリカの覇権主義的な世界支配を許さず、国連憲章にもとづく平和の国際秩序を築き、核兵器も軍事同盟もない世界を実現することにあるとして、この転換の国際的な背景と意義も明らかにしています。

<極端な大企業中心主義の異常をただす改革>

 自民党政治の第三の異常――極端な大企業中心主義の異常とそれをただす改革についていいますと、まず綱領は、第二章の「現在の日本社会の特質」のなかで、国民を苦しめる諸悪の根源が、国内的には「大企業・財界の横暴な支配」にあること、とくに、「国民の生活と権利にかかわる多くの分野で、ヨーロッパなどで常識となっているルールがいまだに確立していないことは、日本社会の重大な弱点となっている」ことを指摘し、雇用、女性差別、中小企業、農業、環境、経済・財政政策、汚職・買収・腐敗など、国民生活と日本社会の各分野での異常なゆがみを告発しています。

 そのうえで第四章では、「経済的民主主義の分野」での「民主的改革」の内容として、「国民の生活と権利を守る『ルールある経済社会』をつくる」こと、「大企業にたいする民主的規制を主な手段として、その横暴な経済支配をおさえる」こと、「国民各層の生活を支える基本的制度として、社会保障制度の総合的な充実と確立をはかる」こと、そして、国の経済運営の全体を、「大企業・大銀行本位の支出や軍事費を優先させている現状をあらため、国民のくらしと社会保障に重点をおいた財政・経済の運営をめざす。大企業・大資産家優遇の税制をあらため、負担能力に応じた負担という原則にたった税制と社会保障制度の確立をめざす」という方向に大きく転換させることなどを、掲げています。

 自民党政治の「三つの異常」をただす日本改革の方針と綱領とのかかわりをいくつかの角度からのべてきましたけれども、こうのべてきますと、綱領の一つひとつの規定が、本当に今の情勢と響き合い、かみあっている。どの命題も、国民の中で語ったときに、あたりまえの常識的なこととして受けとめられる、そういう内容であるということがよくわかると思います。どの問題でも、国民の認識と日本共産党の立場――綱領の立場が接近してくる条件と可能性、そして必然性がある。そこをとらえて大いに綱領を語り、「どんな日本をつくるか」を語り、新しい日本の進路をともに探求するとりくみをすすめようではありませんか。

 そのなかで綱領の示す世界論、未来社会論、党の歴史も含め党の全体像を語ることも大いに重視していきたいと思います。綱領の第三章「世界情勢」では、「巨大に発達した生産力を制御できないという資本主義の矛盾」について地球的規模から明らかにし、綱領の第五章「社会主義・共産主義の社会をめざして」では、資本主義を乗り越えた未来社会への変革の内容、展望、道筋が、全面的に明らかにされています。これらの中心点をつかんで、日本共産党のめざす未来社会とはどのようなものか、日本共産党という党名が、党の歴史とともに党のめざす未来社会とも不可分のものであることを明らかにしていくことも大切であります。

──以下略──
(「赤旗」20070911)

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◎「綱領の一つひとつの規定が、本当に今の情勢と響き合い、かみあって……どの命題も、国民の中で語ったときに、あたりまえの常識的なこととして受けとめられる、そういう内容」と。