学習通信080603
◎科学的社会主義の立場から世界の労働運動を指導し……

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《潮流》

夏らしくなって、Tシャツ姿でいきかう人が目立ちます。もっとも形の簡単な衣類の一つ、Tシャツは、色や図案の工夫、おもしろさを競います

▼Tシャツの歴史を調べてみました。最初は第一次大戦前に登場したアメリカ軍水夫の下着、といいます。なんでも、胸毛をかくす衣だったらしい。第二次大戦中から、米軍は海軍、海兵隊、陸軍であいついでTシャツを採用しました

▼やがて、下着から外出着へ。二つの米映画、二人の俳優の影響が大きいそうです。「欲望という名の電車」のマーロン・ブランドの、Tシャツ姿をまねする人がふえました。「理由なき反抗」でジェームズ・ディーンが着ると、反抗的な若者の間で流行します

▼一九六〇年代の後半からは、社会の現状に抗議する若者文化のシンボルに。ベトナム反戦運動に参加した人たちも、さかんに着ました。そしていまTシャツは、世界共通のごく当たり前のふだん着です

▼Tシャツは、歩くポスターでもあります。憲法九条をあしらったり、人の顔を描いたり。若者文化の伝統でしょう。この夏も、さまざまな図案のTシャツがみられるに違いありません。反貧困。地球環境をまもろう。核兵器禁止を……

▼本紙日曜版25日号の「新鮮 マルクス」の記事に、マルクスのTシャツを着た女性の写真が載りました。合成写真ですが、そろそろ本当にマルクスのTシャツが広く出回るかもしれません。世界史を振り返っても、彼ほどはっきり人類の希望を語った人はいないはずですから。
(「赤旗」20080526)

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カール・マルクス
(一八一八〜八三年)

 科学的社会主義の創始者。『資本論』の著者。世界の労働運動の指導者。エンゲルスの盟友。一八一八年五月五日、ドイツのライン州のトリエルに生まれる。父はユダヤ系の弁護士であった。

三五年、高校を終えてボン大学、ベルリン大学で法学を学び、ベルリンでは青年ヘーゲル派に属し、とくに哲学と歴史に関心を集中した。

大学卒業後、急進ブルジョアジーが創刊した『ライン新聞』に革命的民主主義的な立場で寄稿し、主筆となり、同紙をプロイセンの反動政府とたたかう革命的民主主義者の機関紙にかえた。プロイセン政府の言論弾圧のもとで同新聞の存続をねがって退社。

幼なじみで七年来の婚約者イェニー・フォン・ヴェストファーレンと結婚後パリに移住、経済学と哲学の研究にとりくみながらプロイセン政府を批判。フランスの社会主義とまじわり、観念論者から唯物論者に、革命的民主主義者から共産主義者へ移行していった。

このころ独自におなじ道に転じたエンゲルスと会い(四四年八月)、生まれつつあった科学的社会主義の世界観についての意見の一致を確認しあって、生涯にわたる共同が開始される。

パリを追放されて亡命したブリュッセルでは、エンゲルスとともに、ドイツ古典哲学、イギリス古典経済学およびフランスの空想的社会主義の人類の三つの遺産を中心とする「人間知識の総和」を継承・発展させた科学的社会主義の大綱を仕上げ、『ドイツ・イデオロギー』をあらわし(生前は未刊)、共産主義者通信委員会を組織して実践運動を展開。

四七年共産主義者同盟にくわわり、エンゲルスとともにその綱領『共産党宣言』(四八年)を執筆した。

四八〜四九年にかけて、ヨーロッパに民主主義革命が勃発するや、フランス二月革命、ドイツ三月革命に参加。

「ドイツにおける共産党の要求」を書き、人民が主権をもつ民主共和制の実現などを先駆的にかかげた。

『新ライン新聞』を発刊し、革命の完遂のための論陣をはった。

しかし、革命が敗北したため四九年末ロンドンに亡命、以後同地に永住した。

亡命生活では、『ニューヨーク・デイリー・トリビューン』紙などに寄稿し、エンゲルスの物心両面にわたる献身的援助にたすけられて、貧困や病気とたたかいながら、四八〜四九年の革命を総括、主力を経済学の研究にそそぎ『経済学批判』(五九年)を執筆。その後『資本論』をだすことを計画、六七年にその第一部を公刊した。

 その間、エンゲルスとともに六四年、国際労働者協会(第一インタナショナル)を創設、活動し、各種の形態の非プロレタリア・前マルクス的社会主義の影響下にあった各国の労働者を共同行動にひき入れながら、これらの理論を批判しつつ、科学的社会主義の立場から世界の労働運動を指導した。

パリ・コミューン(七一年)にあたっては、第一インタナショナルの提言を発表し、この闘争の意義を明らかにした。各国にプロレタリア党の結成がはじまると、よき助言者としてその前進をたすけた。

 マルクスは、『資本論』の仕上げに生涯をかたむけたが、生きているあいだに完成することはできなかった。八三年三月一四日、自分の安楽椅子にかけたまま永眠した。墓は、ロンドンのハイゲートにある。
(『社会科学総合辞典』新日本出版社)

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◎「そろそろ本当にマルクスのTシャツが広く出回るかも」と。