学習通信080710
◎「社会的市場経済」の政策的発展……
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潮流
無料で配る生活情報紙が、環境特集を組んでいました。題して、「くらしの環境サミット紙上開催」(リビング多摩5日付)
▼さまざまな人が提言しています。「冷蔵庫の中はコの字型収納で」。食材をつめこむと冷気のめぐりが悪くなり、電気の消費もふえます。家族そろったときや大切な人といっしょの食卓では、テレビや電灯を消してキャンドルをともす≠ヘ、くらしを楽しみながらの節電のよびかけです
▼地元の野菜を食べ、身近な産地の畑をいかそう=Bもちろん、食材を遠くから運べば輸送エネルギーが多くかかり、二酸化炭素(CO2)が余計に出るから。「歩いていける近所の店で買い物を」も、やはり輸送の燃料減らしです
▼地産地消や地元の店での買い物は、社会のあり方とかかわってきます。食料を輸入に頼ったり都市農業をつぶしたりしていては、かけ声だおれです。シャッター通りをふやし、「大量生産・大量消費・大量廃棄」にかなう大型店の進出を促すのも、同じです
▼鴨下環境相も提言しています。クールビズになにかプラスを≠ニ。たとえば、クールビズ十マイ箸、あるいはマイカップ……。うーん、それもそうだろうけど。大臣なら、「政府はCO2削減の目標達成へ手をつくす」ぐらい、いってほしい。人々の知恵や努力をむだにしないためにも
▼日本共産党の市田書記局長は、鴨下大臣に会い、温暖化ガス削減の二〇二〇年までの中期目標をはっきりさせるよう求めました。大臣、くれぐれも深慮を。
(「赤旗」20080704)
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地球温暖化の抑止に、
日本はどのようにして国際的責任をはたすべきか
2008年6月25日 日本共産党
──略──
■国民の世論と行動で、持続可能な経済・社会をめざして踏み出す
いま、国民のなかで地球温暖化問題への関心が高まり、自分たちの生活を見直し、環境にやさしいライフスタイルに転換することによって、現在の地球と将来の子どもたちに対する責任をはたそうという声と取り組みが広がっています。各種の世論調査でも温暖化の被害を心配する世論は九割をこえ、照明やシャワーなどの節約、冷暖房の控えめな使用、レジ袋を減らすマイバッグの持参など、八〜九割の人が何らかの形で努力しています。
「大量生産・大量消費・大量廃棄」を大もとからただす
こうした国民一人ひとりの努力を真に実らせるためには、大企業の利潤第一主義のもとで、国民生活に「大量生産・大量消費・大量廃棄」の風潮が意図的に持ちこまれてきたことを正面からとらえ、この風潮を大もとからただす仕事に本格的に取り組む必要があります。部品がなくて修理ができず次つぎに捨てられる家電製品、約二台で通常の家庭一世帯分のエネルギーを消費する自動販売機や、家庭の十一倍の二酸化炭素を出すといわれるコンビニエンスストアの二十四時間営業、深夜の過剰なライトアップ、深夜労働や生産施設の二十四時間稼働という「労働のあり方」など、この問題はさまざまな面にあらわれています。
生産から流通、消費、廃棄までのすべての段階について、温室効果ガスを削減して地球温暖化をくいとめ、将来にわたって「持続可能な経済・社会」「人にやさしく環境を大事にする社会」を社会全体の努力でつくりあげるという視点から大胆に見直すことがもとめられます。国の将来にかかわる総合的な戦略・政策のなかに地球温暖化対策をしっかり位置づけ、政府の取り組みを義務づける法律(気候保護法=仮称)を制定することも当然検討すべきです。
「人にやさしく環境を大事にする社会」をつくる視点で経済と社会を見直す
日本や世界の各地で地球温暖化問題に取り組む先進的な経験も生まれ、その先頭にはNGO(非政府組織)が立っています。こうした経験からさまざまな教訓を学び、それを広げ生かすネットワーク=共同の輪を広げることもますます大事になっています。温暖化抑止のために何ができるのか、地域・職場・学園など草の根のレベルで話し合い、知恵と力をあつめて行動をおこすことも大きな意義をもちます。
地球温暖化対策は、経済や社会、政治のすべてにおよぶ総合的な課題、将来の社会のあり方にもかかわる根本問題であり、それを確実に実行するには広範な社会的合意が不可欠です。EUでは、温暖化対策を経済・社会の「持続可能な発展戦略」のトップ課題に位置づけたうえ、実際の経済・社会政策も、「温暖化対策を通じた成長と雇用の促進パッケージ」というように、常に温暖化対策と関連づけてうちだしています。こうした取り組みの土台に、「利潤第一の考え方では温暖化は止められない。社会システムの根本的改革が必要だ」(ドイツ連邦議会・環境委員会副委員長の日本共産党欧州調査団への説明)という立場から取り組む考え方があることも、わが国の対策を考える上で学ぶべき大事な点です。
地球温暖化対策を、将来の日本社会のあり方を探求する総合的な戦略・政策の重要な一環に位置づけ、エネルギー・地域振興・雇用・福祉・交通・農業・税制・日本と世界の安定など各分野の政策をそれと有機的に結びつけて確立し、国民の合意を得ながら着実にすすめてゆくべきです。
日本共産党は、地球温暖化の進行を憂える内外のすべての人びとと力をあわせて、地球温暖化をくいとめ、将来にわたって「持続可能な経済・社会」「人にやさしく環境を大事にする社会」を実現するという人類的課題の推進に全力で取り組みます。
(「赤旗」20080626)
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五 「社会的市場経済」と社会主義への移行
「社会的市場経済」は、旧ソ連・東欧諸国の崩壊後は、いわゆる「市場経済への移行国」の受け皿≠フモデルとしての意味ももつようになった。しかし、こうした逆方向の意味での体制移行≠フ問題としてではなく、EUの発達した資本主義諸国から社会主義への移行の新たな展望とのかかわりで、「社会的市場経済」をどう位置づけるかの問題である。これは、二一世紀の新たな社会主義の展望を切り開く理論的課題の一つである。
《I「計画と市場」と環境政策》
本稿では、冒頭の「一 源流としての西ドイツの『社会的市場経済』」のなかで、エアハルト時代の「社会的市場経済」は、「計画経済」を克服するためのものであったと指摘した。「計画と市場」の関係は、「社会的市場経済」の政策的発展を考えるうえで欠かせない課題である。そのためには、EUの発展過程のなかに、すでにいくつかの手がかりがある。
その一つは、地球環境を守る政策である。とりわけ、EUは、二〇二〇年までにCO2排出を九〇年比で二〇%削減する目標をかかげ、〇五年一月に欧州排出権取引市場(EU・ETS)を発足させている。排出権取引制度は、国家的規制のルールと市場の競争原理を組み合わせる点に特徴がある。国家による「計画の機能」と資本による「市場の機能」とを結びつける実践的事例の一つといってよいかもしれない。
(友寄英隆「EUの「社会的市場経済」とは」 経済 2008年4月号」新日本出版社 p112-113)
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◎「地産地消や地元の店での買い物は、社会のあり方とかかわって」と。