学習通信080718
◎次は何か?それがいま間われている……

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経済天気図
行き詰まった新自由主義

 一九八〇年代からアメリカでは新自由主義の名の下に、規制緩和、国有企業の私有化、社会福祉予算の削減などを強行してきた。そして国家の介入をやめて、会社による競争に任せておけばすべてうまくいくとしてきた。

 ところがどっこい、そうはいかなくなってきた。

 アメリカの住宅金融会社が行き詰まり、それによってサププライム危機が大問題になってきたが、そこでアメリカ財務省と連邦準備制度理事会(FRB)が住宅金融機関の救済に乗り出すことになった。本来ならこれを国有化すべきところだが、新自由主義のたてまえからそれはできない。

 しかし政府の資金、というよリアメリカ国民の税金でこれを救済するというのだから、これは明らかに新自由主義の原理に反するものである。

 民間の会社に任せておけばすべてうまくいくという新自由主義は民間の会社の利益を代弁するものであったが、それが行き詰まって、最後はやはり国家の手で救済されなければならなくなった。

 これは明らかに新自由主義の行き詰まりのあらわれである。現ブッシュ政権はそれでもなお新自由主義の旗をおろしていないが、そのブッシュ政権も残りはわずか。

 次の大統領に誰がなるにせよ、もはや新自由主義の看板を守っていくことはできない。では次は何か?それがいま間われているのだ。(実言)
(「京都」20080718)

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第6回中央委員会総会
志位委員長の幹部会報告

──略

「資本主義の限界」論と党綱領の立場
 つぎに、いわゆる「資本主義の限界」論と党綱領の立場について報告します。

背景には世界と日本の大きな変化がある

 この間、わが党が、アメリカ・財界中心という自民党政治の古い枠組みを問う論戦をすすめるなかで、そうした古い枠組みのさらに土台にある資本主義そのものの是非が問われる状況が生まれてきました。

 心ある財界人から「資本主義もゆきつくところまできた。新しい社会主義を考えなければならない」ということが言われ、『蟹工船』が若者を中心にブームとなり、マルクスに新しい関心が集まり、テレビ局が「資本主義は限界か」という企画をたて、その答えを日本共産党に求めてくる状況が生まれました。これは、わが党がこれまで体験したことのない新しい状況であります。そして、こうした動きがおこってきたことは偶然でなく、つぎのような世界と日本の大きな変化が背景にあります。

〈資本主義の矛盾が、 世界的な規模でかつてなく深いものに〉

 一つは、資本主義の矛盾が、世界的な規模でかつてなく深いものとなっていることです。綱領は、二十一世紀の世界情勢にかかわって、「巨大に発達した生産力を制御できないという資本主義の矛盾」が、「かつてない大きな規模と鋭さをもって現われている」とのべていますが、そのことが、世界的規模での貧困と飢餓の拡大、投機マネーの暴走による原油と穀物の高騰、英国政府の報告書が「いまだかつて見られなかった市場の失敗」と断じた地球温暖化問題など、多くの人々にとって身近な目に見える問題となって実感されています。

 北海道洞爺湖サミットでの主要八カ国の合意は、最大の焦点となった温暖化問題について、先進国としての削減目標は、中期目標はおろか、長期目標も示せず、先進国としての責任を放棄するものとなりました。投機マネーも規制に踏み込むことはできませんでした。人類の生存にかかわる重大問題に、処方せんを示しえない姿が浮き彫りとなりました。

〈ニセの「社会主義」の看板を掲げていたソ連の崩壊〉

 二つめは、ニセの「社会主義」の看板を掲げていたソ連が崩壊したことによって、「ソ連=社会主義」という誤解と偏見をとりのぞく基盤が広がり、資本主義の矛盾がみえやすくなったということです。ソ連が存在していた時代には、資本主義の矛盾に直面していた人々の関心が、マルクスや科学的社会主義に向かわずに、「ソ連を見よ」と目が曇らされていたのが、ソ連の崩壊によってこの曇りが晴れ、見晴らしが良くなった。

 日本共産党が、ソ連の覇権主義と不屈にたたかい、科学的社会主義の立場に立脚して元気に活動していることが、世界の資本主義の矛盾の深まり、ソ連崩壊という状況のもとで、新しい注目をあびているのであります。

〈日本では「ルールなき資本主義」「新自由主義」で資本主義の害悪がむきだしに〉

 三つめに、とくに日本では、「新自由主義」「市場原理主義」の経済政策が強行されるもとで、貧困が拡大し、投機マネーは野放しにされ、環境問題では無為無策など、「ルールなき資本主義」がいっそう野蛮な姿をとってあらわれ、資本主義の本性と害悪がむき出しになっています。

 経済政策をめぐっても、国家が経済に介入することで資本主義の矛盾を緩和しようとしたケインズ主義がゆきづまり、それに代わった「新自由主義」も破たんを深めるもとで、その指導理論を失ってさまよう状況があります。

綱領はこの問題でも抜本的回答をしめしている

 このように、いま起こっている「資本主義の限界」という議論、それと結びついた日本共産党への新しい注目は、一過性のものではなく、世界と日本の大きな変化を背景としたものであり、社会と経済の枠組みを根本から問う新しい時代が始まったことを予感させるものであります。こうした情勢の奥深い進展を大きくとらえて、それへの抜本的な回答をしめす綱領の立場を大いに語るときであります。
──略
(「赤旗」20080713)

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◎「古い枠組みのさらに土台にある資本主義そのものの是非が問われる状況が生まれてき」たと。