学習通信080728
◎賃金……
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(3)年功型賃金から仕事・役割・貢献度を基軸とした賃金制度へ
高度成長期においては、当時の技術水準の制約もあり、勤続年数と労働の価値や生産性の間に比較的緊密な関連性がみられた。加えて、人材の確保と定着、従業員のモチベーションの維持・向上をはかるなどの観点から、多くの企業が、だれもが勤続年数とともに昇結し右肩上がりの賃金カーブを描くいわゆる年功型賃金制度を採用してきた。そして、これが長期雇用とあいまって、従業員に精神的な安定感をもたらし、忠誠心の涵養に役立ってきた。
しかしながら、ICTの発展・普及などにより、従来の習熟度が意味をもたない高度な仕事が増加している。また、これまで熟練や習熟が必要とされた仕事においても、自動化の進展などにより、マニュアル化や定型化・標準化可能な仕事が増えている。その結果、勤続年数と仕事の習熟の度合いとの関連性が薄れる傾向がある。
また、勤続年数を基軸とした年功型賃金は、長期従業員のみを優遇することになるため、新卒採用中心から中途採用、期間従業員・パートタイム従業員・派遣社員等の活用や長期雇用への転換・採用に向かう流れを阻害する一つの要因となってきている。
そこで、企業は、単純に勤続年数に比例する年功型賃金を見直し、仕事・役割・貢献度を基軸とした賃金制度・評価制度の整備を進めている。
(「2008年版 経営労働政策委員会報告」日本経済団体連合会 p27-28)
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一八四四年の経済学・哲学手稿(抜 粋)
〔第一手稿〕
労賃
労賃は資本家と労働者とのあいだの敵対的闘争によってきまる。資本家にとっての勝利の必然性。資本家は、労働者が資本家なしに生きられるよりも長く、労働者なしに生きることができる。資本家たちのあいだの結合は慣習となっていて、効果があり、労働者たちの結合は禁じられていて、彼らにとって悪い結果をもたらす。
そのうえ、地主と資本家は彼らの収入に産業上の利益を付け加えることができ、労働者は彼の産業上の所得に地代も資本利子をも付け加えることができない。それゆえに労働者たちのあいだの競争はあんなにもはげしいのである。
したがってもっぱら労働者にとってのみ、資本、土地所有および労働の分離は一つの必然的、本質的、かつ有害な分離なのである。資本と土地所有はそのような捨象のうちにありつづける要はないのだが、しかし労働者の労働はそうはいかない。
労働者にとってはそれゆえに資本、地代および労働の分離は致命的である。
労賃のための最低の、かつただ一つ必然的な査定額は労働期間中の労働者の生活維持と、なおそれに加えて彼が一家を養いえて、労働者種族が絶滅しないという程度のところにある。通常の労賃はスミスによれば、ただ人間であるというだけのあり方、つまりけだもののようなあり方に合うような最低の額なのである。
(「ME選集@」大月書店 p30)
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◎「労賃のための最低の、かつただ一つ必然的な査定額」と。