学習通信090107
◎どういう了見……

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年越し派遣村
「まじめに働こうとしている人なのか」
 坂本総務政務官、疑問視の発言

 ◇仕事始めで

 坂本哲志総務政務官は5日、総務省の仕事始め式のあいさつで、仕事と住まいを失った派遣労働者らを支援するために東京・日比谷公園に開設されていた「年越し派遣村」に触れ、「本当にまじめに働こうとしている人たちが日比谷公園に集まってきているのかという気もした」と述べた。そのうえで「(集まった人が)講堂を開けろ、もっといろんな人が出てこいと(言っていたのは)、学生紛争の時の戦術、戦略が垣間見えるような気がした」と続けた。

 同政務官は熊本日日新聞記者、熊本県議を経て、衆院熊本3区から当選2回。【石川貴教】
(「毎日」20090106)

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潮流

新年早々、またもや人の心を荒立てる政治家の発言です。しかも、いま社会でいちばん困っている人たちをはずかしめるのですから、信じがたい

▼「本当にまじめに働こうとしている人たちが集まっているのか、という気もした」。総務政務官の坂本哲志氏(自民)が、東京・日比谷公園の「年越し派遣村」に泊まっていた労働者に不信の目を向けました

▼仕事も住まいも失い、「派遣村」にたどりついた労働者たち。彼らが命をつなぐよう支援するボランティアたち。冬空の下で交流する姿は、テレビや新聞を通じ、全国の人々の心にもぬくもりを伝えました

▼ところが坂本氏は、冷や水をあびせます。労働者を傷つけるばかりか、支援者にも矛先を向けました。派遣村の目と鼻の先にある厚労省の講堂で寝泊まりできるよう開放を求めたボランティア。彼らと、かつて大学を荒らした暴力集団が、同類であるかのようにみなす言葉を放ちました

▼坂本氏は、私的な会話ではなく総務省の仕事始め式で本音を語りました。「空気が読めない」どころか、苦しむ人間の気持ちが読めない。状況が読めない。行き場をなくした失業者の救済は国の仕事なのに、政府がのほほんとボランティア任せにしている状況を

▼そして、時代が読めない。自民党政治が、労働者の苦難を生み出しながら、その現実の前になすすべを失い、見放されている時代を。人々は、こんな暴言をきくたびに、自民党が「本当にまじめに働こうとしている」とは思えなくなるのです。
(「赤旗」20090107)

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坂本暴言隠しようがない本音

 坂本哲志総務大臣政務官(自民党)が、日比谷公園に設置されていた「年越し派遣村」について「本当にまじめに働こうとしている人たちが集まっているのか」と発言したことには心底あきれました。六日の会見で謝罪しましたが、最初の発言に表れた本音は隠しようがありません。

 「派遣村」に集まったのは、働きたいのに企業の都合で「派遣切り」や「期間工切り」などの被害にあい、仕事も住まいも失った人たちが大半です。

 二十九歳の青年は「すぐに仕事につきたい」と履歴書を持参したほど。現場では、就労相談や履歴書に添付する写真撮影も行われ、年末年始でハローワークも閉まっているのに、別の方法での求職活動に出かける人も後を絶ちませんでした。

 こうした人たちを生み出したのは、政治の責任です。派遣労働の原則自由化(一九九九年)や製造業への拡大(二〇〇四年)など、相次ぐ労働法制の規制緩和と雇用保険の改悪などセーフティーネットの破壊が生んだ「政治災害」です。それだけに、本来なら政府がまず生活と住居を保障して当然の人たちです。

 それを、言うにことかいて「四十年前の学生紛争の時に『学内を開放しろ』『学長出てこい』(などと学生らが要求した)、そういう戦略のようなものが垣間見える気がした」(坂本氏)とは、どういう了見なのか。

 毎日新聞の東海林智記者の著書『貧困の現場』には、フランス人研究者が、日本のホームレスがシェルター(避難所)ではなく仕事を求めていると、意外性を感じている場面が出てきます。フランスでは、路上生活の人が一一五番に連絡すると、その日のうちに医・食・住が保障されるシェルターに入れると紹介しています。

 同じ先進国でも、日本の政府の一員である坂本氏の発言がいかに無責任か。感じないわけにはいきません。(直)
(「赤旗」20090107)

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◎「人の心を荒立てる政治家の発言」と。