学習通信090115
◎労働組合のあるべき原則的見地……

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総選挙勝利を党史に刻む年に
「党旗びらき」での 志位和夫委員長のあいさつ

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社会的反撃が開始された歴史的な年
 第一は、暮らしや平和の破壊にたいする社会的反撃が開始された歴史的な年となったということであります。

 わが党は、三年前の第二十四回党大会で、「社会的連帯で反撃を」をスローガンに、暮らしと平和を壊す攻撃にたいして、国民が連帯して立ち上がることを呼びかけましたが、昨年は、雇用、社会保障、農業、平和と憲法など、あらゆる分野で本格的な社会的反撃が開始された年となりました。

 とりわけ労働者と若者がたたかいに立ち上がったことは、特筆すべきことであります。大企業による大規模な雇用破壊という非常事態のなかで、各地で労働者が自ら労働組合をつくって立ち上がり、力強い反撃の一歩が始まったことは、はかりしれない意義をもつものであり、初めは小さくとも、この動きには大いなる未来があります。

 また、年末・年始の寒空に放り出された労働者を救おうと、市民・労働団体のみなさんが東京・日比谷公園で「年越し派遣村」を立ち上げ、全国からボランティアが集い、支援物資・支援募金が集まり、緊急の避難所となりました。本来、こうした避難所は政府の責任で設置すべきものでありますが、温かい人間的連帯の運動がわき起こり、政府を動かす力を発揮していることは、素晴らしいことであり、わが党は、この動きに連帯して奮闘する決意を表明するものであります。(拍手)

 暮らしと平和にかかわるどんなたたかいでも、日本共産党が、国民の苦難の軽減という立党の精神にたって、草の根でたたかいを支え、全国どこでも温かい連帯のネットワークをつくっていることは、私たちが何よりもの誇りとするところであります。昨年、開始されたたたかいを、今年はさらに大きく発展・飛躍させ、「社会的連帯で反撃を」にとどまらず、社会的連帯で政治を変える年にしようではありませんか(拍手)。
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(「赤旗」090106)

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要求で団結するまともな労働組合の原則的見地

 こうした政治経済情勢ときびしい雇用と生活状態にあって、日本の労働者階級のなかには、要求で団結するまともな労働組合をもとめる声が一段と強まってきています。それにしても、「要求で団結するまともな労働組合」というとき、それは、どのような原則的な見地に立つべきでしょうか。

 私たちはいま、今日の情勢に立ち向かう日本労働組合運動のまともな前進のためには、科学的社会主義の労働組合論がしめす原則的な見地をあらためてしっかり学習し、これを堅持することが重要です。その原則的な見地としては、どういうことがあげられるでしょうか。くわしくは、本書全体をつうじてあきらかにしていくつもりですが、あらかじめ学ぶべき原則的な見地を例示すれば、つぎのようなことがあげられます。

 第一に、労働力の売り手である労働者には、「資本と労働の契約はけっして公正な条件で結ばれることはありえない」(マルクス「労働組合−その過去・現在、未来」)ことです。マルクスは『賃金・価格・利潤』のなかで、「資本主義生産の一般的傾向は、賃金の平均水準を高めるものではなく、低めるものである」、だから「労働者階級は資本の侵害に対する抵抗を断念」するわけにはいかないと書いています。

 第二に、「資本の侵害」に「抵抗」するにあたり、「資本の集積された社会的力」にたいして、「労働者のもつ唯一の社会的カは、その人数である」(「労働組合──その過去・現在、未来」)が、人数は多くとも、個々の労働者がバラバラでは力にはとうていならないということです。その意味で、労働者が資本の搾取強化、資本の侵害に対抗するには、数の多数が要求にもとづいてできるだけ団結の輪をひろげなければならない、という原則が提示されます。

 第三に、労働組合は、当初、「資本のたえまない侵害」にたいして、賃金や労働時間など日常的な経済要求をかかげた労働者の団結として出発しました。労働組合のこのような経済要求闘争は、資本主義がつづく限り、これをやめるわけにはいきません。しかし、この肝心の団結は、労働者自身の間の目前の利益の不一致からくる避けがたい競争によってしばしば挫(くじ)かれます。古典はこの点では、個々の労働者は、全体が階級として共通に搾取されていることを科学的社会主義の「知識」によって身につけ、労働組合は企業問競争の枠をこえた産業別・地域別の組織、全国的組織への団結によって、競争による不団結を克服してたたかうことをおしえています。

 第四に、科学的社会主義の労働組合論の古典は、労働組合が個々の日常的な経済要求闘争にとどまらず、すべての労働者の統一的な要求として団結権や標準労働日の獲得など、より高いレベルの制度的諸要求闘争をブルジョア国家(政府)に対して挑むことを期待しています。制度的諸要求は、資本主義国家の法をもって労働時間の規制や団結権の保障を資本家階級に強制するもので、その獲得は労働組合運動の新たな段階を画するものとして評価されています。

 第五に、労働組合の最終の目標は、資本主義的搾取の廃止による「労働者階級の終局的解放」であることが強調されます。当初、労働組合は資本の侵害から賃金や労働条件をまもる目的で活動をはじめ、ついで対政府にむけての制度的諸要求闘争をもとりくみますが、資本主義制度の民主的改革と最終的廃止によってこそ、真に平和で豊かな民主的社会はつくりだされるというわけです。

 第六に、この点から古典は、多数を組織する労働組合は、資本主義制度の変革という歴史的な課題の達成にあたって、より大きな役割をはたしうることを自覚すべきだと強調しています。そして、その自覚のうえに立って労働組合は、労働者の政治的な自由と権利の拡大、政治革新と社会の民主的改革にむけて奮闘しなければならないし、経済闘争とこうした政治闘争を結びつけてたたかうことを、戦術の基本とすべきだとしています。

 科学的社会主義の古典が提示する、労働組合のあるべき原則的見地の主要なものを並べてみました。先にみた二一世紀にむけてのきびしい政治経済情勢、労働者・国民の状態にあって、日本の労働組合運動は、階級的ナショナルセンター・全労連の一〇年の運動を土台に、いま新たな激動と歴史的転機をむかえています。このときにあたり、科学的社会主義の理論から、労働組合とは何か、その基本的性格と任務をはじめ、労働組合の原則的見地をあらためてじっくり学ぶことは、たいへん有意義なことだと思います。
(戸木田嘉久著「労働組合の原点」学習の友社 p17-19)

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主張
成人の日
みんな人間らしく働きたい

 きょうは「成人の日」です。

 これから進路を決める学生のみなさん、すでに働いているみなさんが、今年のように、「働く」ことへの不安を抱え、「成人の日」を迎えたことは、かつてなかったことではないでしょうか。

希望ある連帯の流れ
 年末年始、注目を集めた東京・日比谷公園の「年越し派遣村」にも、仕事と住居を失った若者の姿がありました。景気悪化を理由に、トヨタ、キヤノンなどトップ企業が率先して大規模な首切りをおしすすめています。正社員のリストラや学生の就職内定取り消しも相次いでいます。

 非正規社員からこれまでさんざんしぼりあげ、トヨタ自動車一社でも内部留保が十四兆円にのぼるなど空前の利益をためこんできたのに、景気悪化となるや真っ先に大規模に「雇い止め」にし、路頭に迷わす―こんなことは人道上許されません。財界いいなりに法律を改悪し、非正規雇用を増やし続け、今日の事態を招いた自民・公明の政治の責任もきびしく問われなくてはなりません。

 「ついに労働者が立ち上がりました」。派遣・期間工千四百人全員の解雇を発表したいすゞ自動車で、「正社員になりたい」と必死に働いていた派遣・期間工のみなさんがやむにやまれぬ思いで労働組合をつくった昨年十二月、NHKがトップニュースで報じました。

 生まれたばかりのこの組合が、いすゞ自動車に契約途中の期間工の解雇を撤回させたニュースも、大きく報じられました。

 「働く者は、労働組合をつくり、働く条件について、経営者と対等平等に交渉できる。経営者が労働組合を無視して横暴勝手をふるうことは許されない」―憲法にもうたわれた、働くものの大切な権利です。いま、全国各地で若者が「人間らしく働きたい」と声をあげ、労働組合をつくり、労働組合に加わり、大企業の横暴勝手にたちはだかりつつあることは、希望ある流れです。

 「仕事がないのは自分の責任」―若いみなさんを苦しめてきた「自己責任」論を叫び続けてきたのは、若者の願いを押さえ込み、競争に駆り立てることで、空前のもうけをあげてきた財界・大企業です。若いみなさんが、「人間らしく働きたい」という切実な願いの実現へ、労働組合をつくり、それに加わり、社会的連帯を広げるとりくみを、大いに発展させようではありませんか。

総選挙が行われる年に
 今年は衆議院議員選挙の年です。「人間らしく働きたい」という若者の願いにこたえる政治に変えるかどうかは、重大な争点です。主権者である新成人のみなさんの「一票」が政治を動かします。

 日本共産党は、使い捨ての非正規雇用をまん延させた一九九九年の労働者派遣原則自由化に反対したただ一つの政党です。今日の大量解雇にたいしても、日本経団連、トヨタ自動車などと会談し、大企業が雇用を守る社会的責任を果たすよう、事実と道理をつくして訴えてきました。全国二万二千の党支部が、草の根で、若いみなさんの願いに耳をかたむけ、その実現をめざしています。

 「人間らしく働きたい」―若者の切実な願いの実現へ、そして「ルールある経済社会」をめざし、日本共産党は力をつくしていきます。
(「赤旗」20090112)

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◎「労働者が自ら労働組合をつくって立ち上がり、力強い反撃の一歩が始まったことは、はかりしれない意義をもつものであり、初めは小さくとも、この動きには大いなる未来があります」と。