学習通信090615
◎油断がならない梅雨空……

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つ ゆ
 6月11日

さみだれに見えずなりぬる小径かな   蕪 村

 ことしは、例年になく早いつゆの訪れとやらで、毎日うっとうしいお天気が続いたが、この「つゆ」は、梅の実の熟するころの雨ということから「梅雨」ともいう。「さみだれ」も旧暦の五月に降る雨という意味で漢字では「五月雨」と書かれ、結局「つゆ」といっても「さみだれ」といっても、同じ雨をさす。が、「さみだれが降る」といっても「つゆが降る」とは言わない。「さみだれ」の方は「雨」そのものを言うのに対し、「つゆ」「梅雨」の方は「入梅」ということばがあるように、六月の雨の降りつづく期間をさすので、例によって、日本語の自然現象を言いわける細かさを感じさせられる。

 ところで、見坊豪紀氏によれば、江戸ッ子は「つゆ」のことを「入梅」ともいうそうだ。永井荷風の「つゆのあとさき」の中に「雨は降っているが小降りで風もなく、雲切れのし始めた入梅の空は……」というのは、その使用例だという。
(金田一春彦著「ことばの歳時記」新潮文庫p194)

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《潮流》

蒸し暑いはずです。気象庁によると、九州から東海が梅雨入りしたもよう、といいます。関東も間近でしょう

▼沖縄や奄美は、20日以上前から梅雨に入っています。梅の実が熟すころの雨期なので「梅雨」。あるいは、黴(かび)の生えやすい雨期の「黴(ばい)雨」が転じて「梅雨」に。呼び名のいわれには、いくつか説があります。気象庁の説明に従うなら、梅雨とは次のとおりです

▼「晩春から夏にかけて雨や曇りの日が多く現れる現象、またはその期間」。気象庁が梅雨の入り・明けの情報を発表するのには、もちろんわけがあります。大雨による災害が起こりやすい時期だから。農業用の水を蓄える大事な季節にあたる。日々の生活への影響も大きく、社会的に関心が深い……

▼「社会的な関心」のたぐいでしょうが、選挙活動への影響も見逃せません。東京都議選や3年に1度の参院選は、だいたい梅雨時と重なります。ことしは、都議選の投票が7月12日。いくら遅くとも3ヵ月後に投票の総選挙の準備にも、各党すでに血まなこです

▼ビラ配りを「明日に」と延ばすと、翌日から土砂降りつづき。配り切っていないうちに、次のビラが届けられる。恥ずかしながら、そんな苦い経験を思い出します。油断がならない梅雨空です。体調を崩す人や、体が季候の変化についていけない人も少なくありません

▼梅雨前線とのたたかいでもある雨期の選挙戦。けれど、ビラ配りや対話が結果に実り迎える梅雨明けの、列島全体に虹をかけたような気分は格別です。
(「赤旗」20090610」

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◎「ビラ配りや対話が結果に実り迎える梅雨明けの、列島全体に虹をかけたような気分は格別」と。